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おまえんちで幕府開いてやろうか
昨日が冷えて来る
きみの小指から熱い砂糖水が滴り落ちてきて
わたしの両の手で受けたとき
ああ、きみは海から生まれた生き物じゃないのだ、と悟る。
根本的に異質な生き物なのだ。
わたしにとってもきみにとっても。
....
にょにんこうやのこうげんの
自動販売機のふいうちに
こぜにがない
せんえんさつのしわをてのしわよりものばして
七回も受けつけてくれないとのどのかわきにがまんできなく
やっと入れば十円のおつり ....
ともだちが予言してた、エリちゃんは爪が割れたらAV女優なるんだよって、それ、ほんとうだった。
教室でエリちゃんの爪が割れてほんのすこし血がにじんだ、エリちゃんは痛くないですよって顔をして ....
あなたが
大切にしまっておいた
イスの肘掛け裏の
鼻くそ
とうとう見つかって
しまったよ
整然と等間隔で
並べておいた
焦げ茶の木に
群れる小さな深緑色の
虫達は
「あのバカ野郎 ....
教室ベランダ紫陽花と
舞い踊った校庭の砂
瞼を閉じてゆれる
きみの前髪
樹木のおそらく八割のみどりの葉と
そこの葉緑素もみかたしている影は
マチュピチュナスカシラクサといった
昔話にしか出てこないまちの
まひるの火事のようにじぐざぐしていて
彼女はきょくりょく手 ....
左手から花が出るはずでした
その憤りは私が引き受ける、と靴が言った。
しろいおんなの
しろい足のうら
しろをつきつめると
結局しろでおもしろくなく
かるくおんなをついてみると
けっかんがすけてくる
くもがひろがる
芝生は養生中
入らないでね
あじさいの ....
すてきな溝があったので
かたほうの耳をそこにあずける
夏草は風にこすれ
虫たちが{ルビ清=さや}かな羽音をたてる
日の光のなかですべては
ひとしく ....
朝、
調律をはじめると
雀がどこかへ飛んでいった
かなしみのあまりこぼした涙が
きみの胸のうえでかわくみたいに
あんパンを頬張る
午睡のなかでぼくは
とうめいな壁になっていた
どこか遠いところから
木魚の澄んだ響き
井戸の水に棲むたくさんの微生物
午睡から醒めてぼ ....
冬の蛇のように
ゆるやかなとぐろを巻き
光たちはもう、
眠りに落ちてしまったから
わたしは雨の音だけが
心を満たしていてほしい
歌をうたうくちびるのよう ....
白は黒に変わり
黒は白く塗られ
なまぬるいポケットの中に
きみの望む明日はこない
夕暮れどき、猿が笑い
ビルの灯りがまたひとつ消える
ぼくの ....
よく電車の止まる季節
ひとも立ち止まる季節
嫌いになるひとも電車も季節も
ぼく死にたくない
みんなに干渉されるから
ぼくが死んだら
もうぼくに関わるのやめて
アナログ時計の夕日が沈む頃
わたしにSOSが届く
しなやかな息継ぎが人人を魅了する
そんなクロールに憧れるだけの
泳げない魚は歎いて、ついに
陸に出て腹をみせて
跳ねて転がってそして
....
伸びすぎた爪を切った
雨が吹いて桜の花びらは散った
たくさんの緑たちを巻きつけて春が夏に変わる
男の子がカナシミを知ってくみたく
女の子がタイクツを知ってくみたく
....
いい夢と
わるい夢がならんで
砂利のなかに混じっている
風はいつしか乾き、
口のはじが切れている
きみのざれ言は聞きたくない
きみの睫毛がうごくのも
....
わたし、食うわ、と言い放ったくせに
背をまるめて小さな口で啄むように食べる女が好きだった
(なぜ、わたしたちはおもいだす)
この身体がトルコ石でないと知るころには
トロイ・メライは終わっていた ....
つまらない話が
車窓のそばをながれてゆく
それは電柱に引っ掛かりしばし風に耐え
けっきょくは置きざりにされてしまう
きみの
うすく濡れたくちびるに
ポテ ....
口笛が苦手だった
草笛はもっとダメだった
シロツメクサの冠も
首飾りも夢で終わった
風がみてたそんな時代
いまは遠くわたしが望む
たぶん背丈は六歳の頃
レンゲソウが頷いていた
....
身体は
大人になるからね
危なっかしいよね
カールのかかった黒髪と
優しい指先
降りしきる雨
びしょ濡れになってね
身体は
大人になるからね
危なっかしいよね
....
緑の斜面で
息つぎしながら
遠くはなれて 青いしんこきゅう
くりかえすたび
さざ波
うまれては きえてゆく
五月の水際に よりそう
ゆるやかな
春の終わりを編みこ ....
鳥山が立つとき
海の深層には
おおきな迷いが泳いでいる、と
あの日 あなたは教えてくれた
あなたの育った長崎の海は
いつも
あなたを包み込んで
すべてを許し 微笑んでくれた
そんな ....
最近6なことが無いよ、
と7が言うので
6が無ければ7も無いんだよ
と言うと
7は5になって
軒下で雨宿りをする
押し出された5は
黙って雨に打たれている
水にも溶けないか ....
僕のなまえがとけてゆく
きみの
鎖骨にたまる、
やさしげな影の湖で
カタツムリの殻のような
気だるい模様を描いて
きみのなまえもとけてゆく
....
osarusandes編集
cold milk
間違いのない歌を
歌うには
冷たい朝
牛乳を飲まなければ
屈伸をしなければならない
牧草
茅葺き屋根の家の前で
わたしは上半身 ....
「おいちゃんまだかい」
少年と老父は夏祭り
汚れた小銭を握り締め
暑さの中に清涼をと
シロップ代を暴利に取られ
露天の親父に頼み込む
まだかい? まだかい?
待っているうちに溶け ....
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