今更と呆れ乍らも
漸く手に入れた身体は冷たくて
虚無感と怠惰な溜息で
堕ちていくのを眺めていた
私以外に、誰かが居たのは
途方も無く過去の物語
忘れていたことも忘れるほど
昔々のお伽噺
....
そして
翳りなく空はかがやきを増して
ゆくりなく月日をもちさる
あなたの舵でもって
トー
という音がきこえて
それは地鳴りのようでもあった
つられて飛びたつ鳥 ....
カ ン カァン カ ン カァン……
カ ン
カァン
カ ン
絶対に
絶対に電車は通らない
....
花一輪、波紋を作るみずうみにたゆたう心七月の舟
摘み捨てて赤い花ばかり選んでは水辺の恋の淋しいあそび
白い鳥飛び立つ果てに海がある君の涙をもとめて遠く
いとしくて細い指さ ....
百合ちゃんやめて
私には好きな人がいるの
百合ちゃんやめて
手を握らないまで
ただの友達でしょう?それとも私の勘違い?
見つめる眼差しが怖いの
ねえ私の手を握るのもスキンシップ ....
あまいとおもっていた
あなたの言葉は
いまでもわたしの喉をふさいでいる
目の内側から金色がおしよせて
まもなく手も足もうごかなくなる
千円で二冊
手頃なんだから、
、と、擦りきれた本にきれいなままの文庫本
何故か捨てようにも捨てられない
同じような顔をして段ボール箱の中に眠ってる
たまに取り出してページをパラパラ ....
存在するということ
そこに立つということ
それは紛れもなく敵であるということ
私は隅々まで敵を探し出す
現象の狭間に隠れた見えない真理も
みんな敵なのだから
私は何も信じなくて ....
熟された精神の元は若い心なのだろう。
小学生二年生の頃、弱肉強食とよく言う生徒がいました。
「あなたの好きな言葉」という紙にも書いており
その頃、わたしも彼と同じ齢だったものですから
ライ ....
空にまで達した空白の壁を前にして立ち
独白する言葉をえらぶために
たったひとつの日本語をあみだすために
私はたくさんの言葉を集めてまぜた
もうひとつの宇宙になりますように
星座を構成しますよ ....
猫のびゃあびゃあ鳴く夜には
アイロンをかける
ハンカチを熨して
ブラウスを生き返らせ
スラックスには折り目をつけて
折り目正しくなるように
折り目正しくなるように
だれか私にも折 ....
大恋愛
運命の出会い
がいつか訪れるだなんて
それこそ
甘いエロい妄想
我こそは
高値で取引されて
店先で垂涎の的
きっと素敵な人が買ってくれる
心ゆくまで味わってくれる
....
秋の初め、台風の影響により大気は急激に冷え、雨が降り続いた。激しくもなく、ただ訥々と雨は屋根や樹の葉をぬらしていった。私はこの冷雨にようやく安心を感じていた。
私は仕事で余計なトラブルに ....
ときどき風がつよくふいたし
ときどきかみなりも落ちた
照り返しのきつかった床の一部はいまは色あせて
わたしは懺悔しなくてはならなかった
雨の降るようにはひとを好きになれなかったし
嫌いに ....
あの方舟さくら丸から抜け出したモグラの見
た世界は透明だったって知ってるかい? 絶
対的な価値なんてないから私、方舟になんか
乗らない。他人の物差しなんて必要ないから
私、誰かと比べら ....
オリオンを確かめて
冬と悟る空に
白い吐息を吹きかけて
部屋に戻る少女たち
残された結晶たちは
さまよった末に
辿り着くのだろう
この夜も 夢へと
赤いバレエシューズ姿の女神が ....
陽光絶え間なく降り注ぎ
空気に光の粒 満ち満ちて
いくら瞼を閉じてみても
隙間より零れ来る
悪意の種を優しく撒いて
冷たく暗い気持ちを注ぎ
仮面を置いて日陰を作り
全ての芽が出うる種 ....
球体は弾けた
その飛散した一粒一粒の種子が
時代をあまねく代弁するかのように
ある方向へと向かって流れ出す
思い出して欲しい
白い腕が守ろうとしていたのは何だったのか
幸運の女神は目を ....
秋刀魚のような
ひとでした
辛味のきいた
大根おろしが
ほどよく似合う
それはおいしい
ひとでした
....
雨の中 新宿を歩いていた
友達の誰もいなかった 風景の中を
どこも満員だった通りの喫茶店
そして見ている ファッション すれ違う人たちの姿
ゴールデン街で今もあの子は働いているのかと思い ....
みんな
イヤイヤ従ってるんだ
って思ってた
欲のため
お金のため
効率よく目的地に着くための
線路のようなものだって
イヤな思いも無理強いも
電車の乗車券なんだって
たすけて ....
どぶ川
終わらない完璧な輪
エンドレスチェーン
3000円のパーティードレスも
キラキラする変なマスカラも
つきおとされて髪の毛めちゃめちゃ
靴をなくして歩きながら涙もでない
タ ....
世の中には「詩人」という肩書がある。だが、詩を書いていても自ら「詩人」を名乗ることに抵抗を持っている人はたくさんいる。では「詩人」を自称することの何が問題なのか。
肩書というものは社会的 ....
共に感じていることは
なかった
この10年
私は私の内側を
作ろうとした
それは
他者が
私をわかろうとすることを
拒否するためだ
+
外はあいにくの雨模様
遠くの空が見えなくて
きのうお祈りしたのに、神様
小雨だから許してあげる
+
{引用=ふと口にしたことばが引っかかって、本当か確かめて笑ってみたけど
突然、 ....
なんもかんも
忘れたくって
働いて働いて働いて
左人差し指が痛い
右腰が痛い
首が痛い
爪が剥がれかけ
擦り傷が増え
冷や汗が出る
女の胸がつぶれる
口約束で
作り上げられた 甘さは
おたがいに溺れるような
沈んでいくような
そんなすばらしい沼
底なしの許容だけがあり
腐り落ちた水菓子は叱られることもなく
じわり果汁を滴らせている ....
世の中が溶ける
たった数分の出来事で
ただ誰もいらなくなる
太陽の嘘を
夜が暗殺する
一瞬の未来がもう過去になる時のなかで
眠らない傷痕だけ
硬いソファで微睡んでいる
ただ電車が通り過ぎていくのを
意味もなく微笑んで見送った
誰に語りかける言葉もなかった
本当の言葉など要らず
偽物の言葉で構わないのに
偽物の言葉すら持ち合わせていない
も ....
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