分身
ミナト 螢

落ち葉が集まる
回転ドアの中
振り返る季節に
折り目をつけようと

頬を叩いた紅葉が
赤くなって
蟹みたいな歩き方で
立ち去る

人に踏まれながら
指を捨てたら
大事な約束を
交わせなくなり

君に触れるための
無力なじゃんけん
全てを包み込む
パーが出せない

落ち葉が遊ぶ
回転ドアの外
傷ついていた
僕の指先に
包帯を巻いて
白い冬がくる


自由詩 分身 Copyright ミナト 螢 2018-11-24 08:49:37
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