鋭い痛みが走る
きつく押さえた指の間から
血が流れていく
ポタポタと落ちて
流しに広がる

息をのんで立ちすくむ

いったいどれほど切ったのか
怖くて見られない
ニンジンを見つめた ....
観覧車が太陽と同じ様に空にへばり付いている。観覧車、観覧車の籠が、観覧車の車輪状の手足が、回転している。
辺りは太陽が燻っているかの様な厭な匂いがする。或はオレンジ空にありありと浮かぶ籠が燃えた後な ....
あなたのことが心配で戻ってきました 
と言う男がいて 
へっと思った
あたしは 
その男のことをそのとき初めて見たのだけれど
まるで ずっと昔から知っているようなふりをして
腰のあたりで  ....
金魚鉢に金魚
上から覗き込むと金魚
胸鰭を動かし
尾鰭を動かし
背鰭を動かし
何となく静止する金魚よ。

夏だけ生きている金魚
ほんの数リットルの水に漂う金魚
横から観ると大きく見え ....
  僕が死んだときには
  僕のペニスを切り取っちゃってくれ
  抽斗に
  ナイフを入れておくから



  残りの部分は燃やしちゃってくれ
  僕が死んだときには
  僕 ....
今日、秋葉原の、
コインパーキングの前で、千円札を拾った。
ぼくが拾わなければ、
ぼくのうしろのやつが拾うのだから、
ぼくは迷わず拾ってやった。
千円札を拾うのは、小学校の、5年生の時以 ....
その日いつもなら
それぞれが
それぞれの場所で
夕飯を摂っている時間
私はおとこと向かい合って
注文したパスタとピザを待っていた
いつもより私はよくしゃべった
髪をきれいに固めた店員が
 ....
桃のにおいの手が
空を混ぜて
はじまる


闇のなかを見つめ返す
まぶたの奥の水があり
ひとつの葉に隠されている


海岸と夜
手のありか
通り雨


 ....
つつましい
緑に幹を染められていく桜の木から
舞い飛ばされた便箋は
アスファルトを焦がす日光で
降り続いた雨とともに入道雲になった

反射光の
ちかり、ちかりと眩しい海岸線が
潮の香り ....
ひょいと見ると出窓の内側で
そいつはいつものように
出窓に置いてある
真空管式の古いラジオに
じっと耳を傾ける
ビクターの犬のようだが
そいつは黒猫だ

出窓からは朝の港町の風景が広が ....
その家に入ると
今しがた誰かがいたかのように
明かりが灯されていて
食事までも用意されているのです
でもそこに
人は誰もいないのです

これは深い森で迷った果てに
たどり着くという
 ....
視認性に欠ける水色は、ひたすら直進する境界線の色。どこかに背びれを伸ばすわたしに、そのどちらにも泳げない六番目のセンスがこみあげる。周期表(periodic table)の薄い領域。

いずれは呼 ....
ねえ、あなた
ワタシ
出会いの旅に出ます

ええ、わかっています
あなたがワタシを
好いていてくれてる事
なんでも分かってくれようと
熱心な所

これまでの御恩は忘れません
忘れ ....
あ、義父さん
ハンカチを一枚お借りします


+ + +


初めて会うひとはわたしのすべてを見透かしたあとに
無学なバイトの若造が生活(いちにんまえ)を語るのかと息巻きながらも
そ ....
ダイヤモンドより確かな一瞬に
石版みたいな青い空をみつける
だれの名前も刻まれることはないし
法律だって記されていない
ましてや
墓碑銘なんて思いもよらないのだ
だれかが今も死にいくなんて ....
なんでも持っているひとっていいよね。
と、友人が言うので、
たしかにそうかもしれないけど、なんでも持っているひとを見たことがない。
と、返した。そうしたら、
あなたは、なんでも持っているじゃな ....
  実りすぎたのだろう
  夕暮れ
  ぼたぼたと光は落下し
  夏の川に
  鈍く奏でられる



  水は鳴り
  子等も響く
  夏の川は
  ひとつなぎの譜面とな ....
探査星という名前の
もう戻ってこない人工矮星を
私たちは見送っている
稜線に海面が沈み
草原がブルーに染まっていく
追いかけるように
次々と浮かび上がる船団は
私たちの乗れなかった最後の ....
急いでって君の手をとって
駅の階段を駆け上る
発車のベルは鳴り止まない
このままこの階段で
いつか波音を聴きながら二人で眺めた丸い月まで
登って行くことは出来ないだろうか



