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きみの発する言葉ひとつひとつから
ぼくの体温を感じ取って、
それは甘ったるくて
しつこくて粘ついていて、
どうもぼくの世界には
合わなかった
それだけだったのに
今は無性に味気ない
....
広島にいる私の水面と
室蘭にいるあなたの水面が
水平
だとするなら
大型客船の中のあなたと
日曜日のカフェの私も
きっと
同じ高さだとと思う
それはずっと連続していて
だけど ....
{引用=
どうすればいいのか
わからない
貝の中で
泣いていた
日
それから
いちど海がかれて
空がおちて
ながくもないとしつきを
二億年と少しへだてて
....
1
毎年この日の夜には
上原君の星が話しかけてくるはずなのに
今年は何も聞こえてこなくて
見上げても光が揺れることもなく
なあ、もう忘れちゃうよ
と、小さく嘘をついてみた ....
花散里
僕の小さな世界史が
源氏物語だったら
次元を超えて愛を語れるものなら
あるいは1970年の山下洋輔だったり
アルバートアイラーだったりするのかもしれない
僕は何に対して ....
今朝 坂道を下ると
空が見えた
美しい空があった
いつもどこでも 美しかったであろう
久々に愛してる人が見せてくれる
優しさを胸いっぱいに感じた
私は橋をわたる その優し ....
ぶらっと寄らないかあの店へ
忘れられないひとが待っているかもしれないから
すずなり横町とライブハウス
本多劇場と誰も歌わないあのうた
ロングバケイションとお気にいりのロケーション
計 ....
空があり風があり
時は世界樹をかけのぼって
あしたへとながれてゆく
だれかが小ちゃなブルースを
奏でているような気がしてでもそれは
ぼくの知らない紫の小花の群れだった
月への梯 ....
長いあいだ 恋もせずに
眠っていた
営みがいとなまれ
物語は癒着しきって
開かれず 湿った頁を
ほそい指が捲るとき
できるなら まだ
起きたくはなかった
長いあいだ 恋 ....
赤ちゃんは
ありったけの
激しさで泣いて
海から生まれる
きっとありったけの
感謝の言葉を忘れないうちに
はき出している
ずっと海の底で思っていたことを
暖かな海に抱かれて ....
スマートフォンの天気予報図を見た
「台風は非常に強い勢力を保ちながら
本州に向かっています」
空の御機嫌は知らないが
いずれにせよ
明日は来る
日々の些細な出来事に
ぐにゃ ....
書けることを書けない夏の教室で
好きな子の隠し事と嘘すら見誤る最低に
これとそれはこれとそれに似ているという点として線にのみこまれようとする夏の営みから逃れようとして線をくしゃくしゃ丸 ....
新鮮をたもつことはむずかしい
いつもそれはてもとから去ってゆく
この瞬間の永遠を画布に塗り込めて
とっても地球が重い日にぼくは
だれかの友達 になることを決めたんだ
彼もしくは彼女は ....
風は立ち止まると消えてしまった
草木が{ルビ堪=こら}えている囁きを零すまいと
螢を宿した子宮のよう緑は極まり
森は風の帰りに欹てる
蝶の影が肩を掠めた
あるはずのない感触は誰かの笑いの ....
あの時のきみがずっと
ぼくの傍でねむっている
少しだけ、雨の匂いをさせて
笑いながら喋りつづけた
言葉はむなしい闇にのまれた
若く優しいだけでいられた
....
きみが初めて見たものは
きっともうきみの記憶にない
空の青さを知るまえに
この世界に生まれた命は
涙のあじを最初に知る
わたしは夏に生まれたけれど
いまだに夏色を ....
不確かな旅
羊水に揺られる小舟が
血管の糸できた繭を乗せていたことを
生きる中で傷を受けるたび
思い出す
その糸は長く延びていて
誰かとつながっていたはずだった
それは血を分けた誰 ....
水面を幾重にも抱きながら藻が囁く
流れは何をも見送るもの
躓くものも うつむくものも
嘲笑うものも 祈りのひたいも
魚が撥ねる
いま その尾が視とめた光の破片が
太陽の剥がれた抜殻とし ....
おむつを替えるのも
今晩はこれが最後
しんどかったけど
今日も一人で
なんとかやり遂げた
昭和ひとケタ世代の
あのちっちゃくて
可愛いおばあちゃま
で
ラストだ
部屋にはボ ....
どうでもいいぢやないか
それは君のくちぐせであり
ぐうぜんにも 君からきいた
さいごのことばでもあつた
ひと月まへ 一緒に飲んで
別れ際にきいた いつものせりふだ
その前に何を ....
雨が嫌いなくせに
今日だけは雨が降る予感に
嫌悪感が伴わない
子供の頃から認識している
七夕には雨が降ると
いつもそうだった
織姫様と彦星様が年にたった一度
会える日だから
今 ....
私たちは舟の上で恋をした
舟をうかべる水面はきららかで
私たちを祝福しているかのようだった
私たちはあまりにも
恋することに夢中だった
時が経ち
私たちはどこかへ行ってしまった
けれ ....
西野の花屋で薔薇を買った
高価だから四本だけ(バーボンに託けて)
紫の花弁が密集しておいそれとは見せてくれないタイプの娘がふたり
丁度よく開いた白い花弁になよやかに反り返る
ピンクの縁取りの娘 ....
わたしの前の席が空いたけど
今しも都市のかなたに沈もうとする大きな夕陽を
見続けていたかったので
座らなかった
燃え滾る線香花火の火球のような
太陽だった
それを反射して真紅に光る壁面 ....
骨のない詩が畳まれて
送られてゆく
あかるい音とともに
チャージされるなにかたち
何度も水をくぐった
おもたい皿をもちよって
その晩、ぼくたちは
詩の骨でスープを取った
....
あー、こんだけあるとどれ注文していいかわかんないよねえ。じゃあこの本と……雨のはナシで。人気が高いから種類も多くてさ、全部頼むとほら、棚に入りきらないんだよね。うち狭いから。定番のやつと、新商品から二 ....
いかがおすごしでしたか ほんと おひさしぶりですね あなたのことを
得体のしれないエネルギーだという人の話を ほんと何度もききましたよ
人々はあなたに出会うと ほんらいの姿を取り戻すだの心洗われる ....
はるか空
最近は見上げることを
忘れていた気がする
それは足もとの水溜まりを
下を向いて避けながら歩く日が
続いているからだと思った
はるか空
そこには雨の工場があって
....
とてもシュガーレスで甘い日々に乾杯
いつかか叶うかもしれない幸福論にさよなら
すといっくなクラプトンが好きだったな
ちょっぴりうち間違えをしたタイピスト
シドビシャスみたいな素直な凶暴 ....
{引用=
こわれた家で待っています
むかし きいたことのある
こんな声、です
「死んだ子たちはけだかいので
星になったりしません
晴れ空に光がみちるだけです」
(おし ....
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