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時間の袋が垂直に突き破られ
色とりどりの血流は外側へ飛散した
ひとつの瞬間が選び取られ
病に深く倒れ苦しんだ
悔いや口惜しさや怒りや名もなき感情
俺はただ獣をよけただけ
しかし獣を責め ....
 私にとって本を読むことと文章を書き表すことは、人生にとって不可欠のものとなっている。人生自体が読書や表現を前提としていて、呼吸や食事をするように私は言葉を吸収し吐き出す。読書と表現は、養分と活動であ .... 朝陽は陰々と降りかかる、その日の人々の通勤に結論を下すため。人々が夢から生まれ、途端にすべやかな仮面とともに成人するのを見届けるため。電車は巨大な獣のように息を荒げて疾駆する、人々を腹の中に収めてはま .... 炎が眠っている
その熱と光を休めながら
かつて燃えたことを証明する
灰が柔らかな布団になって
炎は夢を見ている
かつて照らし出した
闇の中に浮き立つ人の顔が
ばらばらになって融合 ....
 転勤で南相馬勤務となった。南相馬というと、福島第一原発の北30km以内の都市である。だが、空間線量は福島市より低い。南に行けばもちろん線量がどんどん高くなるが、市街地では暮らしに特段の問題はない。
 ....
震災時、私が沈黙した一番の理由は、自分に語る資格があるのか、という疑問だった。勿論それだけの理由ではないが、大した被害も受けていない自分が震災について語ってしまうことについて私はきわめて懐疑的だった。 .... 毒も刃もすべて黙って飲み込んだ
スーツを身にまとった私は甲虫のようだ
土地が変わっても仕事が変わっても
私は同じ種類の甲虫
羽をばたつかせても決して飛べない甲虫
スーツに滲んでいる様々な言葉 ....
故郷には深さがある
海の深さとは別の種類の
血の深さと記憶の深さ
一人の人間に一つずつ
最も深い故郷が与えられており
人がほんとうに帰っていく極地がある

果樹園に包まれ
たっ ....


ああ、遠いあの日のように烈しい夏がほしい。少くともあの日だけは夏だったのだ。雑草の生い茂っている崖っぷちの小道を、私は駈けていた。谷側の斜面には血のように赤い彼岸花が咲き、山側には雨のように ....
存在するということ
そこに立つということ
それは紛れもなく敵であるということ
私は隅々まで敵を探し出す
現象の狭間に隠れた見えない真理も
みんな敵なのだから
私は何も信じなくて ....
秋の初め、台風の影響により大気は急激に冷え、雨が降り続いた。激しくもなく、ただ訥々と雨は屋根や樹の葉をぬらしていった。私はこの冷雨にようやく安心を感じていた。
私は仕事で余計なトラブルに ....
 世の中には「詩人」という肩書がある。だが、詩を書いていても自ら「詩人」を名乗ることに抵抗を持っている人はたくさんいる。では「詩人」を自称することの何が問題なのか。
 肩書というものは社会的 ....
ただ電車が通り過ぎていくのを
意味もなく微笑んで見送った

誰に語りかける言葉もなかった
本当の言葉など要らず
偽物の言葉で構わないのに
偽物の言葉すら持ち合わせていない
も ....
目に映る風景と
もはや言葉を交換できない
私は風景から情緒を受け取らず
風景も私によって何も証明されない
風景は完膚なきまで破壊されていて
私の視線もその破壊を継続するのみだ
 ....
論理に頼っているので詩人失格
物語を好むので詩人失格
ほんとうのことばかり言うので詩人失格
人生にこだわり過ぎるので詩人失格
現実が見えすぎるので詩人失格
働いているので詩人失格 ....
優れているということ
それは一つの棘であるということ
鋭く探し当てどんどん前進していき
多くの人の自尊心を刺してしまう危険な棘であるということ

