郵便受けに入っていたのは
営業スマイルの葉書と
ネクタイをきちんと締めた葉書
営業スマイルの葉書を開いてみると
べりっという音を立てて
用のないパンフレットを差し出してきた
次から次へ ....
ほら
加速してごらん
景色が
混ぜた絵の具のようだよ
加速するのと同じ速さで
後退してゆくいろいろを
君はのがさずにいられるだろうか
なんて
それは難しいことかもしれないけれど ....
繰り返す梅雨の憂い
水溜りに映るのは
また歪む空
さよならのかわりに
泥水を蹴り上げる
汚れても笑っていた
強くありたかった
暴れる水面に
反転する空
....
この大空 濁色の夢
灰に湿された曇天
豊熟な大気の湿りに保たれた
か細い清乳
豊熟の胸より滴り落ちる
霧雨の土地
しとやかな木々の緑 潤い
伸びる葉 葉に零れる 雫
豊 ....
喧嘩ばかりだけど
泣かされてばかりだけど
私はあなたが大切
悪ぶっても
強がってもダメ
隠れた本心知ってるよ
みっともなくて
気にしすぎで
心配性で
弱虫で
....
突き抜けるほどのブルースカイ
爽やかだけど違和感がある
そうか雲が無いからなんだ
快晴の空はこの町を飲み込んで
日常の景色から輪郭を奪う
まるですべてが合成であるかのように
ホリゾ ....
可哀想な兄弟
鎖に捕らわれて
狭い部屋で
声を重ねて歌うよ
昔に聴いた子守唄
眠れよ眠れ
静かに眠れよ
響き合う声は透けて
やがて光を呼ぶ
兄さん、聞いて
僕たちは
呪わ ....
広い海原からたったひとしずくの真珠を拾い上げるような
そんな途方もない思いで、
今にも枯れ朽ちそうな薔薇を掻き抱き
わたしはこの道に佇む
どこへ行けばいいの?
....
あの日
びるのてっぺんは
どれだけ
さみしいひかりがみえたの
むてっぽうなことで
きみも
やっぱり そんを したのだろうか
そっとちかづこうとすると
花をちらすみたいに ....
{画像=080608010301.jpg}
ああ
雨だ
初夏の
今から暑くなろうとする時の
私の心を静め
鎮め
濡らす
雨だ
初夏 ....
物心がついた頃
私の首には、細い紐で作られた長い首輪が掛けられていた
その時の結び目は確か、みっつ
毎年、誕生日に紐が切れる
だから毎年結び目が増える、ひとつ
そして毎年、少しずつ短くな ....
月光を手繰る振りをしていたら
どうやら海が釣れてしまった
窓を開けているんじゃなかった
部屋に溢れたいっぱいの海は
両手で抱えられる所かますます増えて
わたしは飲まれた
手 ....
季節の変わり目は
こころのどこかが騒がしい
きちっと折り目のついた夏服を
着ている君はいつもと違って見えて
気持ち良さそうに風が吹いてる
話しかけたら
振り向いてくれそうな距離 ....
両の人差し指でぱたぱた
ニワトリが餌でも突いているようで
思わず吹き出しそうになるけど
なにやら真剣に打ち込んでいる
あなたの横顔
見方によっては男らしいとも言えそうで
古いやつだ ....
ベランダに鉢植え
やわらかな大気がゆっくり空に侍りつつ
曇天は寝息を立てて
温浴の風 静かに降りて
ビルディングの静かな午後が始まる
鳥のさえずりが空間を示して
立ち木の常緑は静か ....
院からの態度のデカい実習生
ツンツン頭を嗜められた
合コン来てるんじゃないんだぞって
気にする様子は無さそうで
焦点の合わない目で校庭を見ている
おせっかいな協力者
善意と ....
駅ビルのミラーに夕陽が泳いでメールが飛び込んだ
都会の炎が抱き合う声を 早足で抜き去った
分解されてく真夏の星じゃ
不安や嫉妬の波から明日を予測してやいないか
楽しいこと
面白いこと ....
記憶が
ぽろぽろ
剥げ落ちて
さっきのことも
分からなくなる
いつか
あなたが誰かも
分からなくなるのかな
恐怖は包装された箱の中
いくつも
転がっているか ....
電車を降りたら
小雨が降っていた
セブンイレブンで傘を買った
駅前の商店街を抜けると
道は一気に暗くなる
細い道の両側から漏れる
家々の明かりがメインで
わたしは足早に家路を急ぐ
朝
....
080605
三丁目は二丁目の先です
一丁目は通り過ぎたので
覚えていらっしゃらないかもしれません
四丁目はありません
しかたないので続を加えます
....
自分の穴を
誰かにつつかれると
前は眉間に皺を
寄せたりしたが
今はもうどうでもいいのだ
面白がる人は
面白がるにすぎず
わたしの隠し持つ
孤独など
知りはしな ....
窓を見ていました
身体のどことも違うガラスの質感でしたが
手などの白いあとはかすかな
生きていたものたちでした
あの窓の向こう側に
はたして外はあったのでしょうか
ただ立ちつくすだけだ ....
{画像=110719004209.jpg}
ヒュール ルルーと
消防車が喜びの声を上げ
夜の町を躁(はしゃ)ぎ回る。
初夏の夜は
不思議に透明で、
サイレンは色硝子の曇りのよう ....
何回しても
いくつになっても
慣れることなく
いつも
いつも
恋する気持ちは
初心者で
いつも
いつも
経験が
モノを言わない
それが恋
台所で人形を洗っていると
まだ生きた人しか洗ったことがないのに
自分の死体を洗っている気がして
かわいそうな感じがしました
列車が到着したので
あまり混んではいなかったけれど
....
{画像=080602022745.jpg}
波打ち際に沈む
ガラス片のように
毀(コボ)れて
流れて
静かな時間の中で
出会いを待っている
満ち足りた時間が
角を丸く取り
いく ....
松林のにおい
やわらかに透過する光
あなたのその目じりのしわが好きだった
波風がうばっていく言葉に
その想いものせて
わたしたちはあめふらし
ふいに雨音が恋しくなる
傘の下で肩を並べ ....
閉ざすとみえることがある
開くとみえることがある
両方同時にはみられない
欲張りなわたしは迷う
さあ、どうしようか
目を、口を、耳を
心は、出会う人々が勝手に開閉していく
わたし ....
川崎LAZONA5階
木のベンチに腰を下ろした僕は
各階に店の並ぶ円形広場を眺める
小さく見える人々の
行き交う傍らで
ステージに立つ
君の唄声を聴いていた
君の息子 ....
080601
広辞苑を投げ捨てる
コウジエン
麹黴の生えた御飯を
お酒にするのだと
強調するので
御飯はお箸で頂くのです
手づかみは余 ....
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