君は 必死にボートを漕ぎ進んでいるんだね

でもボートは後ろ向きで前に進むんだ

いつか必ず 大きな船で舵をとるんだよ





あなたはいつも 牙を剥き 鋭い爪で私を威嚇 ....
あなたは変わらず
ぶっきらぼうで

歯に衣着せぬ物言いが
むしろ心地よい

十数年ぶりに席を並べて
仕事をする

あの頃とは
立場も背負っているモノも違うけど

変わらぬことに ....
ごらん
空が青いのは
海が青いからなのか
それとも空が青いから
海が青く見えるのかわからないだろ
正直そのどちらでもなくたっていいくらい
確かにそのどちらでもないのかもしれないし
そ ....
0時過ぎの残業を終えた 
更衣室のロッカーに 
凭れて座る栄養士 

青白い顔と体をつらぬいて 
うっすらと立つ 
ひとすじの葱 
「ひでぶ!あべし!あちゃちゃちゃちゃあ!」 

歌舞伎町のライブハウスで 
登場した幕間詩人の 
雄叫びを聞いた翌日 

職場への道を歩いていると 
古びた赤いポストの下に 
「北斗の ....
草の葉が
風にゆれて
風景と対峙する
その葉のさきに
とまる爬虫類の眼に
やどるのは人だ

さようなら

葬列のむこうへ
風はゆくが
寂寥とした気配に
残されたものは
石積み ....
なに?大好きが聞こえない

愛はしなやかな放置プレイ

春のかすみは遠浅の緑宝石


風がほどけて翔けてゆく

ぼくは故障した水のよう

いっぽんの煙草を燃やす


なに? ....
夜が燻る
夜が放火する



わるいゆめ
ほんのすこし掠めた
ささくれが毛布にひっかかるような
ひっかかるようなきがして
指を舐める

夜が燻る
夜が放火する


にがい ....
生徒からもらった手紙には
「わたし先生がいなくても頑張ってるよ」
って書いてあった

渡り鳥のように教室をめぐる僕は
だからこそ一つ一つの授業を大切にする
うまくいかないこともあるけれ ....
静かなサーカスから 流星を追い越して
痛みの隙間を 夜明けが埋める

眠れぬワインで嘴濡らす
ジェラシーに踊る海燕

群青の恋を抜け
空の終わりへ 羽ばたく
傷だらけの翼をいたわりなが ....
いまいましい季節が過ぎ去って
春の匂いを運んで
ちいさな風が
独り言を
ちっちゃな声で

ほんにゃら ほおい

赤いランドセルに
まだおんぶされているような
ふきのとうの葉で
傘 ....
自分で考えてみても些細過ぎる悩み事を
頷きながら聞いてくれる
復縁できたらとか下心あるのかな

彼だった頃は喧嘩ばかりしていたのに
なんだか不思議だよね
今では心を開いて相談できる
同志 ....
病人は目を醒まし
言葉にならない声でさけんでいる
葬儀屋が切り取った脚を
箱に入れて去っていく
皮膚は黒かったが
骨は白いままだろうか
もっと遠い窓の向こうでは
咲いたばかりの花が
離 ....
反復することができない
ものが、示されて
きみは
わたしを愛していない、愛していない
きみはわたしではない、
わたしがわたしでない
とき、きみは
われに返って、夜
に、
指し示す ....
吸い込む煙に咽こんで
突き抜ける頭痛に把握する現在
何より無く何故も無く
成すべきと定めた納期を
遣り繰りするだけに生きている

山陽道に横たわるモグラ線を
時速三百キロで駆け抜ける退屈 ....
{ルビ人気=ひとけ}の少ない
菜の花ロード
あなたと肩を並べ
静かに歩き始める

記憶の隅っこを
居場所に選んだ
幼い記憶をたどって

とおくとおく
忘れてはいけない

ささい ....
地球のてっぺんから
百万発のロケット花火を飛ばして
高原でバーベキューなんかやってるような
さわやかな連中を追っ払ってやりたい
乱暴な音楽が流れ始めたら
ちぎれるほどめちゃくちゃに頭を振って ....
酸素を吸っているよ

少女が酸素を吸ってるよ

少年も酸素を吸っているよ


酸素を吸ってるよ 
酸素を吸っているよ



酸素は どこからくるのだろう
酸素は いつまで ....
オレンジに闇が曳かれ

精神のカルテ

群青に染まる

僕らかけがいのない宙


地球での

それはお話しか

死ぬまで

生きているのか


オレンジに闇が曳かれ ....
それに名前をつけるほど俺は暇じゃない、そんなものは勝手口から外に放り出してなかったことにしてしまえよ、そんなもののことをいつまで気にしているんだ、トウヘンボクめ
気にしなくちゃいけないも ....
君と僕の
柔らかすぎるところは
交わりやすくて

忘れているわけじゃないけれど
柔らかすぎるがゆえに
止まることができなくて

傷ついたと言われるまで
君に言葉を投げてしまう

 ....
              080422


懐中電灯に照らされた
懐中物を盗まれた
泥棒よけの電磁波は
人畜無害だと
家々に立ち寄って
説明して回る

懐中電灯の電球を
LED ....
たった
一つの愛しみを
抱いて
思うところを
見つめ
寄りそう人の
片時


ほほ笑んで
いる
貴女の
握りしめた
左の手の
小さな 小さな
種に
なりた
 ....
   書いては消し、
   書いては、
   消し、


   夜 、
   に書いた手紙は朝にもういちど読みかえしてみよといいます、
   雪は残らずとけてしまった、私は雑 ....
まともな感覚
正しい事は正しい
悪は悪と言い切り 思い切る

感覚が狂わされ
魂がギタギタに切り裂かれている

善良な魂 保つ者よ

テレビを静かに 消せ

音に飢えたら ベート ....
車に跳ねられ
長時間の手術を終えた後 
息子が横たわるベッドの傍らで 
涙を堪えながら母は 
布団の脇にこぼれた手を 
握りしめる 

消灯時間を過ぎた夜更けにも 
闘いの後の休息に瞳 ....
向精神薬なんて、鍵のひとつじゃない

ドーパミン

セロトニン

生まれもった病気のふり、やめろよな


あたしの未来になにをするんだ

医者やインターネットの

あたしペイ ....
さみしいものが
さみしいものと
こすれあう
すると なぜか
うみは ひろがる
なみは ひくいまま

たよりなさげな
しっぽでも 
つなご

ひねりだしたって
しょっぱい ....
フレンチトースト作って
コーヒー入れて
タバコを吸って
くつろぐ

夜香木の芽が
吹いた
挿し木をして
初めての夏

ターザンが
ホオオオホ
アーアアー
飛びついてきた。
 ....
この箱の色は メンソール
緑色とくりゃ メンソール

吸って スッとして
吐いて ハッとして




ニコチンマン ゴーゴー
ニコチンマン ゴゴゴー

 ....
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