学生のあの頃
異様な夜のさびしさに駆られて
親しい友人の家に遊びに行った
そんなことは珍しくなくて
ふたり
ベランダで煙草を吸い
きみはギターを弾いて
わたしはその歌を口ず ....
ちいちゃくなる
ちいちゃくなる
ああ今小人になれたらいいのに
誰にも見付からない小人になれたら
臓器を守るようにしてしゃがむのです
普段臓器のことなんか気にしたことないけど気になる
今日
 ....
姿の無いものの気配がする
ガラス戸が小さくカタカタといって
何処か遠くの出来事を伝えようとしているのか
本当のことは良くわからない

日常の大部分は
そうやって解体されることなく消化される ....
絵の具の年譜
金の闇
渇ききった既視の風に
名を呼ばれては遠去かるもの


暗い霧をつなぐ虹
ところどころ消えながら
雨を照らし
雨を鳴らす


岐路の前の影
 ....
すべてのものが途切れた
俺は寝床で
もやのような昨日までが
流れてゆくのを眺めている
あらゆるものの
スイッチを落とした部屋は
空気の音だけが
反響して

 ....
   +  +  +  +

  ワイヤーの入った
  硝子の向こう
  街の暗闇を
  雨粒がはしる
  必ずしも重力方向という訳でなく

   +  +  +  +

  夜が ....
五月晴れの朝
雪が積もったら自然に落ちるように
高めに作った青い片屋根のてっぺんに
ヒキナギが二羽 歩いている
つがいでしか 見たことがなかったから
すぐ近くの電線にとまっている
カラスを ....
ぱらぱらと降りそそぐ
オレンジ色の十字星     / ジュウジボシ
軽やかに土を跳ね
思い思いの居場所に
身を委ねる
 
 ....
フィニッシュは雷電ドロップ
名前はかっこいいけれど
要するにヒップドロップ
仰向けの相手の上で
ぴょんぴょん跳ねて
尻を落とすだけ
やられている側のことを考えてほしい
こんな屈辱的な技は ....
ふらちなよみのくにから来る男は
   死んだ者をむりやりたたき起こし 
   ふとどき者の口からなにごとか聞こうとする

その行為 その汚らわしい行為に
あしも ....
新緑の季節
五月の朝の陽光を浴びた
ニコライ堂 緑青に覆われたドーム屋根

明るい陽光に
くっきりとした陰影を残した
コンドルの遺産は
一二〇年経った今日も
聖橋から靖国通りに向かう坂 ....
 
 
にかいのへやで
あそんでいる
たたみのふちをせんろにして
おもちゃのきしゃを
はしらせている

たたみのかどを
もうひとつのきしゃが
うせつする
わたしもさせつして
そ ....
夜遅く、ひとりで湯に浸かっていると 突然、ふぐりにヌメッとしたものが触れたので あれ、おかしいな 何かいるのかなと俯いて湯の中を見ても これが何もいない 気のせいか このところ出張ばかりで俺 .... 女の声は殆どが水で出来ている


舐めとればそれはひどく甘ったるくて
お祭りの屋台で食べた綿菓子みたいに
口がべとべとになってしまうんだ


男の声は殆どが煙で出来ている


吸 ....
                    
内地から釣りに来た太陽と恋人たちを
島尻の斎場御嶽にガイドする。
財布から百円玉を取り出し受付機でパンフレットを買うのを指笛に
午後の観光が踊る。
 ....
<上>

暗中模索のキッチンで
夜食を見つけて意気揚揚
紆余曲折のビール腹
逆三角の栄枯盛衰

横行闊歩の食欲を
抑えられない艱難辛苦
気宇壮大の体脂肪
Gパン入らず苦心惨澹

 ....
空間の凝縮
色彩の単一化
情報の漏洩
あからさまな現実逃避と
淡い現実

紙束の重みに
瞼は耐えられず
微かな肉欲と供に
癒されない眠りが始まる

トム・ウェイツのAlice
 ....
闇の底を疾走しているのではなく
ひたすら潜行しているのだ
と思った

望みは西から東へ

ラブホとパーラーの漁火の間に間に
脂ぎった回遊魚が澱む
安物のサラミのにおいをさせながら
 ....
祖母はいつだって母の跡を消そうと
黙ったまま手縫いの布で
家のあちらこちらを拭いてゆく

母は眉間に皺をよせて何も話さない
祖父は しんでしまった祖父は
なぜ遺影になって笑ってるんだろう
 ....
◇機関士:

パリ発、コンスタンティノープル行き6両編成。
ほぼ定刻でウィーン発。
乗客の体調不良等、異常の報告は無し。
これより政情不安定な地域を通過。
よって盗賊団の襲撃に警戒セヨ。
 ....
つつじに朝露が降りてきみを思い出す
薔薇ではないというきみのため
野のなかにかすむ公園に
   ....
疲れていたので 餃子を食べるときによく噛まなかった それは疲れていたから

爬虫類は絶滅すればいいのに だのに 爬虫類顔の男ばかり好きになってしまう話を
してたら 不思議とは思わなかったのか ビ ....
ちぎられる紙
ちぎる紙
はざま はざま
せめぎあう

扉の前の
やわらかな不都合
光の前の
しじま つまさき

背のびをして しずく
背のびをして 白詰草 ....
私の本名には樹木の樹という字が入っている
私の父は長く長く生きてほしいという願いを込めて
私の名前に一本の樹を植えたのである
いや本当のところ詳しい理由を訊いたことはないが、たぶんそうだと思う
 ....
右手には拳銃を持ち
誰も居ないデパートで刺客に追われる
私が狙っているのは赤髪の少女
怯えながら逃げるその女を殺すこと

エレベーターを逆に駆け上り
デパート内を逃げながら追いかける
ま ....
春は抱かれ
燃える
緑が芽吹くにおいに居て
眩む
むせかえる
しびれ
新しい手足を産むときの
吐息
甘く

金色のひかりを浴びて
たくさんの顔が歩く
小さな子に
人種について ....


あなたの
愛とはなにか
あなたの愛は鏡だ
鏡面の清潔さ涼やかさ
嘘などおよそない明らかさだ
朝の訪れの濁りのない晴朗だ
夏の真昼の陽炎立つ地平への
いちどきりの望みの率直さだ
 ....
猫がふわふわしているのは決して
自分の意思でふわふわしているのではなく
いかんともしがたい自然の摂理で
運命として
やむをえず
ふわふわしているのだと

近所の公園で猫がおしえてくれた
 ....
眠れないとあなたが泣くから
夜の外を探しにゆく
たらりと垂れた夜の糸口が
あるはずだからそれを探しにゆく

ほんとうはあなたのそばにいたくないから
せっぱつまった顔で でてきただけ
せめ ....
巨きすぎる絵を
照らす拍手
また
照らす拍手


葉の影が
頬から動かない
音なでる指
なでる指


縦の水に沿い
三つの魂が立っている
渦の音 見えぬ ....
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