葡萄
ミナト 螢

揺れて落ちて
踏まれた一粒が
私の涙だった
気がするよ

甘い味をした
透明なままの
レンズが割れて
元に戻せない

何も見えなくなった
夜の深さを
果実で埋めようと
手を掛けたけど

心臓がたくさん
あるのだから
その中のどれかが
爆発しそうな

不安や哀しみが
充満して
唇の色を
紫に変えた


自由詩 葡萄 Copyright ミナト 螢 2018-12-11 09:24:39
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