すべてのおすすめ
我家は回転している
円く伸びた廊下
振り返っても、そうでなくても
伸びていく先は同じこと
春夏秋冬
西側の窓からは
明るさが注がれます
真ん中では居間が
ごうんごうんと音を立て ....
僕はブーメランを期待して
君にくさいセリフを言ったのだけど
ちっとも返事が返ってこない
心配して見に行ったら
しまった
君はイチコロでまいっていたらしい
ひとが愛した草花の名前を手帖に書き留めて、日記にしましょう
ああ、憐憫というものは
秋の日の袖口に風があたり空がやたらに高く仰ぎひとがいつまでも遠くにいてぼんやりとした輪郭をにじませている ....
えんぴつの上についてる
消しゴム は
何を書いてるのか
知らないけど
間違いは 消す
正解も 消す
ないてしまうかと おもった
きみは よぞらを みあげて
あれは リゲル
あれは べテルギウス
そんなに きれいな めで
とおく とおく あるものに
そらを すかして うちゅうを みてる ....
「焼ぁ〜き芋ぉ〜、
石焼ぁ〜き芋、焼芋ぉ〜」
日も暮れた
裸木の並ぶ川沿いの道を
赤ちょうちんの焼芋屋が
ゆっくり ゆっくり 歩いてく
後ろからもんぺの{ルビ懐=ふところ ....
遠い昔
父さんはマネキン
母さんはトルソ
小さかった僕は
マリコ、と
そう呼んでいた
一体のボディがあった
スタンドに立てられた彼女は
母親のくたびれたドレスを着せられて
部屋の ....
ボクはスノーマン
お日様が
君を想う温度とすれば
ボクはスノーマン
手も足も
出せないままで溶けてゆく
明日は
水に戻るのだから
ボクはスノーマン
芯まで
氷
....
袖 の 小鶴 が 遠のく
こすれた城への 道 薄れ
つづられて ひろげられて
すすけた手 にじみよる矢
玉揺り篭の奥 くり抜かれ
流れに咲いた 冷たい刺青
すすり ....
かつて
わたくしは
花、だったのですよ
よろしければ
咲いてみせましょうか
と
言うと
水、のようなそのおかたは
しなしなとゆびを左右に
ゆらして
ていねいに
それをこばむ
....
夜が白々と明けると通勤が俺を捲くし立て俺は走り
俺は走るが走っているのは通勤快速だ
くそっ!通勤だ
くそっ!快速だ
身動き取れないそれでも走ろうとする俺の背中にボインちゃんのボインが
ポ ....
正雄さんは 今日はいらっしゃるのかしら
律儀に今朝も 同じ時間に
サクさんは 二階の詰所にやってきて
繰り返し そう 尋ねる
わたし 頭がおかしいから 心配なんです
杖の先を遊ば ....
そこにあった かこに
おもいが もっていかれる けしき
わたしたちは ながれゆく ときの
だくりゅうに のまれて
ひきとめられず ただ やどる
やわらかな おもいで
あたたかな ....
実は僕
あんたの事
5回殺してるんですよね
ええ、頭ん中で想像して
だから罪にはなりません
心の積荷は少々重いですけれど
まぁ、現実にあんたが生きているのは
僕の想像力のお陰 ....
覚えたての九九を妻が口ずさむ
大切なものは奪われても
忘れなければいいのよと妻が歌う
夕暮れ前に一瞬空が明るくなり
テーブルのりんごやみかんやバナナが色を手に入れた
頬杖つきながら
文 ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ
いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
平らな地面で
あなたのほうに転がって行ったら
笑われてしまう
ひらひらと
一年の想い出を
ひっさげて
木の葉は空へと
舞ってゆく
どこかの星へ
報告をしに
一本百円のだいこを買って きょうは煮だいこにする
頭からしっぽまで えいえいと皮をはいで
すりきり水 ひとつまみ塩 ひとつまみ砂糖 昆布
この時期のは 霜が噛んでいておいしい と ....
穏やかな平行の視線
温もりのすき間に
優しい花を飾って
大きさの違う手のひら
重ねても埋まりきらない
埋めなくていい
近付いて
震え
離れては
響く
声も
色も
匂 ....
僕は生まれついての詩人じゃない
僕は詩人になりたいだけだ
包装のプチプチをぷちぷちしてるとき
まちのはずれでは夜が夕景を食べていました
ペットボトルのお茶が
中途半端に飲まれることを怒っています
ショベルカーは「ごめんね」と言いながら ....
会ってご飯食べてチューしてそれから
恋人になりたいって
言われても
さらさら流れる感情をどこかでせき止めて
今日から恋人だなんてどこかおかしい
ちゃんちゃらおかしい
自然に恋人になれないの ....
〔3月の風〕
風上に向い口を開ける
口の中を短い鼓動で回流する風は
粘膜を乾かすことをやめようとしない
〔幼少の頃、〕
「この子は他の子より唾液が多いみたいで」
母は決まっ ....
きょう、は
明るめの服を着て
ほのかに染まっていく
午後に立っています
炭酸飲料のはじけるビンの底
向こう側が、揺らいで
私の午後も揺れます
クロール、ビンの中を
眠り ....
巨大な象に踏まれた早朝のグラウンドで
石灰で描かれた白いラインを挟んで
きみとぼく こんなに遠い
舞い上がる砂埃につつまれて
ほどけてゆく朝陽が
冷酷なやわらかさで広がってゆく
ここにきみ ....
街の喧騒の中で
取り残された
迷子のように
俺は
立ちすくんでしまった
明日はどこへ行こう
明日はどこへ行ったらいいんだろう
ネオンに聞いたところで
答 ....
どうにもこうにも
犬の糞をふんずけてしまった時みたいに
マヌケだ
きれいにかしこまった感じで
「どうでもいいよ」と
受話器からのご返事
ああ
がぶがぶとポカリでも飲んで
その後ティラミ ....
君がふと
だまりこむだけで
私は遠くへとばされる
沈黙という名の遠心力によって
私は遠くへとばされる
空が一人で降りてくる事の無いよう
山がいたりします
雲が寂しがらないよう
風が一緒に流れます
木の幹が温かいよう
日が優しく話しかけます
全部優しくつながってる ....
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