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ビンが 薄いレモン色に 枯れていく

花というものを 残せない
屈折の返る 生真面目な黙殺は

水辺リに 傾けられて寄り添った
青雲への 憧れに空域をなくす

満たされぬ受け口の 外に ....
お帰りですか、と
聞くとその{ルビ女=ひと}は
ええ、と
小さく頷いて
穏やかな微笑をうかべた

鬱蒼と茂る緑葉の下で
木洩れ日が描くまだら模様が
白い肌をよけいに引き立たせ
蝉しぐ ....
蒼く枯れるまで傍にいて下さい

たなびく煙に ほそめるひとみは
可憐な強さを{ルビ匿=かくま}って
夜風に つめは うるおいながら
{ルビ狡猾=こうかつ}な よわさに長けてゆきます

そ ....
わたしがサミーラと知り合ったのは
見知らぬ国への好奇心と
ちょっとした向学心
辞書を引き引き書いた拙い手紙を
赤と青の縁飾りも可愛い封筒に入れて
生まれてはじめての海外文通
切手一枚でつな ....
押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができ ....
女はいつも災いをもたらす 
憂いを含んだ微笑みで 
鏡に向かい髪を梳く 
後ろ姿に見惚れてはいけない 

鏡の中の女と 
視線を合わせてはいけない 

男はいつも災いをもたらす ....
梱包用のテープで作った 四角い篭
縦横に編んでいて 真ん中に持つところが
アーチ型に つけられてある

婦人会の集まりで作ったから ひとつ 持っていけ
母が実家に立ち寄った私に 機嫌よく く ....
私の部屋の金魚鉢には
金魚が一匹いる

金魚鉢を見ていたら
すうと引き込まれて
泳いでいた

涼しい青い水の中
緑の水草ゆうらゆら
赤い尻尾はひいらひら

たくさん泳いだら
す ....
いちばんふしあわせで
かなしい場所を知っているかい
それは穢れも痛みもない
世界だよとあなた
岩清水のようにうつくしく笑った


透明の
ほかには
なにもない世界
てりつく光が
 ....
濡れた月は、
この上ない美味である。
薄く雲のかかった、
十六夜月の、
あの豊穣さといったら、
想い出しただけで、
灰色の大脳が蕩けてしまう。

満月の ....
そういえば
一昨日から何も喋ってない

美味くも不味くもない中華そば屋で
気付いてしまった
食べ終えてアパートに帰るまでは
気持ち抑えておこう
と思った先から
残り半分の麺の量が全然 ....
うやむやに熔けてしまっていませんか
その夕暮れに

指揮棒に従うことで
いくつの雑音を聞かずに済みましたか


なつかしい歌たちに包まれたい日があります
拒みたい日もあります

 ....
照りつける夏の陽射しの下 
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影 
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか 

( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
「輪郭はね、大きすぎない方がいいと思うんだ。
    両手を、こう。ゆらりと、一杯に広げたくらいの」




朝の電車は
どこかに海の匂いが紛れている
だから皆、溺れた ....
1. 

もわもわ
と、ふくれあがる嫉妬心
あなたが遠くをみつめるその先に
見えるはずのない影を見ては
心に広がる黒い雲


2.

クルクル
と、まわる私の猜疑心
ゆう ....
遠い朝 日に乗るように
長靴が 畑の真ん中に立っています

沈んでいく桃色の光が 靴底で
何人かの村人に 似ていきます

ひそりと ゆえに おもむろに かぜ

駆け出しそうな 針葉樹の ....
わたしの手に
あなたの手が住み
眠り、少し起きて動くと
くすぐったいものが
わたしの中に届く

汗をかいて
わたしもうっすらと汗をかいている
守らなければならないのは
こんなに小 ....
いつまでも気付かなければ良かった
と思うことがある
熱帯夜の寝苦しさに目をふと覚ますと
わたしの知らないおとこのひとが
わたしの横で寝ていて
二つ並んだお揃いの枕と
ふたりで寝るには狭いベ ....
覚えていますか あの国道を


