すべてのおすすめ
裏から表までの30メートルに世界があった
国道1号線を命かけて 一目散に横切るのだ
安楽の幅2メートルは ユートピアへの出入り口
たった20センチメートル背中の側をかすめ ....
役割が与えられました 大きさがよく分からないし 形もよく分からない役割です 伸縮自在に動き回る役割に 僕はうまく当てはまらなければならなくて 僕は完璧じゃない 僕は失敗する それでも目に見えて追いかけ ....
いつかすべての花が閉じるときに
できることならそれは夜明けがいい
未定の連鎖を勝手に感じさせる
できることならそれは夜明けがいい
かすみ草の花束のなかに
....
破裂した精神から
無数に咲き乱れる
色とりどりの気球
大気圏を目指すアストロノーツ
「僕らはこの星の火傷そのもの
剥離する瘡蓋だ―― 」
――なのに捨てきれない!
抱き寄 ....
きみが霜の降りた髪に
はらりと留まる薄紅の色に酔う
積もった時間は
古い層から固まりゆく
春を迎える度に
漆のように重ねてきた
嵐が吹き荒れた季節
その黒髪の一本まで
この手の ....
もうカーテンは暖かいよ
朝の日差しは
ひっきりなしにカーテンを暖めてるから
カーテンは暖かいよ
カーテンをさわってごらん
とっても暖かいから
暖かいカーテンは
冷たい指に ....
草木萌動
そうもくめばえいずる
厳しい季節を越えて
蓄えられてきた力が
和らぎ始めた光と風の中へ
堪え切れずにはみ出す
樹皮を突き破って
凍土を持ち上げて
命のベクトル ....
鳥の姿の失せた空には
鳥のかたちの欠落がある
影が消え
言葉は失われても
羽ばたいてゆく記憶が
風車をまわす
失われた鳥の形の
風が舞う
私は
声を出せるだろうか
....
私の春は
淋しさを引きずっている
軒下に忘れられた草履は
雨に濡れたまま
旅は何を残しただろうか
心の破片を握り締めた時の
右手のひらについた傷
流れた血は土が吸った
白樺の林 ....
あなわが君はいと雅び
篠笛に唐の秘曲を美はしく
衣も艶やか位もあてに
おとどの御子とおはすなり
さる年のさる冬なりき
雪の中道失ひて伏し給ひ
わが山がつの小屋にして
心ばかりの手 ....
思い出ははるかな昔
若い日の夏のひと時
あなたの瞳さやかな髪
緑の山はわたしたちを
つつみわたしは歌った
あなたは銀笛を吹く
その後ろ姿のさやけさ
声ひとつなく別れ
記憶はついに絶えず ....
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた
毎日々
ベルトコ ....
Vの発音 Vの発音 Vの発音 Vの発音
言語聴覚士に何度も発音を矯正される
だけどまだできない
標準的なVの発音
ボールを投げて キャッチして
ボールを投げて キャッチして
作業療法士 ....
【透明なマグマ】
あれからというもの踏切が 透明なマグマだ
車を走らせていて
次第に車を減速させ
遮断機が ゆっくりと降りている
車と車の隙間を ゆっくりと歩いていた猫が ....
すべての人の死を、ぼくは悲しめない
毎朝、挨拶したり、一緒に食事をしたり
セックスをした相手の死すら悲しめないこともある
フィリップ シーモア ホフマン
ぼくはスクリーンのなか、
何 ....
異国の少女の瞳のよう 青く澄み
だが雲はお構いなしに夢の中の鰐だ
純白に生れ落ち
気まぐれな冬の微笑みにほだされる
だが夜には冷たくあしらわれ
朝には固く汚れた肢体を通りに ....
次女の髪を梳いた櫛に付着していた
薄茶のフケのようなもの
それが動いた!
二ミリにも満たない生物が
私に与えた衝撃
一体どこでうつされたのか?
GHQが散布した白い粉によって
やつらは絶 ....
黒いアイリスは
男の喪に服した女だ
ジョージア・オキーフが描いた
花の絵は
どれも女の顔に見える
花が儚く美しいという概念は
もしかしたら幻想なのではないか
もうこれ以上
対象に接 ....
新しい言葉を綴ることは
新しい土地を開墾するように
そこへ種を蒔くように描いてゆくこと
自由を描くことは難しい
だれも自由の光をみたことがないから
それでも描こうとする
愛を定義す ....
薄暗いその部屋で わたしの足にそれは抵抗した
拾い上げると白いおりがみ
おりがみだと思い込んだのは それが真四角だったから
左下に気持ちの悪い折り目がある
不幸なことに 左下 ....
温かいご飯
温かいお風呂
温かい布団
この三つは
心まで温めてくれる
寒い冬の夜
わたしは寝る前に
下布団とシーツの間に敷いた
電気毛布のスイッチを入れておく
しばらくし ....
肘が腫れた
誰かに肘鉄砲を
食らわしたわけでもないのだが
発熱したのでさすがに怖くなって
病院へ行った
かなり炎症してますね
頬杖をつくのが癖なので
おそらく妄想を巡らせてい ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅
その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。
かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
花柚子を貰った
実家のお向かいの家で
段ボール箱3箱も採れた内
実家でいただき、
そこから、
わたしも鍋いっぱい分けて貰った
柚子は好き
柚子胡椒も好き
柚 ....
冬の肌は
こわれもの
夕餉の火を落とし
手にたっぷりと
クリームを塗る
ひび割れから
そっとしみこむように
日常というものは
重力がある限り
何処に行ったとしても
そう変わ ....
ざらざらの掌で
温められ
擦られ
撫でまわされて
摩耗した挙句
まるく つややかな光を放つ
表面に一点の翳りもない
器が
轆轤の上に
遂に生成し得たとしても
掌の持ち主の
荒れた ....
ゆらゆら路地裏に消えていく猫の尻尾
日曜日の午前9時
空がある
雲はない
宇宙がどのようになっているか いつの日か科学は突きとめるだろう
宇宙が何故在るのか 誰も永遠に分からないだろう
テ ....
とある娘に、とある感情をいだき
とある表情に、頬を赤らめる
とある私
春になったら、君に想いを伝えよう
夏になったら、君と海を見よう
秋になったら、君と手をつなぎ散歩に行こう
冬になったら、君に寄り添って暖め合おう
来年の春になったら、君にプレゼ ....
猫だけを置いて
家人が出かけてしまうと
猫は人になると飼い主は言う
電話が鳴る
猫は眠っている
電話が鳴っている
....
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