破裂
ミナト 螢

空を横切るシャボン玉に映る
街は水槽の墓場みたいな
プランクトンを浮かべた光だ

高層ビルが歪んで見えるから
手が届いたらタイムカードを押して
ブランコを漕ぐ時間が欲しいな

腕時計の文字盤を隠すように
ゆっくりと泳ぎまったりと眠る
シャボン玉に風がビンタをすると

ひゅるるっと消えて残した夜景が
水槽の中をひっくり返す

虹色の泡を固めたような
ビー玉が転がる滑り台に
そっと手を伸ばしポケットにしまう時

ビー玉の重さが中心に寄って
股間の大事な部分が膨れ

ラッシュアワーで押される痛みに
誰ひとり気付かない冷や汗も


自由詩 破裂 Copyright ミナト 螢 2018-10-16 10:41:55
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