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くたびれた足を引きずって 
いつもの夜道を帰ってきたら 
祖母の部屋の窓はまっ暗で 
もう明かりの灯らぬことに 
今更ながら気がついた 

玄関のドアを開いて 
階段を上がり入った部屋の ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
思えば今迄数えきれぬほど 
脱いでは洗い 
洗っては干し 
畳んで仕舞う 
引き出しから取り出しては 
毎朝少々気分を変えて 
鏡の前で服を着る 

昇っては沈む 
太陽の数ほどに  ....
「この病室は、眺めがいいねぇ・・・」 

ガラス越し
輝く太陽の下に広がる 
パノラマの海 

ベッドの上で点滴に繋がれて 
胸の痛みに悶えながら 
なんとか作り笑いをする祖母をよそに ....
「明るい私」を演じる日々に疲れて 
休日は体を丸めた蓑虫となり 
布団に包まる 

{ルビ転寝=うたたね}の間に 
夢の運転席で僕はハンドルを握り 
並走する左の車線に 
追いついてきた ....
「椅子は生きている」 
開いた本に書かれていたので 


 I love you. 


と言ってみる 

なんだか背中が 
あったかくなってきた 



 
今迄に
幸せのボールを取り損ね 
ベンチ裏で独り、涙を手で拭い  
辛酸を{ルビ嘗=な}め尽くしてきた 
君よ 

思い切り 
空振り三振すればいい 
被ったヘルメットが 
吹っ飛ぶ ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
食事を始めた 
一口目に 
山盛りポテトフライの皿の 
隅っこにのせられた 
パセリを食べる 


噛み切れない小さい葉達が、苦かった。 


今日も世界の
あちらこちらの食卓で ....
50を過ぎた看護婦さんが 
休憩時間も惜しみ 
寝たきり患者の爺さんに 
パンを千切って食べさせる 

勤務を終えた夕方 
棚に書類をしまう
白衣の背中から 
電池が一つ、ぽとんと落ち ....
美しい花にそっぽを向かれると 
ぼくは自らが蝿だと気づきます 

柔らかい蕾に包まれて 
花の囁きを聞く日を
ずっと夢見ながら 
周りを飛んでは見るが 
こちらに微笑む気配は 
いっこ ....
背後にはいつも 
一本の{ルビ松明=たいまつ}が
浮かんでいた 

朝も昼も夜さえも 
目には見えない 
松明の幻 

わたしが蹲る時 
横道に反れた時 
変わることなく 
目の ....
遥か昔「人は弱い時にこそ、強い」と語った 
旅人の屈すること無い「精神の柱」について。 

ある時彼は頭の良い哲学者に嘲笑され 
ある時彼は民衆に石の霰を投げつけられ 

( 人々が立ち去 ....
駅構内の 
床に剥がれた 
薄い矢印の上を 
僕は{ルビ往=ゆ}く 


( what's going on


階段を下りた出口の広がりに 
裸足のまんま傘を差し 
どしゃぶ ....
ましろい机の上に便箋をひろげて 
君に「はじめまして」の手紙を書いた 

カーテンのふくらむ隙間から 
{ルビ朧=おぼろ}な日が射し
視界のぼやける 



  一瞬 



 ....
  宮殿の 
  立派な椅子に腰かけた 
  派手な衣装の王様の前を 


  独りの道化はニヤリ小躍りで通りすぎ 


  王様はすっぽんぽんのまま堂々と 
  ちっちゃい座椅子か ....
「腐った花を捨ててきて!」 

主任が言うので部下の僕は 
ぐらじおらすのうなだれた 
大きな花瓶を両手に抱え 
流しのある部屋へ入った 


  かちゃり 


背後から入って ....
人は、花としてつくられた。 

翼を広げる鳥の旋回する 
空が 
地上に立って見上げる人を 
咲かせよう 
咲かせようとしている 

花の顔をひらいて 
人は 
空を、見上げる。  ....
酩酊の夜道で仰ぐ空の 
遥かに滲むあの星宛に 
一篇の{ルビ詩=うた}を僕は綴ろう 


( ruru ri lala
  lala ri ruru ) 


