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心地よい大気に
二酸化炭素の灰は
静かに降り積もり
街路樹がしめやかに光合成を始めて
朝の街は足早に行き交う ひと ひと
流れる河の勢いが増す
何も語らずに
そこに建つ ビル ....
(1)
あなたにはじめて出逢ったのは
この廃屋が未だ駅舎として機能していた頃のこと
夏草の浸食に怯える赤錆びた鉄路と
剥がれかけた青森ねぶた祭りのポスターが一枚
この駅を訪れるひとと ....
そして雨に濡れた
木は影さす
雨の木の影は遠景の都市を覆い尽くし
雫の滴りが大地に潤いを与えていた
雨雲の空
そそり立つ木々には滋潤
幹には伝う雨
影が色濃く大地に降りる
....
静けさを測る術を探している。冷たさには限界があるのだけど、
静けさを測る術を探している。住宅街の、小さな公園の、真夜中、ブランコをこいで、こいで、鉄の鎖を軋ませて、泣いてしまいそうだ、どこかの家 ....
伏臥の悦楽がやってきて
無音の法悦に浸りながら
大気の肌に触れたなら
読みかけの「ジャンクリストフ」
どんな偉大さでも、偉大なものはすべてりっぱである。
苦悩もその頂点に達す ....
ニュースも見ない
気晴らしのバラエティーなどもってのほか
パソのスイッチは錆ついて
空を ほらこのとおり見上げて
小鳥の声が存在感を増し
たまの音楽はクラッシック
ベトーベンにフォーレ ....
午前中 やるべき事を済ませたなら・・・
軽い昼食と読み止しの本が本棚から取り出され・・・
午後は街に出る
見慣れた商店街
人通りが心もち多いのか
気候が良い分 空気と肌の触れ合いを楽 ....
湿り気を帯びた
黒潮からの風が流れくる
幾分か柔らかさを含んで
太平洋の西のはずれ 日本列島 梅雨
空気が清々しい 今年
寒暖の激しさは何処へ
二酸化炭素の濃度が増えて
肺が ....
同じフロアの同じ間取り
南西向きの小さなワンルーム
好きなひとの去ったベッドに横たわり
ひとりの男の死を想ってみる
駅前のスーパーで買い物を済ませ
近く有料になるとかのレジ袋をぶら下げ
....
自ら築いた家庭を守る
そんな当たり前の事ができなかったのだと
あのひとは言った
幸せそうな笑顔の傍らをすり抜けるとき
言い知れぬ悪寒を覚えるのだと
あのひとは呻いた
家族のために自 ....
汚水の流れる川の上
工業団地と市街地を繋ぐ橋
毎日多くの通行人が行き交う
弁当箱を抱えた土木作業員
金色ネクタイの青年実業家
貧しい身なりの痩せた老人
手にした紙には“SPAR ....
黄色いニュースが
少女が青年に襲われたと呟いている
放送コードを守った言葉で
暴行されました
乱暴されました
それに耳を犯された私は
どこまでやったのかなあ とか
どんな風にやっ ....
蛙はいつもの様に跳んだ
ゲコゲコッ
膨らむ両頬
夏の陽射しは
緑葉のドームを透かし
蛙を照らそうとしていたからだ
ゲコゲコッ
蛙の着地点は空き缶の上だった
....
円盤来襲
円盤来襲
機銃砲弾
一身に受け
防衛手段
既になく
退避
退避
指揮系統は
支離滅裂に
あふれかえった
避難民の群れ
炸裂 ....
台所で人形を洗っていると
まだ生きた人しか洗ったことがないのに
自分の死体を洗っている気がして
かわいそうな感じがしました
列車が到着したので
あまり混んではいなかったけれど
....
目が合った
ヤバい
ヤバすぎる
めちゃくちゃ
怒っとる
睨んどる
体が動かん
時間は止まる
試しに
手でも振ったるか
ヤバい
ヤバいですよ
メンチ切られとる
強張った
....
ストーキング
ストーキング
やほー
やほー
岩化け
木化け
山に
化け
鏡の中を
覗みこみゃ
ついてる
ついてる
一匹
....
フウテンの辰旅日記(その一)
おれは途中下車してよ
その駅では
もう列車はないてよ
夜だったよ
真夜中に違いねえ
腹が空いてよー
左の角に
一杯飲み屋
暖簾をくぐれば
女 ....
{ルビ老魔法翁=ろうまほうおう}と呼ばれた男は仮にも聖職者
純真が光るヒールアイドルの歌にゃ重苦しいドラムが響くのさ
やれあいつは公務員だからくそったれさ
そっちは米兵だから鬼畜なの ....
忘れられない恋 育てる愛
あなたと歩いたあの公園を
今もまだ歩いている
隣には彼氏がいるけど・・
いつも必ずあなたが立ち止まる場所で
私もいつも立ち止まり
夕日を眺める
彼氏は不 ....
海野小十郎
きみ子 宮房さのみ作曲
海野小十郎作詞
停留所、待っていた君の
横顔、どうしたの
待っていたんです
さっきから
とっても嬉しかったん ....
前略、DEVOを聴きながら
うつむいた冬の溜息
遠くでおはよう 太陽がそっと包み込む
荒れた喉に あぁ風邪をひいてしまったなぁなんて思っていると
置き薬のセールスマンが ....
天窓から降りてくる自然光で
満たされた
新しいホールのエントランスで
君は未来の話をして笑っている
ただ与えられた職務を全うするだけの犬が
大理石の廊下に
爪の音を響かせんばかりに存在 ....
ルーズな踝はいつのまにか姿を消し
タイトな紺色が街を闊歩する
こんな横並びを欲する時代だからこそ
曖昧なままでは許されないと言わんばかりに
膝上近くまで引き上げられた紺色に感じる息苦しさと ....
一.
舞いそこねた息が
蜜擦れしている
まつげのながさは
わたしたちのいのち
二.
等分できないものをささえる
ゆいいつの幕間
背泳される 水は
....
【Vermilion】
熱帯夜
切れ切れに見た
夢
それは鮮やかな
夕暮れの朱
軽い知恵熱
黄昏時には
人が狂うって
そんなことは
露知らず ....
いくら落ち目のわたしだからって
何でこんな仕事しなきゃいけないのかな
数人のテレビクルーを引き連れて
どれだけ歩いてきたんだろう
雲の上を歩かされるなんて思ってもみなかった
富士山の ....
闇の中を漕ぎだしていた
引きよせるのは
奈落からのとろりとした旋律
あらがわず
身をゆだねることの心地良さ
どよんとした
澱に堕ちていく意識
にぎった櫂がゆっくり波紋を描く
....
冷凍庫に
たくさんの思い出が保存されている
消費期限が古いものから解凍して
毎晩妻と二人で食べる
これは去年の夏の海ね
妻がうれしそうに話す
去年の梅雨の日のドライブ
まだ残って ....
羊たちが目覚めて草原をさまよう、朝の陽は山々にさして、青みがかったきみの虹彩に映るのは昨日落としたまま忘れてしまったきみの幼年時代だ、きみは蜂のように騒ぎながら羊たちと踊る、朝の食事の合図が聞こえてく ....
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