気温25度ぐらいの
する事のない晴天の日は
それ自体がひとつの音楽だ
階段を登って空を見上げると
悲しい思い出が粘度の低い唾液となって
唇の端から漏れる
引き延ばされるありきたりなフレーズ ....
すべて消えてなくなればいい
想いも 愛も
淋しさも悲しみも
ここにいたという軌跡さえ
波にさらわれてしまえばいい
a dream
誰にも知られずに
消えて行く私の言葉たち
....
不安定な天気に
心模様のゆらぐ時
わたしは自らの存在の
「奥の間」に
小さな家康公を据える
信長のように、要らない者を斬るでなく
秀吉のように、天下を取って豹変するでなく
― ....
何十年も生きてきて
大抵のことは経験してきた
良きにしろ
悪しきにしろ
これからも色々とあると思うが
なんとか乗り越えられる
大丈夫さ
ここまで生きてこれたのだから
だから心配はしてな ....
百に絶望し 一に救われる
それが私の日常
つらいニュースは他人事だ
殺人はおおかた身内の犯行で
政治もただの自分本位で
植物の一途さを
私たちは忘れてしまう
物質とはなんだ
....
理由のいらない椅子が並ぶ
未明に墜落した紙飛行機の残骸と
食べかけのルーマニア菓子
砂浜の砂の数は
既に数え尽くしてしまった
栞の代わりに挟んだ魚が
静かに発酵して
すべての ....
東京駅構内
3歳ぐらいの男の子が
しまじろうのぬいぐるみを落とす
ハイヒールを履いた女性が
しまじろうをつま先でカスるように蹴飛ばす
20cm程前方に滑るしまじろう
し ....
カモメが空を飛ぶ
カモメの目の中で
僕は溺れる
溺れる僕は
工事現場をつくる
工事現場で犬は遊ぶ
どうして産まれたのか
なんて、犬のことなど
人は気にしない
大 ....
130613
悪質な内部者情報通報者は処罰されます!
まだ無い犯罪が生まれますから
お金に目が眩んだモラル違反常習者は
くれぐれもご用心
最低限のモラルが ....
風の愛撫に
はらり ほろり
八重桜が泣いた
すらり と知らん顔
真新しい翅を輝かせ
トンボは行ってしまう
墓地への細道
静かな午後
まだずっと若かったころ
感性は魚のよう ....
ケチャップ切らしちゃってと
大人の笑顔で彼女は言った
僕の目の前に置かれたのは
ケチャップがのっていない黄色い肥満体だった
まあいいさとスプウンを入れたのだが
腹から出てきたのは ....
むらさきの家具
光の終わりの
粉と冬
星や海や
息の位置
誰が花でも
花を咲かせゆく
どれほど苦しい
苦しさの夜にも
光の角が
片目からだけ伸びてゆ ....
苦々しい限りの“本音”を
彼女は黙って受け止める
そして、私をまっすぐ見つめて笑った
「まったく、口が悪いんだから!」
私も意地の悪い顔でふふんと鼻を鳴らし
「お互い様でしょ ....
窓ガラスに
幼い指紋がついていた
指紋をめくると
それは昔の日記帳だった
歩道橋で終わっていた
日記の続きを書くために
歩道橋を最後まで渡り
階段を下りた
まだ小学生で
....
ざわざわする
ほんとは 誰とも
繋がれないのではないかと
ざわざわ する
自分のことで 手一杯で
優しくなれない
ざわざわする
約束は果たされず
勝手なこと言って 浮いている
....
飛べるわけでもないのに
いつの間にか
こんなに遠くになってしまった
遠ざかったのは彼らなのか
僕のほうなのか
教えてくれるはずのあなたは
昼寝をしてた椅子のように
そっけなく ....
わたしが金魚の頭を
撫でているころ
ぼんやりとした扇風機は
薄暗がりの中で首を振り
幼い子どもが一人
どこかで帰る家を探している
ここだよ、と言っても
それはきっと
ただの ....
窓を開けて欲しい、と男は言った
壁しかない部屋だった
窓を開けた、とわたしは嘘をついた
男は両手を広げると
嘘の窓から青空へと飛び去った
ひとり残され
部屋を丁寧に折りたたみ
....
煩わしさと恋しさの狭間を
書きたかったのに
無骨な指は気がつくと
穢い言葉を叩き出していた
気ままさと淋しさの狭間を
言いたかったのに
愚鈍な唇は気がつくと
哀しい言葉を吐きだしていた
交差点と ....
【マルボロ】
かあさん あのね わたしがうまれた世界って
本当の本当は しろい正方形だったのでしょう
そこはとても清らかな場所だったのでしょう?
エタノールで消毒した 清らかな ....
初出:2000年「詩人専用シナプス」
ヒマな時によく、詩のサイト巡りをする。ちょっと前まではwebringの営業のために、投稿コーナーのあるサイトを見て回ってた。Googleという検索サイ ....
2010年1月の9日から13日にかけて、現代詩フォーラムにて第4回批評祭を開催します。
個々の詩サイトは閉鎖的だという論があります。その根拠はそれぞれの詩サイトが限られた利用者に ....
良質なノイズの海に身を投げ出し、波に逆らうことなく流され、海水を肺一杯に飲み込むと、自分が細かな細胞ひとつひとつの集合体であることが感じられる。脳に酸素が行き渡らなくなり、意識が遠のいていく。それ ....
薬が切れて震える父を
抱えてベッドに寝かせる
布団のしわなどが気に入らないと眠れないので
抱き起こし、位置を変えてまた寝かせる
そんな作業が延々と続く
父にとって毎日の睡眠とは
....
浮いた光は気まぐれに運ばれているのか
それとも決まった順路を漂っているのか
ただ、示されたとおりに視線を動かす
乾きから守ろうとする瞳は水の膜を張り
鮮明だったはずのものがぼんやりにじむ
....
花が咲いている
花の中に海が広がっている
散歩途中の
人と犬とが溺れている
救助艇がかけつける
降り注ぐ夏の陽射し
最後の打者の打った白球が
外野を転々とする
ボールを追っ ....
昨日はみんなでしょうゆうどんを食べにいった
ぼく以外のみんなはカレーうどんをたのんだ
ぼくだけがしょうゆうどんをたのんだ
どうしてしょうゆうどんを食べにきたのに
カレーうどんなんか注文している ....
象の尾に
憎悪がぶら下がってる
冷たい温度で憎しみは
僕の肉に染みついてる
ナメクジの
せわしない足音がする
雨上がりの動物辞典
神様、
席替えしてもいいですか
....
あんさん、覚えておきなはれ
京都のおんな、みんながみんな
はんなりしてるおもたらあきません
御着物似合うおもたらあきません
夜の先斗町はえらいにぎやか
酔っ払った兄さんたちがふらふらと
....
商品棚に並べられた
きれいなゼリー状のものに囲まれて
カイちゃんが笑ってる
時々ふるふると震えて
何も言わない
床に落ちている
貝殻や干からびたヒトデを
二人で拾う
昔 ....
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