赤い風船が
雑居ビルの屋上を越えて
空へ吸いこまれてゆく
路地裏を
うろつく黒猫が足をとめて
二階の私と、目が合う
――幸いは
掴むものじゃないらしい
骨で寝息を守る夜
祈りのなかにあるのは死
死のなかには
小さな庭を作り
可愛いベンチを飾ります
誰も彼もが座れるように
ゆで卵が欲しい
ツルンとした
楕円のあれ
固く茹でられて
固い皮が剥かれて
白がむき出しにされた
楕円のあれ
爪の跡も歯型も
まだ付けられていない
楕円のあれ
真夜中のこんな時間だ ....
ささやかな光を拾いあつめた日
暗闇の無音の風に触れている
桜吹雪の中で無数に生きて
僕らがよりそう宵のバルコニイのテエブルに
ぽとん と小さな星がおちてきたので
それを閉じこめて
ゼリイをつくった
星の光を透かせて
ほのかに光るゼリイ
そのゼリイのふるふる ふるえが
僕 ....
私の人生
退屈知らず
ションボリしたり
ウキウキしたり
ありがたい
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
骨を動かすと
神様が降りて来る
筋肉を震わすと
宇宙が笑う
みんな、みんな
大好きなんだ
生きて息して
居て下さい
突き抜ける青、天空に
たましいは今日も饒舌だ
....
もうね
いいよ と
空へささやく と
空は黙ったまま
青やかだ
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
見透かされた時
私は透明人間
無視された時
私は透明人間
割り込まれた時
私は透明人間
幼い時の夢
透明人間になりたいは
変な形でかなうのだ
透明な存在であるほど
不透明に ....
お前には根性がないねん!
って言うおっちゃんがおってな
そんな冗談流行らんで
って俺は言うた
でもな
根性みたいなもんが
ほんまにあったらええな
と素直に思ってみたりもした
着 ....
朝
お日さまの光が 静々と
自室に射しこんできて私を照らす
このあたたかさとは裏腹に
ラジオのニュースが冷たく突き刺さる
こころに深く
私には、その時その時の
苦しみや不安があります ....
路地のかどから
愛しい音
特別なワケもないけれど
なでてほしい
なでてほしい
となりの窓から
優しいまなざし
今日も行こうね
一緒に行こうね
もうなにも見えないけれど
....
紙巻タバコのシケモクと電子タバコを交互に吸っている。
電子タバコに切り替えてから一年も経たないのに電子タバコの吸引器を三回も買い替えた。発煙コイルが焼き切れる前に吸引器本体の電池がダメに ....
その人はよく読む
新聞・広告の類はもとより
ゴシップ雑誌から哲学書まで
どんなものでも選り好みなく
目的は特にない
賢くなりたいわけでも
褒められたいわけでも
ただ
愛を探すように
....
紫の
天蓋の下
こどもの日
離婚届とセーラムライト
紙でできた飛行機が
街の上空を飛んで行く
折った人は
わけあって何処にも行けない
代わりに紙の飛行機が
飛び立つというわけだ
日曜の午後
雲一つない青空
街全体に
あきらめとなぐさめ ....
どう見てもセブンだったコインランドリー
セリアになった文教堂
跡形もなく消えたケンタッキー
街の記憶ではない
私の記憶である
誰にも譲ることのできない
私の記憶である
市営住宅の ....
ひかり、在り
暗がりに射し込む
ひかり、在り
朝の静寂に包まれながら
僕は大きく息をする
昨日と同じように
一昨日と同じように
繰り返す日々を掲げ持ち
また新たな一日を掴み取る
....
濡れた火
燃える水
僕らはあまりにも
性急に夢を見すぎた
僕らとは誰なのか
僕らは今どこにいるのか
たしかめようともしないまま
だからそこに出来たのは
はじめから廃墟だった
....
突破していく
日々の翳りを
うねる海原をひかる峰を
広々と見渡し
凋落する時間には目もくれず
この虚ろな日々に
我ら完璧な新参もの
きらきら光る美しい音楽が聴こえて来て
気分はゆっ ....
空、気持ちよく晴れ上がり
熱、程よく対流し
風、絶え間なく吹き抜けて
この黄金色の一日を
初めて出逢う照り返しを
(浮き上がるような光景を)
胸高鳴り高揚し
奇跡の取得に傾いて
....
人は
人として経験すべきことを
経験して
初めて成長する
誰かを好きになって
振られたり
誰かに好きになられて
恋人になったり
仕事に就いて
成功したり失敗したり
結婚して子ど ....
花でみちてめざめ
緑につつまれまどろむ
たくわえた水を
際までふくらませ
霧となりとじる
四月
存在の夢からめざめ
無人の学舎にかわいた老木
水尺の髪は白く
わたしが
あなたを ....
朝
洗面台の鏡が話しかけてくる
久しぶりだな
ここずっと俺を無視して来ただろ
俺
ああ
ずっとずっと無視して来たよ
鏡みなんて見たくなくなってたから
久しぶりに自分の顔に会いた ....
小学生の頃、同じクラスで少しだけ目立っていたKは、中学生になってからはどうしていたのかは、よく、僕は知らなかった。彼は中学に入ると別のクラスだったからだが、でも、彼は小学生の頃は地元のサッカークラブに ....
沈黙する空の下で、目は
空を映しているのに
遠い空。
誰のためでもない、
空はただそこにあるだけで空だ。
私の
無表情な白けた指にある
生めかしい銀製の指輪の方が
表情のある
道端の ....
たまには近道を通ったほうがいいと
私の手を引いて 導く人がいる
私は
どこかへ行こうとしているのか
どこかへ帰ろうとしているのか
その人に 手を握られ 腕を引かれた瞬間
わからなく なって ....
優しいなんていっときのことや
遊んだらええ
内なる鬼はすぐ現れる
誰でも心を常にしぶとく
遊ばしたっていったらええ
少なくとも君たちを
人でなしと呼ぶような人の顔が
人であったこ ....
頭の中の小人が
正しいかどうか
僕にはわからないのだけれど
野菜を刻んだり
鍋を振ったりしてると
なんだか落ち着く今日この頃
ここは多分
霧の中なのだろう ....
あの存在とはもう
縁は切れた。
こう思うのは私の思いすごしか
本当のところは
本当にしか わからない。
この宇宙を生んだのは
何かだ しかし
その何かを生んだ(?)のは
何だろうか。
....
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