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ダウン症児の息子をどっこいしょ、と
支援学校のバスに乗せてから
家に戻り、テレビを点ける

連続テレビ小説『舞いあがれ!』で
ナガサクヒロミが娘を想う名演に
涙ぐみ・・妻に言う

「こ ....
朝、起きる前の布団の足下に 
ダウン症児の息子が入ってきて
妻がぱちりと、写真をとる 

頭上の壁には
ミレーの「晩鐘」
(一日の労働を終えた夫婦の祈り)

窓から朝日をそそがれて
 ....
みみずは、土と野菜をつくる
みみずがいなけりゃ、人類はいなかった
みみずはなんでも食べて
なんでも、楽しむ

夏になっても、僕は干からびないだろう
令和三年・一月三日 
三が日の間に息子孝行しようと思い 
{ルビ周=しゅう}の小さな手を引いて
川沿いの道をずんずん、歩く

野球場の芝生を
解放していたので
そのまま手を引いて
ずん ....
日頃ぐうたらな僕が 
一念発起して 
庭の草をむしり始めた

夏の太陽はぎらぎら笑い
ぽたり、ぽたり
{ルビ滴=したた}る汗は目に沁みる

草のむしれる感触に
無心で熱中しながら、熱 ....
かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ ....
誰の手が自分を温める? 

日本の何処かに
そんなお方はいるやも知れぬが 
ああせめてその日まで 
俺は俺の情けない手で 
俺自身を温める 

俺は俺の最上の友達 
人知れぬ 
酸 ....
うええーん、えん、えん、えん

男の子が一生懸命に、泣く
ぜんしんぜんれいで、泣く

いつのまにかおじさんになった僕が
ぜんしんで泣いたのは
もう何十年前のことだろう

うええーん、 ....
不安定な天気に
心模様のゆらぐ時

わたしは自らの存在の
「奥の間」に
小さな家康公を据える

信長のように、要らない者を斬るでなく
秀吉のように、天下を取って豹変するでなく

― ....
 昨夜は新しい詩集「Familia」の出
版記念の詩の夜であった。何人もの詩の仲間
がこの本を手に取り、休憩時間にメッセージ
と名前を書いて、一人ひとりに手渡せた時、 
僕は詩を書く者の幸せを ....
「幸」という文字を 
鷲づかみしようとしたら 
いつまでたっても 
この手は空を切りました 



全てを手放し 
両手をまあるい皿にしたら 
今までよりも「幸」の文字が 
くっき ....
主任のおばちゃんが 
残業時間につくる勤務表と 
にらめっこしながら 
(あの人の性格はああだから・・・) 
(この人の性格はああだから・・・) 
と頭を抱えていた 

なにができるでも ....
長い間 
部屋の隅に折り畳まれ 
埃を被った 
老人ホームの誕生表 

空色の模造紙を開き 
両端に咲く 
太陽の花 

まっすぐのびる 
2本の茎の間に 
お年寄りの名前と誕生 ....
昨日のゴミ置き場で 
幸せそうに日向ぼっこしていた 
白い便器の蓋が 
今日は無い 

腰を痛めて十日間 
介護の仕事を休んでいたら 

先月の誕生会で 
目尻の皺を下げていた 
 ....
十字架のネックレスをした女は 
今日も「通りゃんせ」の鳴る交差点を 
紅いハイヒールで夜へと歩く 

人知れぬ部屋で 
男に{ルビ接吻=くちづけ}られる 
濡れた首すじに 
垂らした十字 ....
お婆ちゃんの細い手が
絵葉書に描いた
美味しそうなまあるいピーマン 

筆を墨に浸した僕の若い手は 
「 いつも ほんわか しています 」
と曲がりくねった字を余白に書いた 

お婆ち ....
出勤のバスの中 
ぷ〜んと近づいた{ルビ蚊=か}を 
合わせた両手で{ルビ潰=つぶ}す 

指にこびりついた
ご遺体を
どこへやろうか 
置き場に少し困って 
床に落とした 

( ....
雨の降る仕事帰りの夜道
傘を差して歩く僕は
年の瀬に冷たい廊下でうつ伏せたまま
亡くなっていたお{ルビ爺=じい}さんの家の前を通り過ぎる

玄関に残る
表札に刻まれたお爺さんの名前  ....


昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた

「 おいしいかい?
  結婚してみて、どうよ・・・? 」

と買ってきたコンビ ....
仕事帰りにくたびれて
重い足どりで歩いていると
駅ビル内のケーキ屋に
女がひとり
微笑みを浮かべて立っていた 

ガラスケース越しに
ふと{ルビ眺=なが}めるささやかな幸福

その{ ....
昨夜の飲み会で終電を逃し
駅前のネットカフェに泊まり仮眠を取った

リクライニングの個室で夜明け前に目が覚めて
出勤時間よりも一時間早く職場に着いたので
シャワーを浴びた後
休憩室の畳の上 ....
人と争うように働いて
話す気にもなれず
押し黙ったまま一日を終える

仕事帰りの公園のベンチ
あたたかいゆげで慰めてくれる
たこ焼を食べていると
目の前の通りを
なかなか客に呼び止めら ....
真っ青な空が広がる秋晴れの日
息絶えた老婆は白い{ルビ棺桶=かんおけ}に{ルビ蓋=ふた}をされ
喪服の男達の手で黒い車の中へ運ばれた

人生の終止符を告げるクラクションが低く鳴り響き
親族と ....
*前編*

 去年の夏、僕は声をかけてもらっていた詩の朗読イベ
ントの出演も兼ねて、神戸への旅に出ていた。旅に出る
と決めた時から、僕が敬愛する故・遠藤周作先生が幼い
頃に母親と通ったカト ....
 思い返せば僕にも「青春」と呼べる時期はあった。新宿・歌舞伎
町で地面にダンボールを敷き、夜明けの始発の時刻に僕等は立ち上
がり、それぞれの現実に向かって歩き出し、駅の改札で互いの手を
打ち鳴ら ....
誰かさんに怒られると
すぐに浮かぶのは言い訳ばかり

のどの奥に ぐっ と飲み込む

( 夏の窓辺には蝉のぬけがらが置かれていた )

ぼくの{ルビ至=いた}らなさで
誰かさんの表情を ....
仕事帰りの自転車に乗り
ふらふらと重いペダルをこぐ私を
野球帽をかぶった男の子が追い抜いてゆく
あまりにもまっすぐ走る恐れを知らない背中
暗がりを照らす街灯の立つ角を曲がって消えた

早朝 ....
今日も額に汗を滲ませて
門前払いは覚悟の上
蝉の鳴き声しか聞こえない
住宅地のあちらこちらを歩く私は一匹のありんこ

無数のピンポンを押して
ようやく玄関のドアは開いて
満面の笑みと話術 ....
レジの上に置かれた写真立ての中で
歩き始めたマスターの子供が
両手を握り {ルビ膝=ひざ}をかがめ
階段から飛び跳ねようとしている

怖れを越えた先にある
未来の着地点を
澄んだ瞳で{ル ....
教室の窓際の席で
空に浮かんだ雲を眺めて
先生の話はうわの空

君にはきっと
いつまでも見つからない
「探し物」がある

机の下に隠した携帯電話が
{ルビ理由=わけ}も ....
木葉 揺さんの服部 剛さんおすすめリスト(74)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
将来の夢- 服部 剛自由詩522-12-2
冬の朝- 服部 剛自由詩822-2-22
みみず- 服部 剛自由詩321-12-30
野球場の夢- 服部 剛自由詩421-1-7
麦茶の味_- 服部 剛自由詩620-8-31
電球のひと_――ダウン症児の息子に――- 服部 剛自由詩1120-4-8
即興対話詩1_~おもろい日々へ~- 服部 剛自由詩319-11-23
涙のあと- 服部 剛自由詩219-8-29
家康公- 服部 剛自由詩118-1-19
詩集「Familia」に込めた想い_〜(もう一つの世界)に尽 ...- 服部 剛散文(批評 ...509-5-19
幸せの文字_- 服部 剛自由詩508-8-14
雨夜の信号_- 服部 剛自由詩4*08-3-20
誕生表_〜太陽の花〜_- 服部 剛自由詩4*07-12-2
「_無_」- 服部 剛自由詩32*07-11-6
マグダレナ_〜渇いた女〜_- 服部 剛自由詩10+*07-4-14
「ピーマンの絵」_- 服部 剛自由詩9*06-9-27
虫よけの風- 服部 剛自由詩3*06-8-31
光の滲む雨の夜道を- 服部 剛自由詩18*06-2-24
「結婚」についての考察- 服部 剛自由詩15*06-1-17
恋の花- 服部 剛自由詩8*06-1-15
へろへろランナー_〜_いつかの僕との伴走_〜- 服部 剛自由詩10*05-11-18
白いゆげ- 服部 剛自由詩23*05-11-1
枯葉の散る頃- 服部 剛自由詩11+*05-10-18
孤狸庵先生の面影を探しに_〜‘04__8月_Poete_on ...- 服部 剛散文(批評 ...8*05-10-3
改札で詩友達と別れた後に- 服部 剛散文(批評 ...7*05-9-26
ぼくのぬけがら- 服部 剛自由詩6*05-8-26
空の涙- 服部 剛自由詩8*05-8-11
昼休みのラーメン屋にて_〜ありんこ営業マンの夏〜- 服部 剛自由詩8*05-8-9
Cafe_Le_Poete_♯2- 服部 剛自由詩6*05-7-28
いつかへとつづくあゆみ- 服部 剛自由詩5*05-7-27

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