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そのころの
ぼくの悲しみは
保健所に連れて行かれる猫を
救えなかったことで、ぼくの絶望は
その理由が彼女が猫は嫌いだからという
自分というものの無さだった
ぼくの諦めはその翌日も同じように ....
こツン、と
硝子戸がたたかれ
暗い部屋で生き返る
耳鳴りがしていた
からの一輪挿しは
からのままだ
幼い頃、祖父が置いていた養蜂箱に
耳をあてたことがある、蜂たちの
羽音は忘れたけ ....
丹後富士の頂へ
うろこ雲が巻き上げられていくと
明日は雨が来るといつか聴いた
あれはだれの言葉だったのか
町を歩く人びとは明日の雨を思い
空を見上げることはないようで
誰もが今を足早に ....