砂時計
ああああ

砂の時計をひっくり返し、3分待ったらふたたび汗にまみれてきっと目覚めるだろう。階下で眠る私の家族を起こさぬようにそうっとタオルをとってふたたび夢にそなえる。祈りを言葉にかえてとなえる。

干潟に火薬の匂いが残り、体がほてり荷物が重い。浅いクレーターの斜面へ飛び散ったガラスの破片であたりは瞬く猫の目みたいに見えて、その景色は日本軍の唱える正義に疑問符をつけさせた:私の幸福もある一つの蟻地獄に入り込むのではないか? ある日突如砂に埋れて死ぬことになった者の上に腰掛け、私の口中にも砂の味がこみあげはじめた。

目が冷めた。明け方にはいつも同じ夢を見る。舌の先をウェットティッシュで拭う。決まった小道を何度もループして汗をかく。唾を吐く。砂の味がする砂時計の中に、砂の味がする砂時計の私、砂の味がする砂時計の中身は砂の味がする砂時計の私で、砂の味がする砂時計の鏡に砂の味がする砂時計の形に砂の味がする砂時計の私を写し出した。

夢のつづきは汚染された死体を水ですすぎ、風通しの良い場所に寝かせてやることだ。まだ外は暗いな。静かすぎて砂の音が響くくらいだ。音が次第に大きくなって私を飲み込むがクライマックスは永遠にやってこない。私はまた枕辺の砂時計を逆さにし、夜明を待つだけだ。


自由詩 砂時計 Copyright ああああ 2019-07-25 23:41:31
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