あの夜
人の吐く唾奇の跳ねる音
どこのアスファルトの硬さも同じ
いや、あの街は違っていた
あてどなく流れ着き
落伍者に優しい街ときく
何も持たず職もなく
ひたすらに古書を売り
公園で
....
れいん
誘うレイン
夜陰
トレイン
道連れに
走り続け
夜明け
に至り
民家の庭先
をも襲い
走り続け
降り続ける
悲惨の飛散し
続け尚も死を、齎し
しらない知らない疾 ....
編まれた愛を 起点として
この からだに 空いた穴が
揺れてく景色を 透過する
この 人生を 描画する
街を焦がした 夕日が沈む
頬にすれた 夏風の匂い
浴びた 花火の灯り さえ そう ....
ネガティブな性
何もないところに
影を感じる
少しの意思疎通で
何でもないことが
わかるというのに
臆病風に吹かれて
黙っているから
ほら
また影が横切った
影を抑えようと ....
黙祷は
鐘の音
1945
8・6
8:15
刻印は時の数字
僕の死は、
人類の知恵の粋
現代科学の結晶
14万人の命の対価
目的は
先の見えない戦争の早期終結と
阿 ....
偽りが溢れるくちびる
透明がすこし濁った
盗まれたこころ細さを
噛み締めて声を抑える
牛乳を朝のむときは
いいひとになれる気がして
窓の外はしる自動車
白い息だけが溢れて
....
○「不安定な天気」
空が暴れている
地上をいじめぬいている
○「戦争」
戦争は終わってはいない
今日もどこかで爆弾が落とされている
○「生きるということ」
生きるということは
....
もしこの両目が
光を失ったとしても
あの日撮った
あなたの写真を
内ポケットに入れて
心であなたを
見つめていたい
もし今日世界が終わろうとも
例え明日が来なかろうとも
あなたの ....
その{ルビ娘=こ}は
私たちが乗り込んだ都電の座席にいた
私たちが乗るのと入れ替えに
その{ルビ娘=こ}の
両隣が空いたので夫が左側に座った
私が右側に座ろうとした時
....
ゆびとゆびとのあいだに、
はずした眼鏡をひっかけながら、
頬杖をついている、
おだんご探偵、
その不敵で、きわめて意味深な上目づかいで、
ただ一つの真実だけにたどり着かせる、
ふいに
おなかが
きゅう、とないて
きみのうなじのにおいをおもいだす
ごごさんじ
かぶりついて
ごぜんさん ....
くすくすと笑いあう
何だか楽しい
くすくすとくすぐり合い
何だか心地いい
くすくすと絡み合い
宙に漂う
くすくすは
魔法のおまじない
夕立、
吹き荒れる
突風に
塵屑吹き飛ばされ
街道に散乱し
こんな日
クライ
黙って立って
佇み続けて
居られないのかい?
消えていった体の
魂たちが
今も
宇宙の魂と
いっしょに在る
・
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
時には泣きたい夜もある
空を仰いでため息をつくことも
詩人だから
希望を謳いたいけど
今は重圧がかかり
歩くこともできない
息が出来る
それだけで幸福だ
あの人の側に居たい
詩人とし ....
蝉が鳴いていると
静けさを感じる
流れる汗が背中をつたう
夏の音がする
深い夏をかいて浮かぶ
蝉の鳴き声以外
かき消されて
どこまでも静謐が広がってゆく
{引用=
楽 ....
俺のおならすげーから
ぷーーーーーーーーっ!っぷっーーっーぷっっ!
すげーだろう、お前はできる?
この地震による津波の心配はありません
ラジオからの平和宣言蝉と聞き入る
イチローのバッティングフォームやタイミングの取り方は真似できても(ニッチローみたいに)実際のイチローのような不滅の記録は残せない。不滅(おそらく)であるとすると、イチローそのものが詩であるともいえる ....
エビデンス
そう言うあっしは
カニでんす
でも本当はタコだったので
イカんともし難い、という
砂漠にすむ魚が
未明に見た夢の話
誰も知らない話
3日後に映画を見に行くって話になったんだ
バス停で落ち合うってことに決めたんだ
もうなんだか満たされていく
未来を決めたようで
未来が待っているようで
占い師のそれよりも確か ....
あがってゆく
なにもかもが知らないうちに
忍び寄って来る
そしてあがってゆく
むかしは35度を超えれば
悲鳴があがるくらい暑かった
いまは40度を超える町が
日本のそここ ....
陰翳
夕闇も深まる時、
森羅万象は一斉に陰翳に色めき立つ。
ざわざわとひそひそ話を始めるものたちは、
吾が存在により生じる陰翳に、
己の己に対するずれを確認しながら、
自分の居場所から ....
夢見がちな
夢見る夢子は
夢の國では夢泥棒
夢夢油断なさるなよ
最後は夢吊って死んだ
夢見がちな夢子
寂しかったんだってさ
南無阿弥陀仏
南夢阿夢陀仏
明晰夢であったなら ....
心地よく身を任せよう
その音霊に
楽器同士重なり合い協調し合いながら
奏でるハーモニー
まるで寄せては返す波のように心を揺らしては
夢想の世界へと連れ去ってしまう
ゆったりと時を ....
丸いグラスの底のような南氷洋
地球儀をひっくり返せば
ほら、プカリ天辺洋
南氷洋の狼という映画があった
嘘つけと君が言う暑い夏
それでは御簾の向こうに涼しく
南氷洋のおおきみとか
バカと ....
くちぐせは陽射しを遮り
ぽとりとおちる
無限に文字起こせば
ガリガリくん木漏れ日だったり
日暮れのひぐらしだったり
鈍いことほぎ
部屋の隅に転がった昨日の俺が奇妙な声を上げながら塵になって消えて行く、別に心残りなどあるわけでもなかったし生きながら化ける理由なんてものもあるはずはなかった、けれどそれが例えば俺とはまるで関係の無 ....
愛を纏う風のチューニング
笑い続けるストロボライト
逃れる野ウサギの雪原に足跡残し
朝焼けも夕焼けも最早区別つかず
眼の前過ぎていく時の姿すら観えて
どん底迄に落ちて優しく降り出す雨
....
まだ早い りんごをもいで
ひとつ、ふたつ、歯型
皮を舐める 果肉に届かず
つるつるで てしてし
舌に引っかかる弾力
一呼吸 おいたら 波の音
いつの間に 手一杯に 貝殻
....
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