夜 
ゴデル

秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実

その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています

水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運ぶので

熱くなることもなく
ジーッジーッと
刻み続けています

空一面に
螺旋を描きながら
落ちてくる
細く長い
冷たい匂いのする
表皮

僕は
虚ろな胸から
硝子瓶を取り出し
頭の上で受け止めた

それは瓶の中で
それがそうであった
もとの果実の形に
近づいていきました

やがて
溢れそうになり
瓶に蓋をした僕は
ポケットにそれを
しまい込んだ

そんな事情で

夜と同化した僕は
植物になっているのです。








自由詩 夜  Copyright ゴデル 2018-10-23 18:26:17縦
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