かさぶた
ことこ

あの日 蹴りそこなった石が
かさぶたの裏でうずくまっている
擦り切れたテープが空回りする速度で
まばたきを繰り返す


ほんとうはもう 暗算だってできるのに
指折り数えてしまうのは
駅の階段の6段目で
あなたに呼び止めて欲しいから


木の葉が風でめくられるたび
溶けてしまった耳たぶが疼く


自由詩 かさぶた Copyright ことこ 2009-02-21 19:21:59
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