大麦小麦の大火事は黄色いラジオペンチでした
訪れたCH地方の緑の丘陵は、M川が西から東へ流れるダーク
グリーンのライン、N3が東から西へ切り込む水色の線。
天地分離南風 ....
ひよこひょこひょこかえるのこ
けろけろわらう おじょうさん
さんごぷくぷくうみにさき
さきみだれるわ さくらのら
うなじのあたりが
ピリッピリしている
神経痛かな
いや、それとも
いつものアイツ
アイツは時折姿を見せる
いや、肉眼では見えないのだけれど
幻覚でもない
ソイツは時も場所も問わ ....
私には保証書がない
雨は灰を帰すから
空が大地が、きらめいている
くやしい
鮮やかすぎる日中
それでも静かにお茶する。
珈琲の苦さが、じんわりと重みのなかを通過して沈み広がる
夏でも ....
薬指で唇をふちどる
慣れるということはない
深々と 息を吸う
いっそ無心に吸う
わたしのごちそう
仰ぐ因子
風を口にふくむ
上昇する本能
ここは分解の森
わたしは湾曲した小さ ....
恥ずかしい
忘れていたなんて
どうかしてる
生まれたこと
末端の夜で
日常にある
輪郭のない
さびしさを
手繰り寄せる
その顔は
か細くゆがみ
青白い灯火に
照らされて{ルビ寝=い}
さまざまな角度で欠けている
ほおいほおい
呼 ....
サービスで付いてきた
しおりの柄が気にいらない
本の中身は上等なのに
どうにもこうにも
これではいけない
気にいったしおりを
自分で作ろうか
それでは本に失礼ではないかな
それでも ....
遠のいていく
夢の終りの予感
連続する瞬間の
寓話的イノセンス
遠のいていくわ
雨
音楽的無添加な透過
指の形良く
挟んだ煙草と
くゆる
正視の冷却
覚めてゆく未知数
....
+TATOOの悲しみ
水商売をもれなく売女と呼ぶ
その在庫表の端には
くたびれたドラえもんが描かれている
規則正しく働ける
抜け目ない線とスイッチの裏の
せわし ....
洗濯物をたたむうちに
不意に可笑しさがこみあげてきた
昨日までの
それまでの
汚れを落した衣服の形
そうだとしても
ひとつひとつ
笑顔や葛藤や
その他{ルビ諸々=もろもろ}の生活を ....
くらげはもう水みたくなって
やがて海になるだろう
溢れる 空想を両手にとって
きみは穴を掘っている
隣で海を耕しながら
私はそれらを見つめてあげる
....
小鳥の瞳に恋をした
少女は
空にキッスして
ことばを失った
あ
{ルビ喃語=なんご}が空を切る
熱い吐息に
幼い印象の前髪は
こころなしか
ゆれてしまって
ほほえんでいればよかった
時空の過失
それがゆるさなかった
遠く
白鳥座の
あれはなんだったか
暗く重く奥ゆかし ....
ひとしれず
くさかげのはいいろに
ある男女のすがたあり
わたくしと
しねる?
ああ
それがさいごの会話だった
涼やかな目
はいいろが 濃くなる
しなやかでとげとげしい ....
「 雷 浴 」
あめは
ふっている が
あつ すぎて
やけに
かわきやがる
かみなり
を よぼうか
かみなり
を あびたい
....
私の
家の裏には
杉林があって
その向こうには
すこしばかりの空があって
夏になれば
蝉時雨が満面に鳴り響いているのです
しばらくそれを
みつめていると蝉の声が深く
静かに命を説いて ....
どちらから
わたしの見ている世界は一つではないらしい
多次元的(あくまでも「的」)に
連なった酔った琴線
縁側の夜で
わらう猫
どちらから
白の黒さから
歪んだ笑み
しか ....
{ルビ理由=ワケ}もなく泣いた 空の{ルビ下=モト}
見あげればとどかない青い空
手をのばしせつなさ鮮やかに弾けた
絶望の声 咲く花
切望の音 行く風
流れる時をつなぎとめていたい
螺 ....
は、しめっているというのに
雨は、
雨の
仄暗き
雨の奥へは。
らんららんららん
質量に囚われず
なんてつべこべいわず
我が身を笑え
されど迷うなかれ
じっとりとした空気は ....
ああ、旅をしているんだな。
揺れるクレマチスの青い花。
ああ、ひとりでいるんだな。
夏が、終るとするにおいが、
今日はしているのだけれど、
どうしてなんだろう。はて、
どこへ行こうとしてい ....
夏の幻に消えいりそうな呼吸音
いますこし
いますこし失うものは
命のみほかはぜんぶ
あげる
あげる過去の熱
無重力する
肺をこげつかせる
ゆううつな吐露
だすあてのない
手紙机 ....
いつのことだったか
おーきな木に寄りそって
声もなく泣いたのは
知ることのできた空は
果てを知らずに膨らむ奥行
しっとり流し目をすると
逃げ迷う合せ鏡の黒髪
時が来れば尽きる
....
渇く渇く渇く潤う
行き止りのない道を
いつまでも
忘れていることがあるにせよ
それは帰れない{ルビ道程=みちのり}であって
忘れていることなど何もないのだ
あどけないうすい影は
....
己を知るは己のみ
知らぬ己は白目むき
嘲る己に己嘲り
( そんっな事だけぇ人間は ! )
( こんっなモノだけぇニンゲンは ! )
誰は誰でも人は人
人は人だけぇ人 ....
カツン
病院の夜
廊下に映る非常灯
漂う薬品のにおいに
鈍く刺激される静寂
今夜は無風
女はそういったことを言ったと思う
喫煙所の密室(いまどき室内なんて珍しい)
いつからここにい ....
夏の僕等
この島はもうこんなだけれど
チョコレート
チョコレートの包みを
あけたのは
退屈なカエルが
土の中から這い出て
鳴いたから
スカーフ
ほめたら{ルビ白髪=しらが}まじりの
老婆がくれた
....
雨ですねぇ
雨ですねぇ
夜中にふる雨は
なぜか
さわがしくてしずか
布団の中で
ほくほくときいているのに
冬の雨は
身にしみて
つめたあい音がす
る
ぽと ほと と ....
(〜イキル事など オシマイダ〜)
(〜イキル事など オシマイダ〜)
己の{ルビ深淵=しんえん}に 浮かぶ銀河は次元の彼方
独りのものには
花火の音で事たりる
....
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