トキエは泣いている。薄暗い納戸の奥の、
紅い鏡掛を開いた鏡台の前に座り、泣きなが
ら化粧をしている。「おかあちゃん」幼い私
はトキエに纏わり付いて、その名を呼び続け
ている。戸外から蜜柑 ....
ログインして現代詩
日の出より先に現代詩
自転車のチェーンがはずれて現代詩
鳥が着地する瞬間は現代詩
雲がちぎれて現代詩
水たまりは現代詩
玄関開けたら2秒で現代詩
スープの隠し味に現代 ....
沼のほとりで
朝日を何回か浴びているうちに
僕は気づいた。物語に参加していることに。
それから僕は
少し考えながら山道を登るようになる。

目の前にある栗林は
妙な匂いのする林で
樹木 ....
吊り橋の真ん中で二人は懐中電灯を消した
月も山の木立に光を隠した

手を延ばせばそこには異性がいた
何時も顔を合わせている相手だったが

不意に訪れた二人だけの世界に戸惑って
互いに黙っ ....
海藻の匂いが漂い
干し蛸がぶら下がる漁村の道を
おとめは エシエシ笑いながら歩く
焦げ茶色に焼けたうなじを
苦い潮風が打つ
塩をまぶしたような髪をほつらせ
おとめは よだれを拭きながら ....
 
 
夜、本から紙魚が出てきて
僕を食べる
文字じゃない、と言うけれど
紙魚はお構いなしに
僕の身体を食べる
だから負けずに
僕も紙魚を食べる
本当は枝豆の方が好きなのに
食べ続 ....
目覚めはじめた街の夜を 置き去りにして
東京発二〇時三〇分 のぞみに乗り込む

この列車に乗って人はどんな望みを持つのだろう
あるいは捨てたのだろう

 夜と昼の混濁したこの街は わたしに ....
回転寿司屋の板前のブルースとか
山手線の運転手のブルースとか
今でもそんな事ばかり考えているんだ

この前の事なんだけど
風呂場の鏡に捨てられた犬みたいなのが写ってたんだ
誰だって聞いたら ....
夜は暗い
地平の涯まで
音の無い破砕が続いている

彼は農場の納屋の中で眠ろうとしていた
それが懲罰の為か
彼自身の性癖の為かは
今となっては分からないし
彼の履歴を辿るのは
有りも ....
三秒前に、
物干し竿にハンガーをかけたわたしにもどりたくって
もう一度 かけてみた
そしたら六秒前ハンガーをかけたわたしが恋しくって、恋しくって
もう一度かけようとして やっぱりやめた

 ....
死んだような人よ
始発の電車で何処へ帰る

死んだような人よ
心は故郷か家に置き去りだ

死んだような人よ
あなたを愛する人を裏切った朝
あなたはその体を抱え何処へ帰る

あなたの ....
潮の流れにまかせたまま
目的は回遊魚が釣りたかったからだ。
迷うことのない無色の水脈が苔藻の両面でぶつかり立ち止まるところ
こんな汽水域にもはぐれた奴の一匹くらいは居るだろう
餌さえあれ ....
おばあさんが畑を耕していると

赤茶けた色に長方形におちょぼ口がついた一輪挿しが

いくつもいくつも出てきた

そこは古くから陶芸が盛んな町

今はない窯元があった土の下に陶器だけが眠 ....
陸にのぼったばかりのときには生えていた角を
すっかりかくしてしまったわたしは
無明のランプのともる道を
あやしげな気流に揉まれながら
こぼれたワインをぴちゃぴちゃと踏みしめつつ
そう、気がつ ....
バスの中はおばあさんだらけだ

おじいさんは何処に行ったのだろうか

小さな小さなおばあさんは飴玉みたいな瞳で

少し高い場所から外を眺めている

歩く人を通り過ごし

自転車の人 ....
*
国際宇宙ステーションが
きぼうを乗せて
日没の名残を反射しながら
海峡の上空を通過していく

その光を楕円のプールで
滑らかな背中をひねり
口元に笑みを浮かべて
スナメリが見上げ ....
こわれた海のかなたに入学式は立っている。

蝶たちはずいぶん永いあいだ待たされ続け
いっそのこと青虫にもどろうか、と
いまにも
キャベツになりそうに思う。

耐えている桜が//可愛いい
 ....
目をつむれば
かたちは動く
ふちどりに触れる
濁音の息


風から風へ
羽と脚
枝のなかの重力
踏むごとに星の曇


やまない雨をなだめながら
手のひらと ....
と、と、と!

