百鬼詩拾遺 <2>
nonya

<余分三邪鬼>




脂肪


最後に君と食べたネギ塩カルビ
泣きながら飲み干した生ビール(大)
美味しくも哀しい想い出の数々が
僕の内臓にぴったり寄り添って離れない
鏡を見るたびに愛しい腹をさすってしまう
傷つきやすくていつも夢見がちな僕は
人呼んでメタボリック ・ シンドバッド




糖分


頭から物分りの良い粉砂糖を入れると
口から言葉のような角砂糖が出てきた
角砂糖をキレイに並べて指先で叩くと
背中から歌のような練乳が流れ落ちた
練乳に足を取られながらも鼻歌まじりに
食事の支度を始めた愛妻の餡子が
トントン切っているのは金太郎飴だった




塩分


ランニングとサウナが大好きで
ちょっぴりマッチョな汗と涙の体育会系
そんなあなたに惹かれたのは
恋の浸透圧のなせる業なのかしら
顔も話も濃い目のあなたのために
わたしは今日も料理に塩を足すの
大丈夫 保険金はわたしのものだから




自由詩 百鬼詩拾遺 <2> Copyright nonya 2009-02-20 20:37:56
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