すべてのおすすめ
(生きている)
前にしか進めない
立ち止まっている時も
一方通行の時間に乗って
細胞を殺しながら
生きている
乗り越えれば乗り越えるほど
壁は大きくなってゆく
問題も難しくなっ ....
宇宙はすべらかに濡れていた
青色の 薄羽のささらぎのような
おぞましくも おおらかな大河の
地の底からふるえてくる鼓動のような
無数の幾何学に彩られているのだから
止まり続ける道理などないの ....
朽ちた動力機関のような感情を抱えていた秋と呼ぶには暑過ぎる日の午後、思い出すことも思いつくことも度を越えていて俺はもしかしたら自分自身にとり憑かれているのではないかと心配になるくらいだった、雲はち ....
俺は死ぬ。その死骸のうえを歌が流れる。俺の死骸と
いうウラル山脈を越え、俺の腕や脚というカムチャツ
カ半島を越え、歌は悠然と流れつづける。なぜ俺は死
んだのか、既に死んでしまって脳髄が破壊されて ....
15年続いた結婚は
ロマンチックじゃない
愛してるもなければ、きゅんともしない
15年続いた結婚は
穴の空いた靴下と電線したストッキングだ
みっともないところもだらしないところも容赦なく ....
上滑りしている
おまえの言葉には
魂の欠片もない
薄っぺらいペラペラの
スーパーの広告みたいに
何のことはない風に
吹き飛ばされてしまう
遺書を書いてみろ
贈って貰った食べ物の ....
さみだれ
つゆいり、あけ
ことことぽとり
ふれたかおり
くつくつはらり
わからない
いろづき、あせた
かさねがさね
ちよりもこく
神宮前
割とお洒落な洋風喫茶店で、何故かラーメンが出てきて
店員さんニッコリ微笑んで 澄ました顔で、お客も食べる
異議を、ください どうか、異議を述べてください
おかしいと思うことがあったら遠慮せずに、 ....
戦い終えた獣のたてがみが北の空へとなびいていく
闇間に散る渡り鳥の影
海王星からの光の定期便を携えた郵便機のパイロットは
震える右手でジャイロスコープを暖め
左手は薄汚れた記憶のガラス窓を擦り ....
手垢がついて
ボロボロに千切れた言葉たちを
螢火の瞬きで拾い集め
溜息の渦で洗濯し
風力3の西風にさらし
9度傾いたアイロンをあて
一針一針 丁寧にかがり
ひとつの僅かな理を編む
雪の白い日
音のない足跡
市街地の中心に
常設された景色の中で
瞬きは行き場を
失っていく
人が人である
その隙間に
転がっている
肋骨の断片の表層に
季節外れの
浮腫み ....
マクレディの{ルビ長老教会派=プレスピテイアリアン}の良心は、一旦めざめさせられると、彼を休ませてはおかなかった。
(J・G・バラード『沈んだ世界』3、峯岸 久訳)
ウェンデルの質問は、も ....
小数点以下にぶら下がっている
おまけみたいな存在
それが僕だとしても
四捨五入で一の位に片足入れるように
坂道を息切れしながら上ってゆく
割り算に散々悩まされる夜
整数だけではいられな ....
血の一滴もなき
木々が
風にゆられて
まるで人間のように語っている
消えた空をなでる葉先は
キーボードになって
「We are poets」
と打ち込んでいる
七輪の赤い炭火の上に
....
砂漠の聖女たちは
ボロボロの服を着て
男の性欲の捌け口となる者たちだった
ある時は暴力
ある時はこの上なく優しく抱かれても
声を上げることもなく
無表情に
スタスタと立ち去るのだ
彼女 ....
休日は早送り
眠りすぎたツケは
月曜日の朝やってくる
眠れなかった早朝に
家を出て駅へ向かう
すでに家の前を掃き掃除している人がいる
何も特別じゃなかった
これでいいんだ
平日 ....
我が愛おしの、カレンダーガール
Yeah!! 好い娘や
我が愛おしの、カレンダーガール
Yeah!! 好い娘や
一年 いつでも、Oh!! 良いや
一月 羽子板持って 二月 チョコレー ....
水溜りがあった
大きな客船が浮かんでいた
甲板からあなたが手を振っている
わたしも泣きながら手を振り返す
別れには涙が必要な気がした
数日後、水溜りはなくなっていた
船の穏やか ....
透明なグラスに注がれたコカ・コーラには西陽が射し込んでいて、そのなかには幾つもの氷が沈み込んでいる、その一番上のものには幾つかのちいさな罅が入っていて、まるで浄土の影がわずかに映っているみたいに、その ....
カランの曲線、 月光のカーブ、
約束の柔らかさ、 角質のとれた張り紙
絡み合うタッセル
....
雨飴のど飴雨の日
風吹いて風邪ひいた
休もうか休めないか
こんな日の法案出します
地下アイドル地下リーマン
ハードル下げたって
誇りはもっている
勝ちや負けなんてない
雨飴のど ....
多くのミスリードがあったことは
たしかだろう
多くのミストリートがあったことも
たしかだろう
腹を切る覚悟はできたか
おまえの罪を数えろ
まぁ待てと
話せばわかると
言 ....
踏切で通過を待つ献立の色は
徐々に透明を重ねて
温かい食べ物が相応しい
そう思うと
環状線の列車が織りなす風が
調味料の先の方まで伸び
わたしもまた誰かの
呟きのようなものだった ....
初めて上京したとき
田町から浜松町まで歩こうとして
迷子になった
まだスマホなんてない時代
住宅街を彷徨いながら
東京砂漠を実感
昼間なのに誰も歩いてない
ここで野垂れ死ぬのかと真剣に思 ....
そのときマルティンはブルーノが言ったことを思いだした、自分はまったく正真正銘ひとりぽっちだと思い込んでいる人間を見るのはどんなときでも恐ろしいことだ、なぜなら、そんな男にはどこか悲劇的なところが、神 ....
いつかの僕に伝えたい
世界は澱みながら
僕を追い詰めようとしていると
僕ではなく世界の問題だと
だと
ちょっといい味出したファッション
ただの流行で終わるコミュニティ
信頼できるものが一 ....
仕事をしくじった
あれだけ丁寧にやっていたのに
しくじった
心苦しさが胸を重くする
このオモリを抱えるのは
なかなか無いことなので
自分を観察することにした
・
当日 ....
心が震えたのは
勝ち越しホームランのときでも
世界一を決めた
ダブルプレーの瞬間でもない
ブルペンで
投球練習を始めた
そのときだった
まさか行くとは
思わずに見ていた
....
毛細血管が切れて
紫が広がる肌
平手とはいえ
憎しみこもった手で打たれた
痺れたけれど
少しも怖くない
お互いの匂いが甘くて
相性を確かめた夜
家族が待つ家があるとか
知ってたっ ....
大文字になって寝かされ、倒れるように横たわるも
煤けたランプが瞬いている 肉を刻む出口は遠い
開始を告げるアラームもまた鉄骨のした
あかりが 途切れない という 身を 投げて 死ぬ
ハ ....
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