信者が姿を消した
あんなに何かを祈っていたのに
礼拝堂はもぬけの殻
村の人たちは捜索を始めた
くもり空の下
くだものの飴と傘をたずさえ
情報はなにひとつない
あっぱれな行方のくらまし
 ....
月までは案外近い
いつか行き来できる日もくるかも、と
あなたはいうけれど
それが明日ではないことくらい
知っている
人は間に合わない時間が在ることを知っていて
間に合う時間だけを生きてゆく ....
どこからもとおくの
きみの手足をゆらす風の音
あめの、
裂いたひかりをまねる
キュービック

点をつないで
線をえがいて、それからの
ことは
どうだってよかった
ひだりの
 ....
殺菌されているような灼熱の中
塞がれてはいないが、とうに朽ちて
忘れられた路の、ひび割れた路面に
おれが求めるうたはいつだって落ちている
摩耗したスニーカーの靴底で、搔き集めながら歩いてゆ ....
真夏の太陽が
目に厳しい午後
思い立って
アスファルトの上を
走ってみる
全力で
走ってみる
緩やかに
変わっていく景色
穏やかに
蘇っていく記憶
息が切れて
走れなくなった時 ....
廃線になった駅のベンチに行ってください
コスモスが揺れているのがみえますか
だれもこない駅の伝言板に
「おかえりなさい」とだけ 書いておきました

ベンチの下に 海の紙でできた封筒を隠し ....
サキソフォンが夜の道を歩いていた
あたり一帯高級な黒の絵の具を塗りたくったようで
サキソフォンだけが金色に輝いていた
暗闇は光を理解しなかった
途方に暮れかけたころ
黒くて大きな人がどこから ....
ガラスのように光るその蛇は
青草の影を躰に映し
すべらかに移動していた
怖くはなかった
わたしを無視して
まっすぐ母屋に向かっていくので
なんとか向きを変えさせようと
木の枝で
行く手 ....
赤々と燃える送り火を眺めながら
今年も夏の終わりが近いことを知り
一抹の寂しさが、胸を過る

盆が過ぎれば間もなく
朝の空気が変わる
早朝、太陽が昇る前
ほんの少しだけ
軽くひんやりと ....
恋に破れた少年少女が
涙を飲んで登る坂の事を
心臓破りの坂と呼んでいる

桜の花びらが頭の上で
残念賞の冠を作り
渡しそびれた手紙を破ったら
季節外れの雪が降るらしい

好きですの一 ....
電球が一つ
ユラユラ

何も感じない身体

手足に拘束具

鼻の頭が痒い
「小人さん 掻いて下さいな」

いつもカカシのタカシが言ってた
きっと動けなくなるって

「私は好き ....
卵の割り方を失敗すると
崩れた黄身と白身のバランスが
太り過ぎた満月に見える

その上に垂らす醤油の数滴は
血管のように浮いているけれど
いずれこの卵も消化されて
新しい血管に生まれ変わ ....
私は泣いた
君という海の波打ち際で

不器用さを
愛おしさから
短所に変化させたのは
慣れすぎた歳月と
甘えすぎた気もち

海辺に向かって
手を繋いだ瞬間を
覚えてい ....
最初は風だ
いつもと違う風が吹く
これから強さを増すと感じさせる
風がブルンと唸る

そして陽光
青い空が翳りを見せる

しばらくの静寂
静かに移動する雲
灰色が浸透し

雨垂 ....
薔薇の蕾は美しい
少しづつ開いていく姿も
この世のものとは思えないほど艶かしく美しい

だが咲ききって
たちまち黒ずんでいく花芯も露に
剥がれ落ちるのを待つさまは
あまりにも見苦しく
 ....
神様が天の川の向こうから見ている

私の錆びた核を見ている

錆びが広がり崩れ落ちる私

天秤座の反転した夜空

その中の一粒を飲み干して

天の川向こうから見ている

星が一 ....
ことばに小さなドリルで穴を開けていく。覗くとことばの裏側が見えるので試しにやってみて欲しい。小学生や中学生の夏休みの自主課題に合っているかもしれない。ことばを選ぶのが難しかったら、分厚い辞 .... 宙に 浮かんだまま 漂っている
意識

ふらふら
 ふわふわ
  流れ続ける時のなか
   痛みながら呻きながら
   肉と繋がり
  引き留められ
 わたしの在り処を
探してい ....
朝を折りたたみ
昼を折りたたみ
犬を折りたたみ
猫を折りたたみ
自宅を折りたたみ
通りを折りたたみ
横断歩道を折りたたみ
バイパスを折りたたみ
街を折りたたみ
都市を折りたたみ
飛 ....
太陽がまだ昇りきらない
鈍い光の中
近所の大きな公園を散歩する
芝生は朝露に濡れて
紫陽花はしとやかに
私はひもを引っ張るように
快楽と安寧を手繰り寄せる
公園にあるものはすべて ....
雪は音を吸い
空間は静寂する
踏まれた雪は含んでいた音を漏らし
ぐもっ ぐもっ ぐもっ
と音をたてる

