笑うために
たもつ

自動販売機があった
少年は喉が渇いていた
でたらめにボタンを押してみた
何も出てこなかった
今日は車に当たる日だった
先日はかすり傷で済んだ
父親はそのことが
気に入らないようだった
数年前は脚の骨を折った
その時はとても機嫌が良かった
プラスチック製の玩具も
二つ買ってくれた
許しが出れば学校にも行ける
最近は先生や同級生の言葉も
理解できないことが多い
それでも笑っていれば
執拗に怒られも殴られもしなかった
そろそろおまえも手帳をもらわないと
父親がつぶやいた
少年も手帳が欲しいと思った
字や絵を書きたいと思った



自由詩 笑うために Copyright たもつ 2011-07-01 22:19:30
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