僕の暗がりに
三十四回目の月が生まれ変わる
前世も月だ、その前世も
それを証明するために
この手は螢石をみがく
やがて銀河の形の指輪を飾るために
暗がりの天蓋がひと巡りする
シリ ....
満天の星空から
こぼれ落ちた
青白き花よ
草陰に
ひっそりと
佇んでいる
それは
あなたの涙と同じく
尊い
手折ることなんて
出来ない
私は
掬うようにして
花を見つめる
青白い涙、
花に ....
「ダックス!」
といきなりいわれた
ソファーでひっくり返って
ノビている姿が
ペットショップで見かけた
ミニチュア・ダックスにそっくりだという
あんなふうにやわらかい腹をムキダシで
無垢 ....
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もう眠ることが仕事になってしまったね。
丸くなって眠っている。
お気に入りの毛布とタオルケット。
近くのカーペットにはおしっこの染みもある。
首筋 ....
こっそりと
ゆびわをかじると きいん とする
ぽっかりと
ちいさなあなのあいた夜
空の一部を
せろはんてーぷのぎざぎざで
ひかりのかたちに
切り抜く
わたしのへやで
ちか ....
古生代、シルル期の海に
かつて繁栄した太古の生物
生きた化石と呼ばれるカブトガニと同じ
三葉虫から進化したアグラスピスを先祖にもつ
広翼網の特徴である外殻は「天使の翼」と称され
四角い頭 ....
080414
鬱蒼とした針葉樹林を抜けると、その先にはさわさわとした竹林がございました。先導するお頭の魚覧観音を偲ばせる柔和なお顔にも笑みがこぼれ、思わず ....
風が光っている
それを
瞼の裏で感じて
われに五月を
犯罪的なほどに
短いスカートをはいた
女子高生の耳元で
一編の詩を
ささやいてみたい
気が合えば
ふたりで ....
きみの一日を 僕は知らない
きみが毎朝買っているパンの味も
きみが気にして飲んでいる健康ドリンクのことも
きみが僕に隠れて嬉しそうに読んでいる新聞の四コマ漫画のことも
きみが髪を無造作 ....
雨降りの朝
とても嬉しいことがあった
久しぶりに嬉しかった
だから
この気持ち
風に乗せて
みんなに配りたい
ありがとうの言葉を添えて配りたい
雨なんかに負けな ....
・三日前の話
私が
指先のみの力で
空を切ったとき
その軌跡は
柔らかなひかりになって
木漏れ日の影の部分を
踏んで行きました
....
誰もいない教室で
机の落書きを消す
たいていが内容の無いもので
消すのにためらうこともないのだが
ふと窓をみると
結露したときに指で書いたのだろう
一つの文字が見えた
「海」 ....
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もーいーかい
もーいーよ
もーいーかい
もーいーよ
顔を上げると
君と眼があった。
そんなところにいたら
すぐにわか ....
いつもひっそりと
わたしの庭を守っていてくれた
垣根の木
なんていう名前だっただろう
とつぜん気になって
落ち着かなくて
たしか図鑑があったはず
なのに
本棚にも押入れにも
どこ ....
{引用=
くまちゃん
雪が降ったからね、うさぎを作ったんだ。ダイクマからの帰り道、雪が降って、ねぇ。積ったらいいのにーってはしゃいだら僕、冗談じゃない!ってみんなに怒られてさ。くまちゃんは雪の多い ....
夜は僕の肌をなめまわし
僕の知らない僕のこころと密会する
君は君の手垢をつけ
僕は僕の手垢を付けていく
君と僕の手垢が重なることはない
見つめあうことのないふたり
洗剤は合 ....
芸術の巨大な 第一波
自己表現は為される( 成就! ?
白く塗り込められた キャンバス
書き留められた 文字
録音で魂が吹き込まれ
レンズが骨まで映し出す
芸術は自然を 追尾し ....
080413
あめがふってきたので
あめがふってきたので
あめがふってきたので
雨が降ってきたので
今日のフリマは中止です
音の無 ....
{画像=080413012058.jpg}
ただ
生きているだけで、
疲れただなんて、
ぼくもいったい
いいかげんなものさ。
二十三の
ぼくの人生なんて、
いったいなんなんだろうと、
....
見ないでくれ、と
言わんばかりの波の光に
同じ波長を持って感嘆した
素晴らしい嘔吐だ!
(あと、どのくらい乗るのだろうか)
デジタル時計が点滅する
60のテンポ、生活のリズム
落 ....
自ずから成る
耕作の係数に支配された土
この土地に極楽鳥は野営し
その雫で濡れた重たい巣をいとなみ
静かに沈んでゆく ぬくもり
作物を繰り返し保っている
土力の茶色に緑は
....
真っ白な雪が降ったとき
僕は子供のように喜んだ
冷たい雪に埋もれながら
僕はそんなふうになりたかった
真っ白な雪と大地の間で
わずかな温もりを感じたかった
四月 (始ま ....
へのへのもへじみたいだねと問いかけたら
「へへののもへじ」が正しいんだと
あのひとは言った
―へのへの
叱られて家に帰れなかった
夕焼け空に
ロウセキで描いた
へのへのもへじ
....
しとどに濡れた
森の中で
目覚めたのは誰
ふんわりシーツで
目覚めたのは誰
朝露光る
草原で
目覚めたのは誰
泣きながら
目をはらして
目覚めたのは誰
おはよう
....
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に
*
やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても ....
080411
乱れ飛ぶ
風景が飛んでゆく
車窓の景色
小父さんと小母さんが
席を立ったので
列車の窓は停止した。
舷を叩いて魚を脅す
古くさい ....
現在を座標としてとらえると
それは常に原点であり
未来は北の方角になります
そうなりますと
過去は南の方角ということです
西やら東やらは
存在はするのでしょうが
詳しいことは不明 ....
{画像=080410233222.jpg}
急に立ち止って後ろ足を張って立っている。
それは猫足のような立ち方ですが、
猫が秘めているような力強さはなくて、
掴まり立ちをした娘のようなんです。 ....
080410
よーかんにお茶ならば
いつでもいいと
杉浦茂の猿飛佐助
警戒が厳重な
四谷の大木戸を避け
代々木あたりでちゃっかりと
江戸の街に入り ....
薫風馨る五月の窓に
ぬかるむ畦道を辿る貴方の後姿を見ていました
長い髪を靡かせて振り返ったあなたの口は
手話の解説のようにはっきりと動くのに
何回も繰り返しても聞き取れないのでした
....
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