雪は彩度を吸い
空は鈍色になる
彩度を吸った雪は重くなり
空から落ち
地を白 ....
地球のどこか遠くから 一瞬で
青空を飛び 星空を越え
風を切り  雲の中を通り
やがて銅線や 光ファイバーにのり 
やってくる

HLSの  神秘的な宝石たちは
スクリプトで集められ 美 ....
灰色の街に
今日もじゃぶじゃぶ降りしきる
情報洪水の雨達

駅のホームに立つ人々は
小さな液晶画面
の上に
人さし指を滑らせる

ひとり…ふたり…と
人がロボット化してゆく様を
 ....
ウジ虫を高い所に置くと
簡単に落ちて来る
ニラレバ炒めの香りにやられて
簡単に落ちて来る
トレーナーのミッキーに
ウジ虫を鍛えさせた
ウジ虫の多種類の筋肉を
広く短く鍛えさせた
ヒキガ ....
無数にドライバーを突き刺され
美しきあなたの肉体よ
鋼鉄の逞しき肉体よ
それが端から崩されていく
何百人もの工員があなたの上を這って
いやらしく群がっては蠢いて
そしてみずみずしい肉体を剥 ....
繰り返される日々の中で
身も心もすり減ってゆく
紫陽花が咲く坂道を駆け下りる
雨色の風が頬を撫でる

ここまで生きてきた
どこまで行くのか
わからぬまま
歩く

蛍火はなつかしく揺 ....
ガラス窓の向こうで
風が吹いている
木々の梢は風になびき
空を掃いて 葉が{ルビ細々=こまごま}と翻る 
くろく空裂く鳥の群れか
とおい湖の 波間の影かの ごとく

音は聞こえない
あ ....
傾斜を下り刺し殺された命たち
多くの者は海の最果てで
多くの者は自明な住宅で
この土地で地を這い工事していると
命たちが呼吸に紛れ込んでくる
もはや死んだ命たちは生活の粒子
我々の ....
火の消えたタバコを自分の左手に擦り付けた
それがせめてもの断罪だった

罪と知らず犯す罪は
知らずの内に他人の罪になった
償うことも
学ぶこともせず大人になった

誰にも知られず犯す罪 ....
両手を広げてみる
手の平じゃない
腕を
肩を張って
手を肩の高さまで上げて
腕を水平に真っ直ぐに伸ばして
手の平は地面に向けて
身体全体で十の字になって
真っ直ぐに立ってみる
特に目 ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1287)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
信者行方不明- やまうち ...自由詩3*17-9-9
秋窓- そらの珊 ...自由詩25*17-9-8
ペシェ- むぎのよ ...自由詩417-9-7
羽音の思惑(かべのなかから)- ホロウ・ ...自由詩2*17-9-1
ふるさと- 寒雪自由詩217-8-30
おかえりなさい- るるりら自由詩13*17-8-28
サキソフォンが夜の道を歩いていた- やまうち ...自由詩4*17-8-26
優しい人- Lucy自由詩18*17-8-26
送り火- 忍野水香自由詩617-8-18
外側の心臓- ミナト ...自由詩2*17-8-14
旅立ち- kino125自由詩117-8-13
卵かけご飯- ミナト ...自由詩1*17-8-11
波打ち際で泣く- かんな自由詩11*17-8-9
雨が続く夜- 坂本瞳子自由詩2*17-8-7
グレーピンクのモーツァルト- Lucy自由詩7*17-7-27
錆びた星座の向こう- 倉科 然自由詩117-7-25
キリモミングフィールド- かんな自由詩4*17-7-24
わたし_の- ひだかた ...自由詩10*17-7-21
折り紙- やまうち ...自由詩10*17-7-18
夏の朝- 葉leaf自由詩117-7-15
- 渡辺八畳 ...自由詩7*17-7-13
ダウンロード・スクリプト- st自由詩317-7-12
大雨警報- 服部 剛自由詩317-7-5
ウジ虫- 間村長自由詩7*17-7-2
解体- 渡辺八畳 ...自由詩217-6-20
紫陽花の坂- 星丘涙自由詩11*17-6-12
ガラス窓の向こう- 「ま」の ...自由詩2*17-6-10
生活の粒子- 葉leaf自由詩317-6-6
途中からよくわからなくなった習作- えこ自由詩317-5-29
十文字- 坂本瞳子自由詩1*17-5-15

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