わたしの雨は
昨日すべて
降ってしまいました
あんなにたくさん
両腕に抱えていたのに
傘が眠っています
夜明けの寂しい
コンクリートのように
 
 
僕の自転車が
僕から離れて
砂漠を横断する
暑くないように
ハンドルに括りつけておいた
涼しい模様の日傘を
ボロボロにして
それでも自転車は
たった一台で
砂漠を横断し続 ....
雨や雪やもしくは火山灰
降り積もるものに閉ざされるとき
あおぞらに解き放たれた高層雲が眩しいとき
それら、数え切れない
ゆえに無限に近いものを見上げるとき
からだは静かな楽器になるのです
 ....
 
 
ヒグラシが鳴き始めた
雨は降ったり、降らなかったり
時々、知らなかったり
 
フラスコ売りの兄は
すべてのキャベツを刻み終えると
沈まない潜水艦に乗って
埼玉に帰っていった
 ....
 
 
深夜、小さな
発車ベルが鳴って
ジェット・コースターは
動き出す
大きな音をたてずに
ゆっくりと
星と星の間を落下する
乗っている人を
起こさないように
幸せな夢を
壊 ....
私は思った
詩を書くのは何故だろう
失われた言葉ばかりだった
この 早すぎる時の流れの中で


それはリアルなものだろうか
それとも虚構であるものとは何だろう
あまりにも 自分自身 ....
  
 
海へと下りていく小道に
一匹のセミがいた
地面にしがみつくように
じっと静かにしていた
指で摘んでも動かない
すでに命は失われていた
次から間違えないよう
ひっくり返してお ....
つむる左目から駆け昇る刃
羽を断ち空を断ち 花に降る


重なりすぎて見えない重なり
かき分ける拙い手


背を散らし 背を散らし
また夜は来る 夜は来る


 ....
絵の具のにおい
月に触れる指
何処へもいかない


うたの行方は
異なる星
燃えおちる 燃えおちる


ひとりの内に ひとりは増し
さらにひとり
さらに緑
 ....
桃のにおいの手が
空を混ぜて
はじまる


闇のなかを見つめ返す
まぶたの奥の水があり
ひとつの葉に隠されている


海岸と夜
手のありか
通り雨


 ....
窓の内側を流れる風景
友達は だけど 私にはいなかった
それは一体 何故だろう
私は意思の意味の無い時代の中で
また一つの愛を 失った
私は 夢を 一人で生きてきた
ダイヤモンドより確かな一瞬に
石版みたいな青い空をみつける
だれの名前も刻まれることはないし
法律だって記されていない
ましてや
墓碑銘なんて思いもよらないのだ
だれかが今も死にいくなんて ....
 

レストランがあった
メニューのないレストランだった
テーブルクロスがなかった
テーブルも椅子もなかった
シェフがおらず
給仕もいなかった
屋根はなく、壁はなく
建物すらなかった ....
  
 
ビンに入ったボーキサイトの見本を
男は理科室から盗んで逃げた
俺にはアルミニウムが必要だ
俺にはアルミニウムが必要だ
何度も自分に言い聞かせ
蒸し暑い住宅街の闇を疾走する
息 ....
 
 
生温かいザリガニが
真夏の都会を歩く
いたるところから車や人や
ラッパの音が聞こえてくる
そんな暮れ方である
炭酸水を買ってくるように言われ
下働きが走る
近道のフェンスを越 ....
自動販売機があった
少年は喉が渇いていた
でたらめにボタンを押してみた
何も出てこなかった
今日は車に当たる日だった
先日はかすり傷で済んだ
父親はそのことが
気に入らないようだった
 ....
玄関の前にブラジルが落ちていた
おそらくブラジルから
何かに運ばれてきたのだろう
ブラジルに住んでいる人や他の生き物も
ブラジルが見つからなくて大変だろう、と思い
お役所に電話し ....
ひもとくと聞いて
巻物の紐を解く様子が
しぜんと思い浮かぶ
しかし
その書物は何で
誰が
いつ
ひもといているのか
その疑問をひもといてみせたい
いわば
物語を紡いでいるものを
 ....
樹と水と夜
波の下の島
森のはざまの道
しじま 明るく


緑の行く末
曇は曇を視る
すぎる狼煙
高く細い声


丸い角が沈み
翳りのなか浮かび
遠い縦 ....
その日の記録。

 宮城県沿岸部某市内,内陸部にある職場にいた。
 ちょうど子供らは午前中で解散。仕事区切りをねぎらう昼食会の担当になっていたので,予約してあった菓子と飲み物を店に受け取りに行っ ....
水の子ども
鏡にしるしを
つける子ども
今日は 離れて


泡の手と手
ひともとの
すべてがすべてに
あきらかな夢


青と 次の色
半分の径
仕草 ....
この土日は良い天気でした。
でも風が強かったなあ。
ヘドロが乾いた粉塵がひどいので,風が強いとしんどいけども,ぽかぽかしているのは,外活動が苦痛でないという点だけでもとても嬉しい。
朝晩は ....
 歩道橋の上に立つと、思い出すことが二つある。そのうちの一つは小学生の頃の思い出で、残りの一つは上京してからのことだ。生まれた場所には、歩道橋が一つしかなかった。その歩道橋には唯一の信号機が付いていた ....  
 
列車も停まらないような
ホームの一番端でひとり
ご飯を食べている
ちゃぶ台は誰かが置いていってくれた
多分、親切な人なのだと思う

納豆や根菜類の煮物など
好きなおかずを並べ ....
そうして、そうして、
眠ろうとする、そうして、
寒い日ですらないけれど、見えている周りに求め進んで行く。
ぼんやりと何かがあるのを、点をさまよう何かに視線を、
見つめながら、遥か遠くの点の中の ....
石のなかから硝子をひろう
いつのまにか消えている
手のひらに残る かたち
ふちどり


こきざみな夢
菓子の弦
水は灯のそば
傷と波と壁


語りあいな ....
 
冷たい直線が
流れていく
今日は朝から
ろれつが回らない、
白い紙へと
その先に長く続く
生物の住めないプール
それは時計にある
二つの瞳孔
人が唇を触りながら
ゆっくり ....
 何週間ぶりだろう。夜、走りに出かけた。
 走り出して直ぐに気がついた。季節が変わった、と。アップダウンの多い住宅地の間、短い間隔で等しく並んだ蛍光灯の光が緑色を帯びているように見える。敷地に植えら ....
十二歳 ピエロを終えた 静寂の
 
 虚ろ重なる 白い川岸
実のつらなりが
水に映る
逆さになり
雨が来る


遠くと近くの震えが混ざり
小さな 音だけの雨となり
曇へ降る虹
曇から降る虹を見つめる


指のかたちの熱が ....
都志雄さんのおすすめリスト(546)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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夏の終わり- たもつ自由詩911-8-16
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いない_かたち_Ⅲ- 木立 悟自由詩411-7-28
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