優れているということ
それは自 ....
雨にも負けないデクノボウだった。欲もなく、慈悲に満ちて、多くの人を助けながら、名誉を望まなかった。高潔でもなければ人格者でもない。ただ純粋な心を持ち、朴訥に生きていた。そう、彼は悪魔だった ....  私は成熟を渇望していた。若者特有の傲慢な自己中心性の檻から早く脱したくて、自らを華麗に相対化してしまいたかった。だが、いくら焦っても成熟するのは気分だけで、一向に本体が成熟しなかった。いくら .... 夢中になってしまうのは過去の自分との対話。昔の日記帳に綴られたもはや綴ることのない甘い苦しみが、私にその混乱を届けるので、今の私は軽やかに処方箋を手渡す。私の成長は降りかかる災厄に応対する .... つい涙が出てしまうのは、思い出が夕立のように降って来たとき。思い出が大地を少しずつ削り、大地の裂け目からやがて泉を探り当ててしまうとき。孤独の泉、傷心の泉、夕立は私ですら忘れていたような泉をつ ....  現代詩において恋愛詩は避けられる傾向にある。その一つの理由は、現代詩の不可逆的な洗練の先にある書法が、恋愛を解体する傾向にあるからだろう。素朴過ぎて日常的に発される言葉は詩である必要がない。 .... 私はかつて二つの遠さを抱えていた。一つ目は社会的な意味での遠さである。私は職に就くこともなく、難しい国家試験の勉強を数年続けていたが、一向に成績が上がらず、模試や本試験のたびに絶望するのだ .... 美しい花は咲き始めるにあたって
他の花々と契約を交わした
それぞれの孤独を干渉し合わない契約を
美は純粋であることから生まれ
自らの美の形成は自らの唯一の中心性に基づく
だがやがて花 ....
感情は伸び縮みしながらも
軸の周りに等しく釣り合って流れている
この感情の水流に濁った電気が通されると
軸自体が正しい位置からずれてしまい
空いた隙間からストレスが分泌されてゆく
 ....
戦場


辺りを見回すと曇った戦場になっていた
地図も何も持っていない
辿るべき道もなければ道を切り開く道具もない
振り返るとそこには文書の山があった
作り笑いをしている顔があった
と ....
大学を出たあと、私は郷里に帰り塾講師として働いていた。郷里は自然の風景が多分に残っている田舎町であり、私の家もまた自然に取り囲まれていた。朝、鳥たちの声と影を庭に認めながら、朝陽を浴びた庭木の輝きに緩 .... 冬の初め、リンゴの収穫の合間に、友人の車に乗って文化センターの展示を見に行こうとした。時候の挨拶のような何気ない会話をしているうちに、車が急に左に寄って、コンクリートの壁に斜めにぶつかっていっ .... ミツバチの午後 井坂洋子

恋人に会いにいくときは
緑樹の濃い反射がほしい
幾重にも層をつくる
日射しのプールの水面下
顔をあげると
ミツバチの唸りが耳もとをかすめる

肉体(からだ ....
 血が流れた、青髭の家で、――屠殺場で、――円形競技場で。(「大洪水のあと」ランボー、宇佐美斉訳、『イリュミナシオン』所収)

 文章には流れがあります。それは、時系列に沿ったストーリーの流れであ ....
俺は些細なものにたくさん敗けてきた
例えば他人のどうでもいい一言
自分の理念のわずかな変化
都会に漂ううっすらとした煙のようなもの
些細なものに膨大に敗けることが
俺の速い流れにカーブを ....
深水遊脚さんの葉leafさんおすすめリスト(38)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
事故- 葉leaf自由詩217-5-15
読書と表現- 葉leaf散文(批評 ...117-2-3
三十歳- 葉leaf自由詩416-8-5
眠った炎- 葉leaf自由詩1516-5-14
南相馬日記- 葉leaf散文(批評 ...316-5-8
語る資格- 葉leaf散文(批評 ...116-4-28
スーツ- 葉leaf自由詩216-4-25
帰郷- 葉leaf自由詩716-4-3
井上靖小論- 葉leaf散文(批評 ...216-2-5
- 葉leaf自由詩315-9-19
冷雨- 葉leaf自由詩115-9-9
「詩人」という肩書について- 葉leaf散文(批評 ...3+15-9-6
廃人の唄- 葉leaf自由詩615-9-4
帰り途- 葉leaf自由詩215-8-30
詩人失格- 葉leaf自由詩415-8-8
優れている- 葉leaf自由詩415-3-21
悪魔- 葉leaf自由詩115-3-11
フレーム- 葉leaf自由詩215-3-9
夢中- 葉leaf自由詩3+15-2-23
- 葉leaf自由詩315-2-20
恋愛詩の在り方- 葉leaf散文(批評 ...415-2-11
遠さについて- 葉leaf自由詩315-2-6
- 葉leaf自由詩514-11-6
防波- 葉leaf自由詩114-10-26
戦場- 葉leaf自由詩414-6-8
時間- 葉leaf自由詩514-1-3
被害- 葉leaf自由詩1113-12-11
詩の構造について_詩と向き合う- 葉leaf散文(批評 ...813-11-26
列挙する能力_詩と向き合う- 葉leaf散文(批評 ...613-11-26
ふるさと- 葉leaf自由詩313-11-6

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