あだしのくんは、
ときどき冷たくなる。

あたしの隣で眠っていると、
あだしのくんのからだが冷たくなる。
あだしのくんの蒼白い肌が、
さらに蒼く透きとおって ....
俺の夢を喰って消化不良を起こした
そんな貘を捕らえるのは簡単さ
よっぽど腹が減っていたのか
喰い終わってすっかり夢の中

起こさないように
そっと近づいたら
両手足を縛って  ....
体で繋がるしかない

気持ちは見せたくもないし

伝えようもないから

体で繋がるしかない


少し震える右手を

気丈な左手で押さえつける

すべては

結果でしょう? ....
今あなたが見ている空は
どんなにがんばっても
裏側までは見ることができません
けれども
その裏側を想うことは
できるはずです

今あなたが見ている人は
どんなにがんばっても
心までは ....
雪のじゅうたんの上をゆっくりと歩いている

例えば君がココから居なくなるのなら

僕はなんでいきてるか分からなくなるよ

愛しているたくさんの人たちに

この小さい胸の中の思い ....
なぜこんなにも
何もできない自分がいるのだろう
がんばれば
多くのことができるというのに

なぜこんなにも
何もしない自分がいるのだろう
やりたいことが
たくさんあるというのに

 ....
真っ白いグランドピアノの上で
カジノで稼いだコインをばら撒いて
捩れるように踊る

東京タワーの天辺から
吐瀉物を撒き散らすように
キラキラと言葉を撒いて
そこらじゅうに
栗の花が咲け ....
君想う

僕の心に

光さす
日だまりの中に飛び込む
パシャンと光が飛び散る
明日やあの人の背中へと
破片が突き刺さって行く

昨日たくさん照りつけた
残り日がまだほのかに香る
ママが干してくれた布団のよ ....
なあ今日は
おまえが好きな
政治的なバーはよそうよ
そっちのほうがビール安いし
人々もいいけど
外国の刑務所に拉致されてもどってこれない
バスクの革命家たちの写真を見る ....
紫色の光が
車のフロントガラスを突き抜けると
冬の夜を始める
光は焦点へ集まり
紫は黒に変色し
やがては海を創り出す

緑と赤の点滅が
眼球のレンズを通り抜けると
冬の夜を始める
 ....
メモ帳のハジッコを食いちぎる足が
ある
過去帳の真ん中に指を突き立てて
先祖の位牌を燃やす
あれは
おれは
過去から来たのではないのだと
ググったら855件もでてきやがった
過 ....
   一

 さあ、食べるんだ )))

黒いベルベットの目隠しが
 君の自由を、覆い
与える匙の 潰しイチゴ。
 ――甘いだろ?
 海のように ただ果てしなく拡がる、
 波打つ絹の ....
{引用=357番の札をお持ちのお客様ー}


はい、睡眠口座の開設ですね
定期預かりにしますか
普通預かりにしますか

はい、普通預かりですね
いつでも定期に変えられますから
定期の ....
{引用=───それは全宇宙での
   些細な惑星衝突なのだ
   おまえとわたし
   という星の}


角を曲がったとたんに
猫と目があった
どこにでもいるような
ありふれた灰色猫 ....
今日は晴れたので
畑の土に足を踏み入れてみました
乾いた土が靴の中に入って
ついには裸足で歩きました

今日は晴れたので
あいさつがいつもよりも
大きな声でした
返事も大きな声で
つ ....
ぼうぼう山の狸が言った
そっちの煙がくさいから
こっちも負けじと火を付けた

乾いた木々が燃えていく
嗚呼燃えていく燃えていく
これであんたの山の煙も
気にならなくなった
 ....
ロウ石の描いてゆく円のあどけなさで
季節を跳ねわたる赤い女の子は
その胸に、またひとつ
ちいさな宝石をあつめて

伸ばしかけた指先
静かにたたむ陽だまり

いつか
桃いろの少女へ
知らない町にやって来て
四畳半のアパートで暮らす
目に映るモノは
何もかもが新鮮で
同時に僕は
どうしようもなく
一人であることを
実感する

部屋
かつて人が住んでいた部屋
そ ....
辿り着いたよ世の果てに
走りながら立ち止まりながら
疲れ切って時に歩きながらも
辿り着いたよ

世の果てはとても温かい

知らなかったよ
いつもただ付き従う
従者のよう ....
あなたはこう言うのです
自分は汚い言葉を吐き散らしながら
生きている、と

誰かを傷つけることを知っていて
誰かに同情して貰いたいと知っていて
汚い言葉で世を罵ると

私は ....
いなくなるとすぐ生きてる?と聞く
そんな時間だった
死んでる?

私はもう何もないから
こわいことばはみんなまほう
  
  おばけも信じてる

ゆれるゆりかごがあなたのおうち

 ....
夢の中の街は
思っていたよりもずっと
重化学工業だった

建物はすべて
高度経済成長だった
メインストリートでは
地元の人々が
それぞれに近所話をしながら
いろいろな店へと入っていた ....
雑草は何であんなに強いのだろう

人に踏みにじられ

季節の変化にも動じず

しなやかに立っている

そういえば、僕も昔は

雑草生い茂る土手で

ダンボールで土手滑りをして
 ....
薄暗い喫茶店の一番奥の席で待ってるから
美味しい珈琲を注文して待ってるから
いつものセブンスターを吸って待ってるから
どれだけ遅れてきてもいいから
金色のマルボロを掴んで
お話をしようよ
 ....
 声を漏らさぬよう

唇を噛み締めたら 甘かった

 なにせあたしの血は 苺シロップでできているし



あなたなんかに 舐めさせてあげない

 ほっておけばすぐ すっぱくなる ....
命は、優しすぎる涙だ。
一粒、肌に触れると、
途端に僕はばらばらになってしまう。


命は、透きとおる歌だ。
僕の身体に沁み渡り、
細胞のひとつひとつがうるおいだす。


命は、無 ....
おんなにとっての
それは囚われ
深遠の亀裂より鉄鎖を垂らし
おんなは生きる
獣は獣
下履きから覗かせる鉄鎖を
見も知らぬ男に掴まれたとしたら
それが悲恋物語の序章
秋の日の静寂に我が身 ....
 今、時計の針は、午前二時半を回っている。この深夜に、何故か
僕はあなたに手紙が書きたくなった。(あなた)というのは、特定
の誰かを指しているのではなく、今、この手紙を読んでくださって
いる(あ ....
夜遅く 
街灯の淡い光に照らされ 
家へと続く道に伸びる 
老夫婦の影 

互いの腕を組み 
びっこをひいて 
揺れている 

( 街路樹の枝に結ばれた、赤い風船 ) 

老夫婦 ....
山崎 風雅さんのおすすめリスト(1310)
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