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「せっこう」
あのしろいせっぺんを
たとえばたわむれにくちにふくんで
したをはわす
さくらんぼのくきがむすべないしたは
おずおずとたしかめて
ぎょうぎのわるいおとなんかたてるんだ
....
みえないふねが
でるころに
おまえはひとりでうまれたの
かあさんがそういいました
つじのむこうのとおりから
にもつをもって
あるいてきたと
にもつのほかには
なにもみにつけ ....
この頃酷く舌が重いのです
昨日食べた刺身のせいだ
なまぐさいあれがいけなかった
バイパスを走りながら理由を探す
朝ついたつまらぬ嘘のせいだ
私は透明人間と歩いています
....
(天井にはたくさんの実がなって、今にも落ちるような気がする)
犬と抱合しましたの。 痩せた短毛の犬です。
私は十六日前に生まれた女。唖です。
この骨の肉は、絡み合ってようよう見えそう ....
お前の母さんだよと恐竜が言う
地下室の扉はひんやりしている
地下室の天井から縄が一本降りている
恐竜が肩を抱き、母さんに会いに行こうと言う
恐竜の皮膚はざらざらしている
....
1
かみさまから
えいえんのやくをにんめいされたので
しろいあきちにたってみました
ねていたときのことだったので
ほんとうはかみさまじゃなくてわるいもののさしがねかもしれない
みーみー ....
飴色の線が蜘蛛を伝って降りてくる
壁の染みは手を広げた形
翅みたい、
ぺらぺらのセロファンで
赤かったり緑だったり部屋を照らして遊ぶ
水葬には多分、オレンジが一番似合うと思うの
心 ....
「海をください」
衝動を燃やす手立てを海に聞く 冬の最中に血潮は熱く
「スピリタス」
屠殺の日 金が欲しいと振り下ろす きっと今日、今、君に会いたい
「光来る朝」
そのゆびが ....
青々微のアラン・ギット青年は、側女のヘンリエッタ・イワノア嬢に昨晩、手の甲を噛まれ負傷しました。
おかげで彼の深い灰色の目は、いつもにも増して憂いが見えるようです。
カフス釦やら珍しい魚 ....
貝の髪を洗う
肌は、染め抜いた青、水底の。
腰まで伸びた貝の髪を洗う
細く深緑色の長い髪は強い潮のにおい
油の膜が
綺麗に見えて
暗い底からは綺麗に見えて
....
アルドレイドは星を見る
オルドランを探して、もう幾日たった
南のほうから音がして
彼女には
それが予兆だと分かる
オルドランは橋を架けて
ひとり、地平を目指す
ただの涙に急き立て ....
よくにたるめら
たぶん むかし
いっついの けものだった
ほら おぼえている
とぐちのうえの どうのそれ
あるひ てのなか
ぽきりとおれた
ふれてみたかった ....
さげすらん・ぺぐ(梅の木の下)
く・くつぐ・くどぅ(月夜の晩に)
めぎ、めぎ・ふ・らむ・れすとりし(おとめ、おとめが蝶になる)
ばすで・を・きぬく・ふあまれれ(ヴィオロン男が爪弾けば ....
「冬へ」
波の立つ浜で声を待っている 強くなる匂い 「わたしはここよ」
「神話 ?」
母眠る 零る血吸いし地下茎に 乙女は実りてそのときを待つ
「花を宿す」
管の中 ....
細胞すべてが気づいてしまって
指の先から砂になる
寒さの合間で魚を逃がすと
私の鬼が ホウ と鳴く
息をするのは喉でない
呼吸をするのは肺でない
青い一つが ....
「憂国」
(次は右、今度は来てね約束よ)宛てなき知らせ流れて割れる
「橙火」
オレンジを投げつけ投げ捨て部屋の中 炎で胎を焼き尽くせたら
「岸」
春彼岸 何かを背負い行く乙女 ....
「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち
「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く
「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り ....
懐疑的な夜の上を
ひとり、女は行った。
光るものは
上にも下にも見えて
波が寄せるだけ、心が騒ぐ。
足元で魚が幾匹かはねた。
踵が折れて、靴は捨てた。
行きたい場所なぞどこに ....
もっともっと弄って下さい。
わたしは、
あなたのための最後の小鳥。
(そして嘘をつく舌)
せっかく色がついたのに
わたしにお声がかからないので、
欲望ばかりが成長しました。
(隙が無いといけない模様、本にそう書いてありました)
なので大きく育ったこのセイヨクを
ぷちん と ....