バクの夢
なかがわひろか

俺の夢を喰って消化不良を起こした
そんな貘を捕らえるのは簡単さ
よっぽど腹が減っていたのか
喰い終わってすっかり夢の中

起こさないように
そっと近づいたら
両手足を縛って
じっくりととろ火で焼く

気づいた頃には丸焼けさ
皮膚(かわ)もパリパリに焼けていて
ちょうど良い具合

夢を喰われたお返しさ
どんな悪夢でも
お前の世話にはなりたかねえ

あいつの夢は少し辛い
そいつの夢は涙がかかったほんのり塩味
こいつの夢は甘ったるくてネバネバしてる

どいつの夢もくだらない
味付けがなっちゃいない
その点お前の夢は
意外にも
とってもとっても
うまいんだ

最後にお前にも
喰わせてやりたかったよ

(「バクの夢」)


自由詩 バクの夢 Copyright なかがわひろか 2006-11-15 01:31:27
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