場所のことではなく
名前のことではなく
もう二度と通ることのない
あの
国道のことです


向日葵の頃には
とても眩しいものでした
容赦のない陽 ....
川で 手を洗おうと思ったのは
いたずらに食べた桑の実で
汚してしまったから

新しいランドセルが
川を覗き込んだ後頭部を倒す
沈んだ 目が水を見る
手をのばした
びっくりした友達のいる ....
肌の全部が
湿った薄い膜で被われて
少しの息苦しさで
満ちている午後

畳の跡がついてしまうかしら
そう思いながらも
まるで猫の昼寝の如く
時折どこからか吹いてくる風で
意識を保って ....
彼方からの気流にのって 届いたそれを
あのひとは
夏だと言った



わたしにとって
わたしの知らない、どこか
遠い場所で あのひとが
笑ったり、泣いたり、しているということは
あ ....
初めての海で
吸いこんだ
風のにおいはふるさとのようで
わたくしは、ただ
何万年も佇んでいたような砂浜の印象へ
飛びこんで
いまこの波の揺らぎに没しようと

荒れんばかりの幾多の波の
 ....
?.

ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ

あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
彼の目は
像をまあるく切り抜いて

切り抜いたまあるの淵は
切れそうなほど鋭くて

(声)い


{引用=
夜中に眼球が旅をする話を知っているでしょうか。
主人が眠りにつくとすぐ ....
弟が二人いる姉など
子供の頃は 子守りをさせられ
遊べるくらい育ったら
キャッチボールなど 男同士だし

大人になっても
たまにラーメン食べにいくとか
うちで 飲むとか
まず 誘われな ....
{引用=一、くじらヶ丘


 口に出してごらん
 うるおい、と
 その
 やわらかな響きは
 途方もなくひろい海の
 すみからすみまで
 満ち満ちてゆくようなものではない

 干 ....
バスに小川が乗ってきた
どこにも流れることのできない小川は
だらしなく床に広がった
立っている人は足を濡らした
座っている人は足を濡らさないように
座席の上に膝を抱えた
大学病院
 ....
服を買って着替える
着替えている途中にそば屋があったので
天ぷらそばを注文する
持ってきたのは昔の恋人だった
昔のように優しくしてくれた
着替えをしながら自分はそばだけを食べ
天ぷらは ....
青い青いテニスコートの結び目が
ほどける

1セット
2セット
3セット

スパン・・・                スパン・・・
と空気を切る音

その断面はゼリーのようにゆる ....
千月 話子さんの自由詩おすすめリスト(1787)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冷たい_カーテンコールの下- 砂木自由詩12*06-8-6
盂蘭盆- 落合朱美自由詩3006-8-5
夜伽歌- 千波 一 ...自由詩17*06-8-5
サミーラ- 恋月 ぴ ...自由詩30*06-8-3
ドラえもん- たもつ自由詩9406-8-3
シンメトリー・パンドラ- 落合朱美自由詩25*06-8-3
紙の篭と_魚の缶詰- 砂木自由詩9*06-8-2
金魚鉢- ふるる自由詩21*06-8-2
笹舟- 明日殻笑 ...自由詩12*06-8-2
「_ひとくちの月。ふたくちの夜。_」- PULL.自由詩21*06-7-30
人の会話- AB(な ...自由詩1106-7-29
メイプル・ハープ- 千波 一 ...自由詩24+*06-7-28
渇いた夏_- 服部 剛自由詩26*06-7-26
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もわもわ_クルクル_ぷっちん_コロン- 落合朱美自由詩32+*06-7-25
白い_足跡- 砂木自由詩14*06-7-22
ある、手に、- たもつ自由詩1906-7-22
殺意- 恋月 ぴ ...自由詩42+*06-7-20
向日葵の頃- 千波 一 ...自由詩12*06-7-18
- 砂木自由詩10*06-7-15
石榴の花と黒揚羽- LEO自由詩21*06-7-13
透けていく、夏- 望月 ゆ ...自由詩42*06-7-13
ひとり暮し- こしごえ自由詩15*06-7-10
あ、じ、さ、い。- 水在らあ ...自由詩67+*06-7-5
- ふるる自由詩17*06-7-4
いってらっしゃい- 砂木自由詩10*06-7-4
小詩集【くじらヶ丘にラベンダーの雨】- 千波 一 ...自由詩43*06-7-3
最初に- たもつ自由詩1806-7-1
着替え- たもつ自由詩10*06-6-28
テニスコート- ふるる自由詩11*06-6-27

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