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シャボン玉のなかの、人気の無いシャッター通りを
くぐりながら、眠れない半分の顔は暗闇の書架を見上げた。
玩具の戦争が終わったら、地平線のうしろに隠してある
重油の山を売り払って、腹が裂け ....
白梅も微睡む夜明けに
あなたしか呼ばない呼びかたの、
わたしの名前が
幾度も鼓膜を揺さぶる
それは
何処か黄昏色を、
かなしみの予感を引き寄せるようで
嗚咽が止まらず
あなた、との ....
殺風景なガラス張りの待合室に覚える
独特な曖昧さを避けてみるのも一興と敢えて
乾いた風の吹き抜けるホームに佇んでみた
乗ろうとして乗らなかった準特急の走り去った先には
見覚えのある古い建物 ....
「 いってきます 」
顔を覆う白い布を手に取り
もう瞳を開くことのない
祖母のきれいな顔に
一言を告げてから
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く
散歩日和の道を歩く
....
一反木綿
ブランドって何でしょう
トレンドって何でしょう
ステータスって何でしょう
セレブリティって何でしょう
誰かの視線につながれた風船になるよりも
飾り羽が多すぎて飛べ ....
僕が女になっても好きでいてくれますか
女に生まれていても 好きになってくれましたか
姉に生まれていても 好きになってくれましたか
僕の肌が黒くなっても好きでいてくれますか
日本人じゃなくて ....
ぬっぺふほふ
脂身 から にゅるんと 手と
煮凍り から ぬらりんと 足が
新月の 夜道を ぺたりぺたり 歩いて
軒下の 薄明かりに ぐんにゃり うずくまる
こらあげん の 垂れ ....
春 近く
今 輝く大海の一滴で
水晶を濡らし
世界の浄化を試みて
春を待つ
植物らの冬ごもり
陽光の射角
昇り 高まる
温帯 東京は
冬の日光浴こそ
快適な遊び
....
Nice to…
ああ、キン肉マンのおでこに書いてあるやつね
違ったっけ?
あなたは苦笑いしながらも頷いてみせる
完璧主義者を気取るあなただって
お母さんのお腹から出てき ....
全天の半分が
この太陽の光で圧倒されて
青空の透明感が増す
枯れ枝に太陽光は懸かり
直視できぬ もどかしさ
潮のごとく逆巻く直射光
日差しは小さな部屋を満たし始めて
また静かな一 ....
木枯らし騒ぐ 窓
カーテンに木々の影 映りざわめく
暖かな部屋
電気ストーブが赤い
鎮まる物らに囲まれて
空気が眠る
旭日射す
「山遠く銀嶺の風吹く街に」
立山連峰を ....
トランキライザーが必要な世代ではない
あたしはもっとポップでカジュアルだった
がこの時間になると目が覚めるゲロがでそう
睡眠障害とかパニックをカムアウトすることのだささを
ヤホーよくわかってる ....
夕方から
タイ古式マッサージにゆくことを考えている
残業している社員たちに
オフィスグリコを奮発してあげる
いちにちを祈ろうと
なんどか試みたけれど
タイ古式マッサ ....
日本人の、日本人による、日本人のための日本人論。自画持参。手弁当だね。ボランティアだ。誰だって口にあうものしか食べられないよね。ああ君、何か食べて美味しかったからと言ってひとの吐き戻しはごめんなんだ。 ....
都市の空 鈍く 射光を発し
緩慢な雲 白く カルマ吹く
夜景は開放を予感させて
私は空の人
今 自由の夜
音も無く
魂は暗闇に走り去る
思うさまに飛び散るから
夜の静寂が益 ....
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
お正月ぐらいはと帰った実家で
思いがけず伯父さんからぽち袋をいただいた
幾つになっても嬉しいものは嬉しい
おめぇにもやっからよ
おとそ気分全開な赤ら顔は楽しげに
崩したあぐらはすっか ....
私がまだサンタクロースを信じていた頃
父方の祖母と同居していて
私たち兄弟の面倒をみてくれていた
今にして思えば幼さ故とは言え
彼女には随分と理不尽ことしでかしたものだと悔いる
それなり ....
「死んでしまいたい」が口癖な君に
「生きていれば良いことあるよ」
と言いかけて言い切ることができなかった
それを時代のせいにしたところで何になるのだろう
夢とか希望を持ち難いこんなとき ....
夜に続くマーチ
あしたの朝は
おまえのノイズ
消えているか
聞こえているか
12月11日
たぶん5年まえ
ラブホテルで
ほか弁を食べた
きよしこの ....
お寿司とお刺身の
違いのように
僕らにも違いはあるだろうか
と話す
その人のことなんて
何ひとつ知らないのに
握り合う手と手は
生ものの
さかなのように ....
神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので
幸せになりたいとお願いしてみた
神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた
期待に胸膨ら ....
何もない昼に
見てみたいのは
海の上に向かう道の街路樹
真夏の光
三十三度以上の空気が揺らめき立ち上る町の
そのビルの斜面
ざらついた肌
金色に濡れたみたいに ....
あまたの
あふるる
あだなる
あだじお
あらぶる
あかごの
あぐねし
あらなみ
あしなみ
あそばし
あまねく
あまのめ
あこうの
あたまも
....
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで
銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
....
わたしに幸福を、と
願えることの その幸福を
わたしは いくつも
置いてきた
たぶん、わたしたち
水槽のなかに
生きている
そこは程よく窮屈だから、
ぬく ....
冬だからと言いわけして
ぬるい布団に潜っている
風が冷たいから外に出る気も何もしない
小さい頃から怠けていたから
今になっても億劫で
稼ぎも無いのに働かない
インスタントで食事を済まし ....
羽がなくても
ひとは空を飛ぶ
鳥でした
片方をなくしてしまった
羽を見つめながら
ひとは
時々そう思うのでした
かつて
手をつなぎあって
羽ばたいていた
時間がありま ....
さかなによく似た
君に寄り添って
みたこともない海の
話をする
あなた だってそうでしょう?
本物じゃない
ここにいる僕たちは
だからこそ 寄り添って
途方に暮れた
....
買い物に出かけた初冬の街角で
あのひとの姿を見かけた
両の手のひらをパンツのポケットに入れ
開店前のパチンコ屋に並んでいた
私の姿に気付くこと無く
他愛も無い夢と引換えに大切なものを ....
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