握り締めたのは
あの日の青
解いたのは
いつかの夕焼け
ねぇ
時さえ許せば
気の遠くなるあの日まで
歩いてだって行ける
朝が来て
夜が来る
不変の真実ばかりを
抱き ....
イヤホン越しに響くのは
甲高い声で嘆く地球
右向きゃ赤色
左向きゃ灰色
何気ない顔で
暗闇は、そっと
肩を叩く
アナタ( ....
あどけない幸せに手を差し伸べても
まだすべて捨てられると思っていた。
零れだすものは、すべていらなかったから。
だからなんにでもなれると思った。
この道はどこまでも続くから
僕もどこ ....
ノートに書いた文字が
はしから消えてゆくのと
あなたは不思議そうに
ペンを見つめていました
言葉がかわいそうだから
もうこれ以上は言わないのと
あなたはすっかり黙って
消えた文字を追 ....
明日は一日、月立つ日
時の流れと一年を
月の姿で数えていた頃
細い三日月新月が
空に立つのが一日だった
白夜が続く北極も
夏至を先日迎えたばかり
白夜の空への夜の戻りを
るりが立つ ....
君はその銀色のハサミで
何もかも容赦なく
切り抜いてしまう
また空がひとつ足りないと
カモメが嘆く
君のスカートに
貼りつけられた一片の空
今日も次々と
その鋭く冷たいハサミで ....
チリチリ、
チリチリ、
私ヲ通ッテイッタモノ、
出掛ケニ魔除ケノ鈴ヲツケ、
帰レバオ清メノ塩ヲ撒キ、
ソンナ日々ガしばらくハ
続イテ
チリチリ、
チリチリ、
遠ザカル ....
紫陽花が雨に震えている
市街の外れ 朽ちた街灯の列
仄暗い午後を導いて
古い測候所の庇から
傘の中のあなたを観ている
声は囁き 雨に溶け込んで
曇天の高いところでは
衛星たちの最期
尾 ....
(1)
あなたにはじめて出逢ったのは
この廃屋が未だ駅舎として機能していた頃のこと
夏草の浸食に怯える赤錆びた鉄路と
剥がれかけた青森ねぶた祭りのポスターが一枚
この駅を訪れるひとと ....
地上が息苦しくなってきたので
えら呼吸に切り替えて川に潜る
存分に泳ぎ回る
懐かしい開放感に浸っていると
おなかが空いてくる
視界に入ってきた獲物に喰らいつく
と同時に上へ上へと引き上げら ....
二年ぶりの胸は
耳たぶのようだった
巨大化した耳たぶ
快楽の跳ね返りのない
むかし助手席から
蹴りだされたおんなは
蕎麦屋で落ち合ったあと
部屋に誘ってき ....
酩酊の夜道で仰ぐ空の
遥かに滲むあの星宛に
一篇の{ルビ詩=うた}を僕は綴ろう
( ruru ri lala
lala ri ruru )
いつか星になった日 ....
蓮の葉ベットの上 雨水が風に合わせコロコロ遊んでる
水玉が転がる やわらかさで 落ちる闇の雫 揺れる花
心情も背景もモノクロで
理屈ばかり浮かんでる
疲労の蓄積に心も肩も背中も凝 ....
きれぎれに
夕暮れに
夜夜に、きみは髪の毛を編んで
いる、指先で
ふれて
いる、暗闇に、きみは
きれぎれに
くちづけている、刻々と
空になるまで
静けさを測る術を探している。冷たさには限界があるのだけど、
静けさを測る術を探している。住宅街の、小さな公園の、真夜中、ブランコをこいで、こいで、鉄の鎖を軋ませて、泣いてしまいそうだ、どこかの家 ....
080628
明日は大雨ですから
透明なビニール傘ではなくて
しっかりした傘でお出かけ下さい
天気予報が告げる大雨の予測
雨が降るから傘をさす
....
メールが来た
日付けはなく 差出人の名前もない
蔵書を貸してくれという
家の居間から出ようとしただけで
不意にさびしい海岸に出てしまったなら
どうする?
まあ
椅子でも出して座っ ....
星が消滅するのは
とてもはやくて
とてもとおくて
とてもゆっくりにみえた
ぼくたちは
死にゆく生き物です
だから
いまここで
おもいっきり
深呼吸をしたい
まばたきをし ....
伏臥の悦楽がやってきて
無音の法悦に浸りながら
大気の肌に触れたなら
読みかけの「ジャンクリストフ」
どんな偉大さでも、偉大なものはすべてりっぱである。
苦悩もその頂点に達す ....
そんなにきれいに泣けるのは
君がまだ子供だからなのか
黙した瞳から
その瞳と同じくらいにまるい
ぽろりと転がるように頬をかける
涙が
辛かったんだ
辛いって伝えるた ....
雨が抑えている
気持ちにふたをして
重くのしかかるのは
度の強すぎる眼鏡のよう
咳こんだところで
深く吸ったところで
するのはただ、土のにおい
しみてゆくしみてゆく
こころもぬれて ....
キャラメルが食べたい 苺のシロップがけも
それから、たまにはコーヒージェリーもいいな
こう毎日毎日マクロビばかりではたまらないよ
お菓子の中に埋もれて眠りたい
タイトでひらひらのL'E ....
街の喧騒を抜け出せるくらいの
突き動かされるような
強い衝動が欲しくてたまらない。
それは ただ
「疑い続ける恐怖」
結局 あたしは一人の人間として
この時間を全て
あなたに ....
生きるのをやめてみようかな、と思った
ずいぶん前、絶望の淵で
そんなに大事ではない
ただ少し、休みたかっただけ
それから今まで生きてきた
生きることを選択したわけではなく
死ぬのを ....
光の中を走っていたら
太陽が消え闇の中
暗闇を宛てもなく歩いてみたけれど
いつまでも続く闇の中
女はいつしか闇に慣れ
もっと痛みを、と闇の中を突き進もうとした
突き ....
頭上に広がる空の下
何処までも流れる川の{ルビ畔=ほとり}
旅人はぽつんと一人
立っていた
雲に隠れた天使が
ちらっと顔を出し
碧い{ルビ硝子=がらす}の瞳で
彼に云う ....
兎の模様にみんな病んだ
蝶に倒れた
病院は花園
看護婦さん三階で井戸堀る
注射を打つ廊下
点滴ぶら下げる香水
百日も紅が治らない
いいにおいのする
いいにおいだけのする
包帯は無地
....
きみと
きみときみを囲む白い壁と
きみの大層な毛皮がよく見える
首が痛くなるまで星を観測し
今はまだ冬至、これからこうなって
ああなって
こういう風に動いたらあたたかくなるのさ ....
顔のないつるっとした人たちがふいにに笑う声
風に巻き上がるコンビニ袋の不確かさで
枯れていく音があらゆる角度から無数にする
家と家のすきまでまぶたを閉じる
足元のアスファルトがめくれて ....
ニュースも見ない
気晴らしのバラエティーなどもってのほか
パソのスイッチは錆ついて
空を ほらこのとおり見上げて
小鳥の声が存在感を増し
たまの音楽はクラッシック
ベトーベンにフォーレ ....
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