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猫のびゃあびゃあ鳴く夜には
アイロンをかける
ハンカチを熨して
ブラウスを生き返らせ
スラックスには折り目をつけて
折り目正しくなるように
折り目正しくなるように
だれか私にも折 ....
線香の白い煙の糸がたちのぼる
追って見上ぐれば
黒い梁から見下ろす遺影の果て
白い路(みち)はほどけてく
おそらく、天上界まで届いたあたりで
夏は喪のシーズンだ
祖霊が帰り
私も帰り ....
白いシャツに染み付いた
香水の匂いとスパゲッティの点々に
日曜日の名残を感じながら
指先を黄色くして
ごしごしごしごし 洗う
とっちめてやる!
という わけのわからない怒り ....
眼鏡をはずし
目の前を水中に沈めれば
外灯は滲み
ひとびとは陽炎になって
せかいはちいさくちかく、まるくなると
おもっていたけど
無限のひろがり
おとこもおんなもなく
泳ぐような身 ....