いつか星になった日  ....
頭上に広がる空の下 
何処までも流れる川の{ルビ畔=ほとり} 
旅人はぽつんと一人 
立っていた 

雲に隠れた天使が 
ちらっと顔を出し 
碧い{ルビ硝子=がらす}の瞳で 
彼に云う ....
会議をサボッて 
帰りに寄った
夜の教習所

開いた
校舎の窓 

路上運転までの
待ち時間に見下ろす 
校内コースを 
のろのろ走る 
初心者運転者達 

あれは日中の僕だ ....
自分の穴を 
誰かにつつかれると 
前は眉間に皺を 
寄せたりしたが 
今はもうどうでもいいのだ 

面白がる人は 
面白がるにすぎず 
わたしの隠し持つ 
孤独など 
知りはしな ....
川崎LAZONA5階 
木のベンチに腰を下ろした僕は 
各階に店の並ぶ円形広場を眺める 

小さく見える人々の
行き交う傍らで 
ステージに立つ 
君の唄声を聴いていた 

君の息子 ....
わたしは何枚でも 
自らを脱ごう 

いのちそのものが 
あらわれ 

周囲の花々が 
俯いていた顔を 
開くまで 
  からからから 


バスの車内の床を
なすがままに転がる 
誰かが忘れたコーヒーの空き缶 


  かーん 


いい音立てて 
優先席の爺さんの 
杖にぴったり止まった ....
昨日は雨のそぼ降る神保町の 
古書店の並ぶ街並みを 
地図を片手にさまよい歩いた 

みるみるうちに地図は濡れ 
丸めた白い魂にして 
ポケットに入れた 

翌日ポケットから取り出し  ....
Mixiの長方形の空白に 
パスワードの黒点を打ち込んで、 

ログイン。 

「今日のニュース」をクリックすれば 
ベンツの車内で美人のアナウンサーが 
運転席に{ルビ項垂=うなだ}れ ....
仕事帰りで我が家の門を開き 
玄関まで5mの並木を通る 

「 うわっぷ! 」 

木と木の間のくらやみに 
はりめぐらされた蜘蛛の巣に 
ぼくの顔が引っかかる 

(そそくさと、{ ....
「スライディングをして 
 サッカーボールを蹴った 
 ナカムラシュンスケ 

 が映るテレビを見て 
 小さい両手を頬にあて 
 幼い兄と妹は 
 ムンクの顔を並べる  」 

と ....
人々の行き交う夕暮れの通りに 
古びた本が 
不思議と誰にも蹴飛ばされず 
墓石のように立っていた 

蹴飛ばされないのではなく 
本のからだが透けているのだ 

聴いている

時 ....
norifさんの服部 剛さんおすすめリスト(45)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
遺影のまなざし_ー四十九日前夜ー_- 服部 剛自由詩2009-3-10
海に還った祖母に捧ぐ_- 服部 剛自由詩3509-1-24
正午の太陽__〜ベランダの夢〜_- 服部 剛自由詩308-11-27
祖母の見舞い_- 服部 剛自由詩508-11-18
夢の道路_- 服部 剛自由詩7*08-10-11
もののこころ_- 服部 剛自由詩108-10-1
Ball_Palk_Dream_- 服部 剛自由詩308-9-30
Freedom_Song_- 服部 剛自由詩32*08-9-22
パセリ達_- 服部 剛自由詩1708-8-12
「_電池_」_- 服部 剛自由詩408-8-12
蝿と白百合_- 服部 剛自由詩9*08-8-10
松明の道_- 服部 剛自由詩108-8-1
死紺亭兄さんへの声援(エール)_- 服部 剛自由詩8*08-7-31
Ranbo_〜21century〜_- 服部 剛自由詩408-7-22
伝書鳩_- 服部 剛自由詩5*08-7-22
王様の宣言_- 服部 剛自由詩208-7-20
まりあ像__- 服部 剛自由詩308-7-18
花の人_- 服部 剛自由詩5+08-7-13
星の言葉- 服部 剛自由詩408-6-29
旅の便り_- 服部 剛自由詩108-6-27
雲間の月_- 服部 剛自由詩508-6-11
石の穴_- 服部 剛自由詩108-6-4
空の絹糸_- 服部 剛自由詩408-6-2
いのちの種子_- 服部 剛自由詩4*08-5-30
空き缶と旅人_- 服部 剛自由詩4*08-5-28
すがたに_- 服部 剛自由詩5*08-5-28
_「_ログイン_」- 服部 剛自由詩4*08-5-27
蜘蛛の糸_- 服部 剛自由詩208-5-27
ミッキーマウスのTシャツを着た少年_- 服部 剛自由詩408-5-26
詩人の肖像- 服部 剛自由詩11*08-5-2

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