お別 ....
今日はずっと雨だった
鵲は傘のまま
駐輪場の紫陽花をみていた
「中に入ってればよかったのに」
「さっきまで遠野さんが」

手をつないで歩いていると
鵲は「ヒュン」と言って、タンポポを摘ん ....
あなたではない、友達がいます。
そんな当たり前のことを口にすると、彼は手の平でわたしを見るかのようにそっと近づけて、近づけた手の平をそっと引っ込めました。誰でもそんなことを言われたら、さみしくな ....
サラは低所得者用の公営住宅に住んでいる
ある日、軒下にコガタスズメバチの巣ができていた
トックリ状の形をしていて
入口が長く下に向かって伸びている
サラには就学前の二人の娘がいた
年 ....
「ショート」の意味も分からずに
スポンジとクリームに
苺のしっかりとした感触と
ジュっと感じる酸味も一緒に
一回に二個は味わうショートケーキ。
チョコケーキのほんのりした苦味も
少しば ....
母親の悪口を
延々と書き連ねて
どうか私を救い出してほしいと
しめくくった手紙を母が読んでしまったことがあった

あんたはこわい子やね
母がいった

あんな手紙を真に受けるんだ

 ....
鼓動は通り
鼓動に還る
夜は
そこに無いように在る


夜の坂を下り
振り返る
夜を作るもの
何もなさを照らす


黄金と黒の
二重の円のなかで
せめぎ ....
カットバンを剥がしてみると
赤かった傷は薄皮をかぶって青くなっていた
どうして血は赤いのに
皮膚の下では青く見えるんだろう

そんな疑問を高校生の時に生物の先生にしたら
先生になったばかり ....
 むすんで ひらいて

むすんで ひらいて 手をうって むすんで またひらいて 手をうって、その手を 上に
むすんで ひらいて 手をうって むすんで


     *


  結んで ....
本を買う。
本を、買う、という行為は、
とてもとても、難しい。

立ち読みでよいのか。
古本ではだめなのか。
古本なのに、どうしてこんなに高いのか。
ハードカヴァーが、文庫本まで待つのか ....
おはよう
昨日までやり残したことが
今日の地盤を揺らし
タスクリストの波となって押し寄せてくる
後手後手で考えたくはないから
見晴らしのいい
高台へゆこう
筋道が見えるといいね
対岸が ....
粘っこい足跡なんて
振り返りたくはないし
遠くへ行くつもりもないから
マイペースの匍匐前進

アンテナは柔らかいけれど
難しい言葉は受信できないし
とてつもなく臆病だから
ツノもヤ ....
松岡宮さんのおすすめリスト(1294)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ニンジンと間違えて- wako自由詩2*11-8-3
観覧車- 長押 新自由詩1*11-7-31
あれよあれよという間の- blue自由詩10*11-7-27
金魚_パートⅠ- ……とあ ...自由詩14*11-7-25
僕が死んだときには- 草野春心自由詩3*11-7-24
金運- はだいろ自由詩611-7-23
上出来な夜- blue自由詩5*11-7-22
いない_かたち_Ⅱ- 木立 悟自由詩811-7-21
日記- ガマパッ ...自由詩211-7-20
野良猫その2- ……とあ ...自由詩1211-7-19
マヨヒガ- 三条麗菜自由詩3*11-7-14
呼気の魚の棲む_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩11*11-7-12
出したい手紙- Wasabi 自由詩711-7-11
ハンカチ- 乾 加津 ...自由詩20*11-7-9
虹のない/あるせいかつ- コーリャ自由詩1711-7-8
よく訓練されたウエイター- はるな自由詩611-7-5
夏の川- 草野春心自由詩4*11-7-4
月の波形- mizunomadoka自由詩411-7-3
こいし- 村上 和自由詩311-7-2
まばたきはシャッターで- mizunomadoka自由詩211-7-1
木々の家々- 長押 新自由詩4*11-6-30
サラとスズメバチ- たもつ自由詩1011-6-27
洋菓子党宣言- 電灯虫自由詩6*11-6-26
おんなからおんなへ- 朧月自由詩211-6-25
ひとつ_うつろい_Ⅷ- 木立 悟自由詩311-6-19
わたしの青- とんぼ自由詩211-6-17
むすんで_ひらいて- 乱太郎自由詩15*11-6-15
本を買う- はだいろ自由詩3+11-6-13
高台へゆこう- 高橋良幸自由詩411-6-12
カタツムリ- nonya自由詩18*11-6-8

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