いない かたち Ⅳ
木立 悟





つむる左目から駆け昇る刃
羽を断ち空を断ち 花に降る


重なりすぎて見えない重なり
かき分ける拙い手


背を散らし 背を散らし
また夜は来る 夜は来る


不思議は訪れない
不思議だから


おかしさ ゆたかさ
鈴と鐘 紙に降る雨


穴は夜のまま 闇のまま在る
沈黙さえまだ 四ッ足で居る


さらに削れ さらに削れゆく
瘡の淵の音 何も言わぬ腔


一方向に流れている
拍手と花 夜と風洞


池を踏んで池になる
まばたきは 牢のなかに居る


胸の肉 胸の肉
羽の胞子 羽の肉


奥ゆきに触れる指 根のように
空を見つめ 空をつむる































自由詩 いない かたち Ⅳ Copyright 木立 悟 2011-07-31 20:45:21
notebook Home 戻る