「pain rain」
ベンジャミン

そんなにきれいに泣けるのは
君がまだ子供だからなのか

黙した瞳から
その瞳と同じくらいにまるい
ぽろりと転がるように頬をかける
涙が

辛かったんだ
辛いって伝えるために
そうするしか知らなかったから
君は黙って泣いた

「pain」
それを単純に
「痛み」と訳すのは
いまの君には間違っている

感情というのはもっと複雑だから
からまった糸を引っ張ってはいけないのと
ひどく似ている

だからって
少しばかりのやさしさで
僕はその糸にふれずにはいられないから
背中で君を隠すことくらいしか
できないけれど

「rain」
それを単純に
「雨」と訳すのは
いまの君には間違っている

もっとふさわしい言葉を
「rain」
さがしてる

だから僕がそれを見つけるまで
泣いていていいよ

背中からでも
充分すぎるほどに伝わってくる
君の痛みと
君を流れる雨

僕も同じように感じられるだろうか
僕が子供だった頃に
いまだけは戻れるような気がするのは
きっと気のせい

「pain rain」
やっぱり僕には
ふさわしい言葉が見つからない

けれど
そんなにきれいに泣ける君が

少しだけ羨ましいから
僕は背を向けて

いまの君を隠してる

外は雨
それはどうにも隠せない

僕の心に痛む雨
  


自由詩 「pain rain」 Copyright ベンジャミン 2008-06-28 15:39:58
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