夜と白
木立 悟







石のなかから硝子をひろう
いつのまにか消えている
手のひらに残る かたち
ふちどり


こきざみな夢
菓子の弦
水は灯のそば
傷と波と壁


語りあいながら沈む
笛と森
置き去りの闇から
あふれ出る花


曇は無く
空が空に落とす影が
境へ
境へ傾いている


風が廻り
光は傾きを昇る
広くわずかな音をたて
空と空はすれちがう


水の上には
かつて水だった夜
無と風のはざま
切れ長の目


影と影をつなぐ径
あらゆる方向へうずくまる光が
通りすぎるものを照らしている
影を持たぬものを照らしている


白と白
となりあうとき
現われる
雨とふるえ


原のなかを
径は流れる
風は海へ
海へ吹く




































自由詩 夜と白 Copyright 木立 悟 2010-10-21 21:07:17
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