頭中に鳴り響くコンパッショーネにオモイ馳せる。

ゆらゆらと蠢く音流に瞼を閉じる。

ユニゾンのベースが弾き出され、心は静かに足踏みを始める。


***


ウチ ....
知らない足音がわたしたちを追い越し
立ち止まっていることに気づく
群れるものたちのすべてが
居場所を持っているように見えて
小さな声でいることに
少しだけ疲れて

彩られた樹木たち ....
最近ずっと夕焼けを見てない
柔らかな雨が頭に響いて痛い
稲光を何だか遠くの星の出来事のように聞いていた

知識の詰まった紙の束は
三枚の銀貨と交換された

片手におさまる一個の世 ....
朝の駅の構内で
改札の向こうからホームの階段を上る
黒い制服の青年が障害を背負う体を傾けて
こちらに向かって歩いて来る

眼鏡の奥の瞳には
いつも光を宿らせて
不器用な歩幅を
一歩  ....
窓のお外は夕景
意味なき歌が流れる
書くことは一度死ぬこと
それを生きること

またたいた瞬間
カラスが鳴いた
時計がうめいている
時間が泣いている
もう廃人かもしれないと思う僕は
 ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった

少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
はっぱをめくればなめくじ

みんなにきらわれて
しおをまかれたりする

おまえなめくじ

うまれてからずっと
からだじゅうでないている

おれだっておなじ

みんなにきらわれて ....
24
折れた時計の針がキャラメル

23
の中に埋め込まれていてキャ

22
ラメルから生えているような

21
赤と青のワイヤーの両端はハ

20
ローキティの絵が描かれた ....
ちょっと固めのパウンドケーキ
ちょっと甘くないパウンドケーキ
わたしひとりで食べたい

あまりよく知らなくて
誰も知っている人がいない住宅地
わたしひとりで歩きたい

夜見る夢の中
 ....
玉ねぎが自分で自分の皮をむいている

オレハ ドコニイルノダロウ

いくらむいても自分は出てこない
それでも玉ねぎは自分をむき続ける

オレハ イッタイ ドコニイルンダ

その間 ....
 水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏



 砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜



 8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
ぽたりぽたりと憂鬱から漏れている
コールタールにもよく似た僕の雫は
吐き出す煙りに撫でられて気だるく踊る


風通しの悪い窓辺で聴く喜びは
静かな日々を願いながら
喧騒に寄せられる情熱
 ....
 
 
 
 
夜闇。暗さに光線、たとえばただアスファルトの隆起したひとかけらを照らしている。点は(このままだよ)とささやき、いつしか光の粉をまいて。すふすふと積もり、埃のようにけむりながら少 ....
親愛なる詩友へ

友よ、あなたが今心から愛する{ルビ女=ひと}と出逢い、
日々幸せに包まれていることを、
僕は嬉しく思っています。

僕なりに感じることですが、
「芸術家」「詩人 ....
ため息をつきながら
君が死体の話をする
少し笑ってる
ホルマリン漬けの臀部はね
鳥のささ身の紅茶煮にそっくりなんだよ
そっか
今夜作ってみようかな
二人で食べよう
大丈夫まだ生きてる
 ....
酔っぱらった僕は
フライパンの真似をして
空に羽ばたいた
一番高いところで
激しく嘔吐したけど
よく見ると
それは言葉だったので
ますます気持ち悪くなった
自らの愚かな手で
目の前をさえぎる沼を
つくり出してしまった時は
でくのぼうとなって立ち止まり
かけがえなき友の背後から吹き抜ける
風の言葉に耳を澄まそう

私は木になりたかった
幾 ....
さいとういんこさんのお腹は大きい
大きく膨らんでいる
さいとういんこさんの子供が大人になる頃
僕はもう59歳だ
それまで生きているかどうかわからない
生きているつもりもないし
自信もな ....
今までの僕は
美味しそうな料理を画用紙に描いては
「夢」という文字を隅に添えて
誰も訪れないギャラリーの壁に飾り
寂しい腹時計を鳴らす空っぽの胃袋を
満たしたつもりになっていた

見上 ....
甘栗むいちゃいました
三点倒立で甘栗むいちゃいました
航空ショーで甘栗むいちゃいました
筋肉ミュージカルで甘栗むいちゃいました
死海で浮かびながら甘栗むいちゃいました
女性専用車両で甘栗むい ....
ガソリンスタンドで働く父のために埠頭で釣りをする母


サンドウィッチにはさまれたクラゲがただ干からびていくのを待ってる


ヒツジの皮を被ったケダモノだが牙はすでに抜かれてし ....
帰る場所のない人こそ一点に留まる
寂しさを解体して
目を瞑る
うつむかない
前を見ない
定まらないこれは
警鐘なのかもしれない

孤独とは
つながらないことではなく
むしろつな ....
眠いと一言
残して君は寝てしまった

車の窓から見える
夕日も海岸線に吸い込まれようとしている

そんな余所見をする
僕の危なっかしい運転のことなど
まるで知らない無防備な寝顔を見なが ....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている


嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから

 ....
その日私は一日中テレビを見ていた
朝起きて夜寝るまで
一日中テレビを見ていた
朝、昼、夕の三食も
テレビを見ながら食べたし
数回トイレに行った以外は
掃除も洗濯もせず
一日中テレ ....
北極星までの距離は430光年だそうで
ということは 今 あそこで光っているのは
430年前の北極星なわけで
もしかすると とっくの昔に北極星なんて
なくなってるかもしれない

そう考えたら ....
夜は死ぬ
その中に秘密を宿らせたまま
ふたたび夜が生まれ変るまでの
小さなひととき
人は夜がその死に際して降らせた
ばらばらの
暗い破片を
胸に突きさしたまま歩く
何かおかしい
どう ....
裾に広がる森の緑
雲よりも白いその頂は
はるかにそれを越えて空をさす

足元ばかりを見つめるような日常にも
そうやって見上げる景色があり
富士はまるで矢印のように
その向きを教えてくれて ....
アイツは昔
とにかく馬鹿だったんだ
バナナが大好きで
いつでもどこでも
バナナを齧ってた
食べた後のバナナの皮は
大事に持って帰るんだ

そうやって集めたバナナの皮を
クロゼットに ....
ぼくにできることは
ほんのすこしのこと

だけどそのすこしが
ぼくやだれかをほんのすこし
うれしくさせられたらいいな


ぼくにみえるものは
ほんのすこしのもの

だけどそのすこ ....
木葉 揺さんのおすすめリスト(1400)
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キノコ農園物語- 大覚アキ ...自由詩405-5-12
ほんのすこし- 松本 涼自由詩8*05-5-12

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