思いやり
気配り
信頼関係
打ち明ける
素直に
正直に
即答で
隠さずに
心が通じる
助け合う
美しい
守る
携帯電話から母が出てきて
べつになんでもないんだけどさ、と
なんでもないことをしゃべり始めた
この「なんでもないこと」というのは
父が発明家になってしまって
サラリーマンのほうが都合が良いの ....
からからから
バスの車内の床を
なすがままに転がる
誰かが忘れたコーヒーの空き缶
かーん
いい音立てて
優先席の爺さんの
杖にぴったり止まった ....
福祉のある国
子供の教育
老人の世話
障害者の支援
食うのに困らず
寝場所がある。
衣服がある
仕事がある。
互いを愛し合い
信頼して助け合う
心を一つにして
心が打ち解 ....
昨日は雨のそぼ降る神保町の
古書店の並ぶ街並みを
地図を片手にさまよい歩いた
みるみるうちに地図は濡れ
丸めた白い魂にして
ポケットに入れた
翌日ポケットから取り出し ....
正でも負でもない0
0は虚数のようなものだ
実存から自由な
観念とは
0や虚数のようなものだ
ぼくはきょう
あるひとが美しいことを
発見したんだ
....
{画像=080522023223.jpg}
口に出した言葉が
石英のように凝って、
カチリと落ちたら
いいだろう!?
ぼくはお喋りに夢中になって、
なにがなんだかわからなくなって、 ....
かあさんに あかりをあげたい
めくらになってしまう かあさんに
あかりが そこにあるかないか だけは しっている
盲人になってしまう かあさんに
わたしは
....
文明の傾斜地を走るのだ
逆さまの政治学から唾液が垂れる
花々は全滅した
茎はただ茎のために根を垂れるぞ
雲との契約など
どうすれば思い出せるんだ
神々が粉になればとても呑みやすいが
依然 ....
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「今日のニュース」をクリックすれば
ベンツの車内で美人のアナウンサーが
運転席に{ルビ項垂=うなだ}れ ....
仕事帰りで我が家の門を開き
玄関まで5mの並木を通る
「 うわっぷ! 」
木と木の間のくらやみに
はりめぐらされた蜘蛛の巣に
ぼくの顔が引っかかる
(そそくさと、{ ....
そこにあるものは
全面を青く塗り潰した
あたかも絵のように飾られたもの
ある男は言った
ただの青かと
ある女は言った
涙の絵なのねと
子供は言 ....
読んでも、何も感じない
何もつたわってこない
そもそも、それを詩と呼ぶべきなのかどうかは別にしても
そういう詩が多すぎる
そういう詩をよんだとき
僕が感じるのは救いがたい ....
祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした ....
「別れる日は決めてあるんです」
あどけない顔をして
サラッと彼女は言う
離別の餞まで手に入れた
お人形のような瞳には
背景の妻子の温度は伝わらない
サーモスタットはいつ壊れるかわからないの ....
かつて国鉄全路線に乗った
作家の宮脇俊三さんはこう書いた
「何かと不満の多い人間は
一度夕張線に乗るとよいと思う
いくらかおとなしくなるに違いない」
文句のある奴は夕張へ来い
文句のある奴 ....
「スライディングをして
サッカーボールを蹴った
ナカムラシュンスケ
が映るテレビを見て
小さい両手を頬にあて
幼い兄と妹は
ムンクの顔を並べる 」
と ....
世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる
支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け
次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える
支え続ければ ....
ベランダの浮輪に
バッタがつかまってる
夏、海水浴に
行きそびれて
書記官は窓を開ける
木々の梢の近く
監査請求書が何かの水分で
少し湿っている
白墨の匂いを残して
物 ....
ときどき僕は
「やさしさってどこにあると思う?」って
生徒に聞いてみたりする
僕はにぎりしめた手を胸にあてて
コンコンとノックするようにたたく
生徒は了解したように
「胸のおくにあ ....
明るい空から降る雨を
見ていると
青桐のみどりは
いっそう映える
あまりに明るいので
消えてしまいそうな花の色
五月の柔らかな光の中で
現れては消える面影
あまりに明るいので
まなざ ....
遺影のある家に行くと
線香の良い匂いがして
羊羹を一口食べた
奥さんがずっと昔からのように
右手で左手を触っている
側では子どもたちがわたしの名前を知っているので
窓から外を見ると
....
ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
安っぽい自販機で
安っぽいコーヒーを飲む
真夜中のロビーは
そこだけ明るい
神様
私はつぶやいてみる
どこにもいないものを
あてにして生きていく
それを誰も否定しない
愛 ....
(1)
まぶたには
海よりもたくさんの
なみだ というものが
満ちては引いて
ときに こぼれます
しあわせな、いちにち
うつむいた、いちにち
わたしは顔をあげて
まるで洗面器 ....
あなたの誕生日はいつだったっけなぁ
と思いながら
刻々とすぎてゆく日々
選ぶべき言葉も選べないまま
大切なもの
いっさいが流れてゆくというのなら
それは、きっと
わたしが ....
{画像=080522023223.jpg}
五月十七日は土曜日でした。
窓から外を見るぼく。
向かい合うアパートの窓に、
立っているぼくの姿が映っている。
身体を揺すり、
ヘッドホンに独り ....
あなたは花が好きなだけだった
大輪の花が咲くポピーと信じていた
それだけだった
けしの花
禁じられた花
大地に根を張るけしの力強さ
足に力を込め手応えを感じながら
何本も何本 ....
山のうえに
太陽がにじんでいた
アメーバのように
ちぎれそうに
ひかりがゆがんでいる
いのちは削るものなのですか
あなたは答えないかわりに
ぼくにそれを見 ....
それはどこか懐かしく
心の柔らかな部分のどこかを占めている
夜明けの藍に包まれて
荘厳なリズムを刻みながら
点滅する金色の光
僕の心の中で
鼓動する信号
ダリ ....
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