2月10日の雪のように
和歌こゆみ

かじかんだ手を
あたためてくれた人はとおく
冷えきった深夜の駅
まばらなひとたち
だれも私をしらない


わたしのことさえ だれもしらない


どんなにののしられても
それを愛におきかえて生きてゆけばよかった



それを手放してもひとりをえらぶ

ゆるしてほしいとは云わないわ




背が高くはない貴方
うしろから
首の辺りに腕をまわして
抱きしめられたそのときだけ
何処よりもふかく
しずんでいく稚魚のように
水面に漂う鳥たちにも似て









2月に降りしきる 今年最後のゆきをみながら
どこか遠くへと願いながら
バス停に佇んでいた
ただひとり
ずっと。







灯りの消えた家々のなかで
通り過ぎるわたしたちのことも知らず
どんな夢にねむるのだろう






ありがとう。
だけど


自由詩 2月10日の雪のように Copyright 和歌こゆみ 2009-02-22 00:47:01
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