頬に触れようとして
躊躇った手を
きみは引き寄せて
両手で強く握った
僕は静かにその手を離すと
小さく笑って
頬に口づけした
言葉は要らなかった
それだけで十分だった
こ ....
秋というのは 死の匂いがかすかに漂い始める季節
そういえば 私の右目も死につつあります
光は来る けれど 深く沈むように
匂うように闇が染み渡る
枯れゆく広葉樹の葉の裏に
荒ぶる海の影が揺れ ....
地下鉄に乗ると心踊ることもある
今私が読んでいる本と同じ本を読む男性が
私が座る席の目の前に立っている
歳の頃は五十代半ばといったところか
白髪混じりの髪を短く刈り上げ
少しヨレヨレの白シャ ....
左手首に残る掻き傷の赤く腫れたる筋
三角の爪の痕が
薄らと桜桃のように熟れて浮かび上がる
外気に触れるたび僅かな痒みと痛みが
己が存在を知らしめる
どこか、
いきたいの
誰もいないところが
私の安寧で
私の
私の殺してほしいを
抑制するから
人から傷つけられて
私が人を傷つけて
ドバドバの血が
ひたひた地面濡らして
雨が ....
楽しめ♪
と
その時その時
いのちを楽しみたい。
いつかいずれどの道絶対
終わることが出来るのだから
生きられるだけ
とことん生きてやるぞ
と
いのちはいのちのために言う
そうだ ....
白くて水をたっぷり含んだような手
節の見えない長めの指
綺麗な淡色のマニキュア
カウンターに置かれたそれは
何か美しい生き物のように魅惑的で
コツコツ ....
体を冷やす季節が
寂しさを連れてくる
風が頬を撫でる
鼻先で揺れる金木犀の香り
涙が乾いていく
不思議
仄かな灯りのように
私を照らす金木犀
心が揺れても
風と共に明日へ行く ....
時に憧れ
願いよ届けと
叶うようにと
時が羨ましい
音もなく影もなく
共に歩む
時に挑む
いま、ここで
歩み続けると
○「脳にだまされるな」
預金をおろしに行こうとしたら
ワイフがキャッシュカードが
みつからないという
何回財布の中をさがしても
みつからないという
あなたに預けていない?ともいう
そのう ....
私の中に少女がいる
おずおずと
引っ込み思案で
傷つきやすく
繊細な
少女がいる
私は少女を護るため
必要以上に
がらっぱちで
豪快で
猪突猛進
積極的
大胆に
空気を無視す ....
なぜ日本刀を持ってしまうのか
知り得ざることなり
そのうち一人一殺とか
またぞろ言い始めないか
心配でならない
それよりも僕らは
一人一冊で生きたい
本が売れなくなり昨今
....
右、心房に届く
夜明けの海を
寄せては返す
ブランコたち
知らない
光の
所在なんて
笑う唇の端に
救急車のサイレン
初めてキャベツを
買った日の静けさ
何も無い
....
イライラくんと怒りんぼくんはいつも一緒なので
誰からも仲がいいと思われていた
けれども本当は
イライラくんは怒りんぼくんがあまり好きじゃなかった
すぐに怒鳴るしモノにあたっては壊したり ....
昔 タイのドンムアン空港で
夜の 街の
光の流れた そこに
僕はいた
バスに乗ったり
飛行機に乗ったり
色々な街を 今でも訪ね歩く人
彼女の訪ねた 街の 写真
ラオスの ....
最近 目方が増えた気がする
八月の検診以来
体重計には乗っていない
でも 増えているのは確か
このデニムを履くとわかる
おそらく 新米のせい
二杯食べてしまう 新米のせい
....
降ってきた
背筋にどすんと重み持ち
僕の母親いきなり降って来た
真夜中のまん真ん中で
避けようもなく
この同仕様も無い重み
どすん 、どすん
そうして兄貴も親父も
ぼんやり ....
世界一可愛くないひとが
相手に向かって
「チビデブブスバカ」
と言うとき
それは本当に嫌っているのだろうか
私には
あなたがどうしてほしいのか
分からない
「うざい、消えろ」
と言わ ....
宮目に少なくとも毒はないらしい色とのあどばいす
私の顔立ちを思ってのこと
とにかくお前は黙っていろとのアドバイスは
男友達からしばしばもらっていた
ちゃんと頷く。 そしてみんな ....
言霊って
あるよね
言葉の
いのちは
こころ次第
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
五行歌には、本来、タイトルは付けません。
しかし、自作の ....
神の遣いの皮を剥いで
仮面にして被った
私が私になれないのは
mom、あなたのせい
私より先に病まないで
病めなくなって
離れられなくもなって
可哀想な私
何のために生きている ....
ソニアは悲鳴をやめ、しわくちゃになったシーツを引っぱり上げて台なしになった魅力を隠すと、みっともなくのどを鳴らして悲劇的な表現に熱中しはじめた。ぼくはものめずらしい気持で彼女を仔細に眺めたが、それは ....
見失った
時に一体何ほどのものがあるのか
先ほどから少女が現れては立ち去ってゆく
それこそ命懸けの眼差しで訴えては やがて悲しそうに
というよりは私が
邪険に 冷酷 ....
夏が終わっても
波打ち際の闘い滔々
オトコのオンナの
それぞれの輪郭
互い際立たせ
タマシイの
自らを生み出した優しさ厳しさ
知らぬうちにごちゃ混ぜ煮込み
(昨夜は寒い寒い一夜だっ ....
○「偽情報」
僕は
正しいかよりも
自分の見たいものを見
信じたいものを信じている
○「ネット犯罪」
スマホを持つなら
免許か一定の研修を義務づけることが
必要ではないか
ただ注 ....
やさしさちゃんは家に帰ると
いつもぐったり疲れている
ベッドに倒れ込んだら
着替えるのもメイクを落とすのも
もう何もしたくなくなってしまう
やさしさちゃんはみんなにやさしいから ....
私たちは
軽く口唇を合わせたまま
呼吸を繰り返し
徐々に溶け合っていった
あなたは私で
私はあなた
腕が溶け合い
胸が溶け
腰はひとつになり
脚は絡まったまま溶けた
そうやって光合 ....
夕立
つるべはしぐれ
指先
防風、防水、防寒手袋
きみが忘れた公園も
ひぐれも時間も半袖も
スニーカーだけ走り出して
追いつけなくなる
撤去された
ジャングルジムと砂場
....
誰もいない 焼け跡の 歩く
その 田んぼの先の この
光る街をジープがどこまでも走る
特に誰がいるわけでもない
戦車の進むように そして
行く 自転車で
何も そして 僕は
特に ....
暗い船底には何もない
だから、光がないのは
分かっていた
光無き世は船底の写し世
上の階層には
仮人たちが満ちていて
光より眩しい一条の希望を
奪い合っている
ここには剣山がある
剣 ....
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