ノート(ひとつ こども)
木立 悟







水の子ども
鏡にしるしを
つける子ども
今日は 離れて


泡の手と手
ひともとの
すべてがすべてに
あきらかな夢


青と 次の色
半分の径
仕草ひとつだけ
遠い真昼


つむる左目で
蝶を見る
右目はふたつ
羽を追う


内に外に
朝の子ども
紙をちぎって ちぎってと言う
ちぎると既に そこに居ない笑み


暮れは暮れに
夜は夜に染みとおり
分けるともなく
毒のさかいめのにぎやかさ


いつのまにか端に居て
もう片方の端を照らす
銀の柱 鈍の柱
ただそのままを舞うしるし


とどかぬままにとどいては
無数のひとつをすり抜けてゆく
淡い鈴の音 淡いうた
しるべ無き径 しるべうた


塗る手が描く手を見つめている
行方知れない曲がり角
夜のような金が呼ぶ
青の次の色の名を呼ぶ

































自由詩 ノート(ひとつ こども) Copyright 木立 悟 2011-04-15 16:29:12
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