すべてのおすすめ
用がないのなら蔑んでほしい
花瓶に毒薬を満たしてほしい
洗浄された小さな濡れた手を無造作によこして
あの虜囚の唇をバラバラにしてほしい
街頭の窓からそぞろ歩きする骸骨をみたんだ
そいつは ....
ほおかぶりして
通り過ぎるのは
ぎりぎりの
きりきりの
痩せすぎた
頬の痩けた
猫のような男
おのれのことだと
思いながら
角を回るのを
見届けた
見えなくなって
一安心
....
音楽室の
Yちゃんの真新しい椅子の後ろに
Yちゃんの埃を被った椅子
その後ろに
Yちゃんの足が折れた椅子
その後ろに
ばらばらになった
Yちゃんの椅子
その向こうは
床が崩れて
そ ....
カーテンの裏に潜んだ結露を
指でなぞると
するすると雫は流れ落ちて
行き場のない小さな水溜まりは
冬の外気と人の温みのあいだで戸惑っている
わたしはうっすらと冷えた指先を持て余しながら
....
詩によって わたしは命をもらいます
世界を覆う 黒い雲が
皆の目を 潰してしまっても
詩によって わたしは光を与えられます
ああ 詩は
悲しいほどに わたしを 捕 ....
一日中、果実遊びをして
手がスベスベと、そして匂う
帰り道は昔話のようなカラスが鳴いて、
石を投げつけてやった
ふと見ると小指に葡萄がひとつ
まだ刺さっていて
それは黒真珠のようでした ....
楽園を求め続けた
いつも
いつも
その楽園での生活を
望み続けた
時々
何故自分はその楽園の住人として
この世に誕生しなかったのか
そう嘆いていた
神様を呪う事も多々あった
....
閉じ込められたような空間
止まっているかのような時間
かげろうのように生きている
冬の弱い日差しでは輝けない瞳
閉じこもって出たがらない足
冬眠したがっ ....
死ぬか?と雪男君は行った
地球防衛軍には入れなかった
皆と一緒に卒業式にも出られなかった
この冬に二冊の同じ漫画を買った
真っ青な
春
1、2、3、4
退屈だよね
5 ....
銀色の宇宙船が
うさぎのいる月まで
飛んでいきました
天の川には蟋蟀が
茅葺き屋根の家には
天邪鬼
死んじまえ
うさぎは呼吸困難
耳の奥のキリギリス
大合唱さ
オーケストラ ....
大切なことは目に見えないんだって
王子様におしえてもらったの
それを失うことでしか
気づくことができないから
人は罪深いのよね
大切なものは目に見えないんだっ ....
融けきらぬわたあめが喉にひっかかる
飲み下そうと、水を流し込む。
前に進もうと両腕をかくと
ふわり
纏わりつく。
わたあめの湖はどこまでも続くようで
いくら水が流れ込 ....
二十三年間生きてきたのに
おめでとうのひとつも
満足に言えない
そのことについて
頬杖をついて考える
一人で
室内で吐く息は白い
ストーブは足元ばかりを熱くする
家 ....
海よさけべ
叫ばないのなら
日蓮上人がおおいに叫ぶ
嵐よ吹け
吹かぬのなら
日蓮上人が荒れ狂う
日本第一の智者たらんと
大望をたてた男がいた
南無妙法蓮華経
禅天魔、律国賊
....
誰かの為、じゃない。
自分が好きだから、書く。
心は売り物じゃない。
彼女の記した聖書には
全ての秘密が書かれています
太陽の秘密
世界の始まり
隣のあの娘の
行いまで
全ての秘密が書かれています
お金や権力を持った人たちは
こぞ ....
「みそうどん」
大好きなうどんの
脳味噌和え
少し辛みがきいてるけれど
隠し味とでも思いなよ
ちゅるちゅるちゅる
冬場より夏の方がおいしいかもな
ちゅるち ....
冗談を言い合って
ケンカして
怒って拗ねて
ちょっと冷たくしたってさ
結局君が大好きで
離れたくないんだよ
なんだかんだ言って君が私の1番なの
いまもこれから ....
背中に冬を担いで
もう、破裂しそうな神経を抱えて
ここまで来た道のりを振りかえる時
時を告げる鳥が飛来する
まっすぐに放つ生命の熱
白く空間に溶けていく
傷つくことを怖れて
....
くちびるは濡れるから
ことばもいつか
濡れてしまう
めぐみと呼ぶには
砂ぼこりが多すぎる
古びてゆく壁に耳を寄せたら
わからない音だけが
あふれて
古びていたの ....
ぐうぜんにころぶ
それは必然なんだ
ナベダ。と、いえば白菜
椎茸と人参、牡蠣も好いし
牡丹肉も好い、
豚でも鶏でも好いけど
鴨が好い。素晴らしく鴨は美味い
しかし皮ハゲも好い
肝をすり潰したやつとポン酢でいただく
そし ....
ねえ、あなた、
あたしの世界は紙でできているのです。
うすっぺらな、もろい、紙、
吹けば飛ぶ、濡れれば融ける、紙、
古くなったらほろり崩れる、紙、
紙、
もちろんあなたも紙でできている ....
もっと自由な筆先
四千七百枚の絵画
その内二十三枚が
君の情景ならいい
土に腐蝕した躯
奇跡の孔雀の色彩は
燃えた様に
震えた様に
空中には寝返りの浮世絵
吐息と履歴書の ....
「心は繋がってる」なんて言われても
淋しさや 切なさや 胸の痛みは消えない
ホンマは あんたから逃げられへんように 繋がれてるんちゃうか?
逢いに来てくれない 触れてくれない 抱 ....
遠く、色褪せた想い出。
―――「Remember」
茜色に染まった空を
不意に見上げてみてみたの。
真紅の紅い、宝石みたいな太陽が
地平線に、闇の中に、消えていく。
そんな幻想的な風景 ....
1
ビ・バップが
ハード・バップに移行するように
文字は飢えを凌ぐように増殖し続けて
マイルスが観客に背を向けるように
日本語を詭弁でひっくり返してゆくが
そこには表も裏も権力が ....
せっくすの意味を知ったのは、
煙草を覚えた日だった。
せっくすの女が吸っていたのを、
もらってはじめて吸った。
だけどはじめてせっくすしたのは、
その日じゃな ....
水が割れるのです
いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです
うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です
紫色の ....
{引用=
なぜか生き延びて、
帰宅すると
既に ことばが在った
このことばに アソビ半分 というよりも、
理由のない つよい衝動によって
試みに 瞼を閉じ 映りつづくことばの像を ....
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