アイスクリーム状の蛇を指輪にすることはたやすい
安物のロザリオを幾千の薔薇を花花の干し首を
粉々に切りきざむためだけに
秒針は締結されふるえている
焼き場にはた ....
デスクに透明な小瓶を置いて
飴玉を入れて
口に放る
ため息がこぼれそうなとき
舌打ちしそうなとき
くたびれたとき
暇なとき
忙しすぎるとき
話題のないとき
何も考えていないとき
考 ....
小さな砂漠で少女Bはドメガザウルスに噛
まれ目の前が灰になりました。痛みより暗
くなるのがこわかった。近くの川で魚たち
は少女Bの心をチラチラ見ている。今日は
どこへも帰らない。背骨よりまっす ....
 逃げれば焦げるボーン!

 ジリジリしたシンセの黒玉ゲズル
 どすの効いたハミングが絶対に追いかける追いつく

 逃げれば焦げるボーン!

 宙に浮いてる着地しない歩き道が暗闇
 受 ....
精子の姿は、魂に似て 
お玉杓子は、音符に似て 
もし、魂が音符なら 
メロディは 
五線譜を泳ぐでしょう 

無数の精子と精子の競争を 
勝ち抜いた選ばれし精子よ 
 
君は辿り着 ....
「あるところに花喰いという、花を喰う者がおりました。
年はまだ若く、どこかの城から逃げてきたとの噂もございました。

花喰いは澄んだ池の上に花のなる木を植えました。
その身重たさか ....
きちんと一センチ伸びた白髪が
またもや月が巡ったことを
立ち尽くす私に伝える
捲り忘れたカレンダーよりも
ずっと着実に
ずっと正確に

遠い故郷で
私がその顔を拝む前に
燃やされてし ....
リモコンの緑のボタン。これすっごい呪詛っぽい色してるなって、思ったから、
ぜんぜん見たくもないテレビのデータ放送にぶつぶつ。
魔法っていうかのろいのことばっていうか文句ばっかり送ってます。ほら、
 ....
子どもたちの語彙が拙いから。

とんぼ
だけど

高いビル
飛行機
ねこ
ぬれてる
もうツバキが、
だって
ともだち
晴れ
寒い
/ぼくらの/聞こえないうた/呼ばないで
 ....
鍵を持たない動物の
手となり足となり
この檻を去る為の
手となり足となる
食いちぎられるのが怖くて
そこに温度は込められない

鍵を持たない動物の
鍵にはなれない
全てを与える事 ....
 万頭の牡馬をかしずかせ
 万頭の牝馬を従えて
 万頭の仔馬を慈しみ
 ホクトベガは
 乾いた風の中に
 立っている

 時空の流れはひとつきりでなく
 すこしずつ異なった世界が
  ....
ビードロの戦車がやってきて造花畑を踏み荒らした
それを鳥類学者はコンドルの孤独のせいとおっしゃったけど
誰かのサングラスの中は鋭角恐怖症の人間が生きられない荒野だし
なんてゆーか原始人ほ ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1294)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
記憶- 壮佑自由詩25*13-5-23
現代詩の現代詩による現代詩のための現代詩- 左屋百色自由詩13*13-5-22
禿頭- ……とあ ...自由詩10*13-5-20
吊り橋- イナエ自由詩11*13-5-18
おとめ- 壮佑自由詩14*13-5-17
紙魚- たもつ自由詩1013-5-16
- イナエ自由詩6*13-5-13
名前も知らないところから- 虹村 凌自由詩1013-5-12
野火- 飯沼ふる ...自由詩413-5-11
ハンガーをかけたわたしにもどりたくって- 御飯でき ...自由詩413-5-8
死んだような人よ- うみこ自由詩5*13-5-7
棲魚_Ⅱ- アラガイ ...自由詩5*13-5-1
一輪挿し- 灰泥軽茶自由詩8*13-4-27
未開- ロクエヒ ...自由詩1*13-4-26
バスに揺られて- 灰泥軽茶自由詩9*13-4-23
- カワグチ ...自由詩413-4-20
地獄門- 草野大悟自由詩2*13-4-18
暮れと水- 木立 悟自由詩613-4-17
J.S.K.S.- 自由詩113-4-16
魔法の小瓶- 三田九郎自由詩4*13-4-11
ドメガザウルス- 左屋百色自由詩9*13-4-4
ボーン!- 朝焼彩茜 ...自由詩513-4-3
精子の旅_- 服部 剛自由詩5*13-4-1
花魚- くめ自由詩4*13-3-30
白髪を染める- 夏美かを ...自由詩26*13-3-22
モニターの月- 未満ちゃ ...自由詩7*13-3-21
聞こえないうた- 破片(は ...自由詩2413-3-16
就労支援所にて- IMAGAMIMAGAM ...自由詩3*13-3-14
多元宇宙の砂漠にて- 平瀬たか ...自由詩3*13-3-12
スパイラルジャムの踊り方- よしたか自由詩1*13-3-8

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