沈黙をする沈黙を
聴くと
私は
静かさで
満ちる
・
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
雨降り 夕暮れを巻いて
物語を待っていた
バスが来て 人を降ろし
タクシーが来て 人を乗せて行った
日々は車窓みたくぼんやりで
右から左へ流れていった
むすめに 毎日 頬擦りを ....
ケケケケケケケケ
ケケケケケケケケ
ケケケケケケケケ
ケケケケケケケケ
ケケケハレケケケ
一番いい服を着て
お洒落な街へ行く
あなたに会う為に
ハレの日に晴れた
ケを蹴散らし ....
引き裂かれる
肉身の苦痛
精神の愉悦
繫ぐ魂を
大音量ノイズに曝し
何とか正気を保ちつつ
両腕のパンパンに膨らみ
尚も自傷行為を
繰り返さざるを得ず
遂に自らの肉身引き裂き
....
雑木の密生する土手の外れに
一本の柳の木が俯いて
午後の暑熱を滲ませる貯水地の水面を
のぞき込む
鳥も来ない
辺りに虫の音の靄る静かさ
濃い藍藻に覆われた沼底でまだ
....
深夜、冷蔵庫から
紙飛行機の
墜落する音が聞こえた
微かな音だったけれど
突然の出来事に暫くの間
中は騒めいているようだった
翌朝、扉を開けると
すべては終息していて
冷蔵庫の ....
○「人間存在意義」
人はよく
意味とか意義とか口にするけれど
果たしてこの地球上に
人間が存在する意味とか意義とか
あるのだろうか
もし人間そのものの存在意味や意義がないとなれば
我々人 ....
とある事業所で働いている。四時の会議の前に五分だけ時間があったので、久しぶりに声をかけてみた。その、文学好きの女性の利用者さんは待ってましたというように、堰を切ったように早口で喋り出す。ぼくがふだん ....
ピチャピチャッ
大きな浮き袋に乗って
わたしはツバルを目指していた。
鴎が降りてきて動力のイルカに指図する
~おらおら~そっちじゃない、あの蜃気楼を目指せよう~
デヴィッドがたっぷりの ....
いま夜空で見ている星の光は
何年いや何光年まえに放たれた光なの
すでに星は消滅して
光だけが宇宙を走りつづけているのかもしれない
そんな光が交通整理もない宇宙に溢 ....
{引用=
さはれさはれ、去年(こぞ)の雪、今は何処(いずこ)・・・・・・、
フローラ、アルキピアダ、タイス、エロイース・・・、ヴィヨンの古い歌に現れる女たちの美しき名のように、とてもやわら ....
ふいに立ち寄った喫茶店のBGMが
雨の音に負けて壊れていく
嫌な事もなければ
良い事もなかった
今年の夏に
折り目を付けられないまま
クリームソーダを飲んでいる
弾ける泡に
何 ....
白秋のドキドキとする木漏れ日に痛い失恋想う『放課後』
すぐそばに居ても
昔すれ違っただけの
他の誰かを思っている
罪に苛まれて
不意に口づけをすることで
更に罪を重ねる
おまえが愛だと信じて
疑わないものを
俺は背負いきれなくなっている
....
しずまりしずんで
またうきあがり
あがきあらぶり
いつのまにか
ふゆうし
すごしこえて
しずまる
あなたの
おだやかな
おももち
なにもかも
のりこえてきた
こくいんの
....
水たまりに水紋が
リズミカルに打ち鳴らす
雨がしとしと静けさを呼ぶ
子どもの公園
ブランコもすべり台も
手持ちぶさた
砂場のお山も
半分になりおまんじゅう ....
少女の家の浴槽の中でこれは夢だ、と判った。
僕を肩まで沈めるお湯はその面のすべてから苺の安っぽいにおいを放っていた(たぶん入浴剤の成分だ) 僕はこの少女の家の構造の対称性を想ってすべてが まさに ....
長く働きたいって言ってたのに
突然辞めるなんて
どうしたんだろう
尋ねても
「色々あって」
理由はわからない
何が起こるかわからない
ぼくの右腕
ポロリと落ちた
ぼくの代わりはい ....
晴れていようが
雨でいようが
待合室の様なこの扉を開ける
向かう宛てがあっても
向かう宛てがなくても
コンパスは扉の外を指している
セリフもない
ストーリーもない
そんなス ....
「秋、遅い」云ったってあたしゃ知らないよ、まる子みたいに横向きくちぶえ
あなたが死んだその日から
あなたがずっとそばにいる
あなたが生きたあの日々は
わたしの記憶の外にいるのに
あなたが死んだその日から
世界は少し嘘っぽい
あなたが夢に顔を ....
時の留まる瞬間の開け
ゆっくりと飛び込み
沈んでは深く深く
舞い上がり高く高く
拡がり抉り尚も拡がり
鋼の意識を保ったまま
ほらっ、
昇る月の真ん丸へと満ち充ちて
黄白く微笑み ....
照明を落とし、
真っ黒なブラックホールに
目を閉じ
静寂な部屋で
ゆっくりと静かに
息を吸っては、吐く
体内の何ものかが抜けていく
外の気配と
内の ....
私の
この闇は
深い
宙に照らされて
いつまでも静か
・
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
せん風機と
みんみんぜみと
こおろぎが
同居している
夏と秋のさかいめに
・
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
ようやくの雨よそのままこの傷に秋を運んできてはくれぬか
午前3時
静けさの中
静かに目覚める
これからどうすれば
自分を変えてゆけるだろう
ネット上をどんなに検索しても
その答えはないよ
考えながら朝を迎えた
少しも眠くない
どこ ....
乾いていて冷たいそれを
おれは か細いからだに縫っている
目や耳や口すら覆っている
輝いたことなど一つもないが
揺れ動かず しんとしていて
煮詰めて固めたざらめのよう
黒々してて 鈍重で
....
日々の一
絨毯に鍬形虫の脚ひとつ
待ち人や蝿打ひとつ納屋の底
冷房をかき分けて寝る三歳児
子午線をくぐれ蚊遣火黙々と
汗拭きてすわ首筋の揚羽蝶
水の二 ....
思いのこすことは無い
思いのこすことは無いが
このままでは
むなしい 空虚だ
と感じる一方で、私は
恵まれているんだ
とも思うのであった。なので、
まだその時ではない、と思いとどまるので ....
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