すべてのおすすめ
夫がいる週末は楽しいから
なんにもない平日を
早送りする

だけど、今夜は
夫が
携帯電話と間違えて
リモコンを持って行ってしまった



夕飯を食べる時間に
夫がいないので
 ....
やましさに
ついて、
きみに頬ずりした、量を
増していく、雪の
なかに
埋もれていくように、夜に、きみに

ついて、話していた
電話は
途切れた、雪に覆われている、潜みで
 ....
冬眠をしていた
たまご焼きが
ゆるゆるとのびをして
大きなあくびをしている


なべのなかで
たけのこと かつおぶしが
ことことと
ないしょ話に花をさかせる


ふと、牛乳の肌 ....
本家の従姉妹3人が集まって
一年忌の手伝いのことを話していた
はずなのに

気が付いたら彼女たちの話題は
秋にみんなで行く旅行の計画に変わっている

機関銃トークは女子学生の専売特許
 ....
放浪中の乗り合いバスで 
旅の鞄を開けたら 
電池の抜けた 
目覚まし時計が 
ぴたりと時を、止めていた。 

2本の針が指す時は 
午前5時30分 

あの朝旅を始めた僕が 
心 ....
もうすこし ふるえていようか
みつけてもらえるように


何を言ったんだろうか
かすかに見える振動の
その残滓が
言葉の残り香を伝えてくるのだけれど

部屋じゅうに張りめぐらされた糸 ....
僕は切符を買うよ
いつもと同じ場所にむかう
日めくりをちぎるときに
忘れてしまうだろう、今日だから

僕は切符を買うよ
四十九枚の十円玉を投げ入れて
光るボタンで行ける場所
誰もが辿れ ....
昨日が、夜の中で解体されていく



肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る



わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
 ....
 
ひさしぶりに実家に帰ると
お父さんが
船になっていた

甲板には母がいて
いつものように洗濯物を干したり
いい匂いがしてくる
調理室で料理をつくるのも
やはり母だった

嫁い ....
坂道を
どれくらい登れば
振り返ってもいいのかな
もちろんそんなことは
てめぇの勝手
と言われればそれまでのこと
ではあるけれど
ほら
横浜のはずれだとさ
ちょっと駅から歩いただ ....
 
 
石積みの朝
陸橋はその歪んだ影を
路面に落とし
昨日までの工程を語り終えると
あなたは静かに
最後の生理を迎えるのだった
 
+
 
足音が擦り切れていく
あなたにとっ ....
キーボードの手を止めて
受話器を上げる

懐かしい声が僕に呼びかける
同じ社宅に住んでいた近所の小母さん

親父にきた年賀状の返礼に
僕が出した寒中見舞いを見て
驚いて電話をしてきたら ....
そんなとき
わたしは、ふとおもう

たとえば、いまはいているくつ
をぬいで、みなもにたったらしずまずに
わたりきることができるかもしれないとしたら
それが、わたしのこころをすくってくれる
 ....
かじかんだ手を
あたためてくれた人はとおく
冷えきった深夜の駅
まばらなひとたち
だれも私をしらない


わたしのことさえ だれもしらない


どんなにののしられても
それを愛に ....
あの日 蹴りそこなった石が
かさぶたの裏でうずくまっている
擦り切れたテープが空回りする速度で
まばたきを繰り返す


ほんとうはもう 暗算だってできるのに
指折り数えてしまうのは
駅 ....
<余分三邪鬼>




脂肪


最後に君と食べたネギ塩カルビ
泣きながら飲み干した生ビール(大)
美味しくも哀しい想い出の数々が
僕の内臓にぴったり寄り添って離れない
鏡を見 ....
赤い夕日を浴びたのに
かげだけ黒い、
そのふしぎ。


草木も花も野も山も
おなじくみどりと
呼ばれる、
ふしぎ。



 波の青さにあらわれて
 透きとおってゆく、 ....
この街でいちばん美味いという
来々軒のラーメンを食べていたら
いつまですすっても麺が途切れない

適当なところで喰い千切ると
あなたはひどい人だ
という声がした
たぶんメンマが言った ....
僕が生まれた小さな町では
毎日が大停電の夜だった

プロレス中継がツーカウントで
中断してしまうことは
日常茶飯事だったし
髪が乾かぬうちに
ドライヤーの熱風が
消沈してしまうのを理由 ....
 
先生おトイレにいってきます
そう言って
だれもいない廊下を歩いていた

ある教室の前で
あれは冬だったのか
夏だったのか
さだかではないけれども
とにかく寒く
暑かったかもしれ ....
 
そらのどこ
とぼくがたずねると
きみは
そらのとこ
とこたえるのだった

だからぼくはまた
そらのどこよ
とたずねてしまうからきみは
そらのとこよ
とこたえつづける
いつま ....
夏の午後 影は濃く
姿勢の正しいあなた
まっすぐにねむる
貝殻のボタン
ひとつ失ったまま

くんと伸ばしたつま先から
夏が逃げてゆく
砂がはらりと落ちる
そして落ち続ける

傾い ....
始めに朝があった
僕たちは扉を開けて
靴音鳴らして別れてった



「自分に自信がある男程SEXが下手なんだよね、何故か分かる?努力しなくても良いから。自分に卑屈な男の子の方が自分に ....
自由の翼が手に
入ったとしても
額縁の絵の中を
飛ぶことぐらい
しかできないし

お洒落な足かせ
をガチャガチャ
いわせながら記
号でお喋りして
いたほうが楽し
いかもしれな ....
石けんの香り
ゆらいで
沐浴

朔日、
娘が生まれました。

張りつめる乳房の
端から
わたしの血液を
ふくませ、
ふくませ、

新月のひかりで
臍の緒を断ち切ります。
 ....
何故かあのひともそうだった


年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり

初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
超えていく、
日付の壁が
目まぐるしい程に光るのを
横目で蔑みながら
今日の境目を探す

誰も、私のことを
見てはいないから


急いで履いた靴下を
だぼつく
とい ....
忙しい日々から逃れ 
疲れた体を暖めようと 
平日の{ルビ人気=ひとけ}少ない温泉で 
頭の上にタオルをのせて 
露天風呂に沈んでいた 

ゆげの立ち昇る 
水面に 
現れては消えてゆ ....
信号待ちの車の中

ふいに
シチューの匂いが

忍び込んでくる

こんなに濃厚なシチューを作る
幸せな家はどんな家だろう
と思うけれど

走り出した車の中
すべては押し流され
 ....
しずかな雪のあいだから
わずかに土が
見えるとき

わたしは灰の
そらを見あげる


 まだそこに
 凍えるものはありますか、


小さな呼吸は
ぽつり、と白く
あ ....
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