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さほど
離れてはいないところ、の夏

されど
懐かしさがにじみ始める、夏



夕暮れを
言葉で描いてみるけれど

この手に握る貧しさが
あらわになるだけ



 ....
ほんの
小指のつめほどの
ささやかな背に
滑らかに乗る
勤労の
まる

悠長に
せわしげに
その身に負わされた太陽の名を
あちらこちらへ
振りまいて
唐突に
発つ

 ....
なにも残っていないなら
音だけでいいから
言葉をください

やさしい意味などいらないから
くるしい意味などいらないから
せめて誠実な音声を
聴かせてください

差し障りなく
 ....
かるく、かるく、
つかれる羽は
かつて
どこかの空でした

あかるく、かるく、
つかれる羽は
かつて
どこかの水でした

まあるく、まるく
つかれる羽は
かつて
どこかの ....
あの頃は
生まれたばかりの気分でいたけれど
あの頃の僕は
生まれてさえいなかったのだと
思う

もしかすると
こんな僕も
未だ知らないところで同じように
恥ずかしそうに
解ける ....
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の 
それと 
似ている

相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風



見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
頬を追い越してゆく風と
手招きをするような
まばゆい光

目指すべき方角は一つだと信じて疑わず
出口へと向かって
足を運んでいたつもりだった


不思議だね
振り返ることは敗北では ....
嘘つきだった君を剥がしてあげよう


昼間のシャツは
白すぎたんじゃないか
夕飯のサラダは
潔すぎたんじゃないか

嘘つきだった君を剥がしてあげよう



すべてを明け渡し ....
改札口にて
お待ち申し上げております


行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を


あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
わたしは みにくい獣だ

 鋭利な刃物を知っている
 (わたしの爪はいつも)
 鋭利な言葉を知っている
 (やわらかな皮膚だけを)
 鋭利な視線を知っている
 (傷つける)

みよう ....
虹を渡すのは、雨の純真であるように

雨を放すのは、空の配慮であるように

空を廻すのは、星の熱情であるように


やさしき担いごとは満ちています



あなたを求めるわたし ....
日常にくたびれた玄関先で
茶色のサンダルが
ころり

九月の夜気がひんやりするのは
夏の温度を知っている証拠

おまえには随分と
汗を染み込ませてしまったね
サンダルの茶色が
少し ....
各駅停車の鉄道がはたらいている
ひとの数だけ
想いの数だけ
星空のなかで
各駅停車の鉄道がはたらいている

天文学には詳しくない僕たちだけれど
きれいだね
しあわせだね
このままでい ....
肩が
うっすらと重みを帯びて
雨だ

気がつきました
小雨と呼ぶのも気が引けるほど
遠慮がちな雫が
うっすらと

もちろん
冷たくはなくて
寒くもなくて
そのかわり少しだけ
 ....
自分の投稿した作品にポイントが入ると、嬉しいです。
それはもう、半端じゃなく嬉しいです。

一応は「良い」という証としてのポイントであります。
しかし、「頑張れ!」だとか「仕方がないなぁ」だと ....
おかえりなさい、が あったのだよ

ひらけば其処に
おかえりなさい、が あったのだよ


そとから帰って
よごれた手も洗わずに

とってもとっても
温かかったのだよ

 ....
その階段は
まぎれもなく階段であった

手入れの行き届いた草木

光を反射する 白の像

そこは
入り口にも満たなかったのだ

まぎれもない階段の途中
この両目は 
 ....
さくら かんざし
あかねの 鼻緒

ねむりの いわおに 
腰かけ
仰ぐ 


ちり ち り りん
金魚の尾ひれが 
風鈴を蹴る

ちり ち り りん
黄色の帯と 
左手 
 ....
排気ガスの向こうに
こころだけを投げ出せば
いつだって僕は風になれる
鳥にだってなれる


部屋に戻れば
やわらかい布団と
あたたかなシャワー



守りが約束されているの ....
幼い日々
などというものは
これまでも 
これからも
全く変わりありませんので
特筆いたしません



或るときから
うたに喜ぶようになって
泳法はままならずとも
流れゆく日々 ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった


わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ

美しい光

いつつ
むっつ

美しい光

けれどもそこ ....
良き友よ

お前の肩を
叩かせてくれないか
軽く 一度だけ

そして
良き友よ

おれの肩を
叩いてはくれないか
軽く 一度だけ


渾身の力を注がない分だけ
渾身の ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で

私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で


果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
貝殻を気取る私は
捕獲されるのを警戒する

辺りが静かになった頃
深い深い、おそらく他人には不快と思われる
夜の底にて
ようやく貝は口を開く


ポロポロと子守歌
誰にも与えら ....
お嬢の小唄を
宙に放れば
おてんと様が照らしてくれる

小僧の小唄を
地に撞けば
根っこの隅々しらべてくれる

手毬唄、ひとつ
この手に優しい
中身かどうか
優しくこの手に帰 ....
悪気などないのだから
だから尚更
優しいあなたは嘘つきになる

誰をも騙せなくて
自分を騙すことではじめて嘘つきになる


それがたとえ取り繕いの仮面であっても
優しいあなたは
 ....
たとえば少年の溜息を
たとえば少女の独白を
空は拾いあげるでしょう

空にはみんなの星がある


たとえば背広の焼酎を
たとえば情婦の香水を
空は拾いあげるでしょう

空には ....
星空の下では今日も 
作業灯が明るい

掘り起こされる大地
積み上げられゆくコンクリート

道行く人は
まだか、と未来を吐き捨てる

けれども作業灯は
必ずの未来へと向かって
 ....
ほら、見てごらん
無数の蛍  
無数の蝶々

せっかく部屋を暗くしたのに

ほら、見てごらん
僕らはすっかり取り囲まれてる


吐息、ひとつ
(甘く、美味)

喘ぎ、ひと ....
寒冷に順応できず
やがて
命を奪われかけて
それゆえ
灼熱


灰と 火柱と 黒煙と


好き好んで
化身となったわけでは無いのに

ただ
寒さに耐えられず
ただ
冷た ....
つきのいし.さんの千波 一也さんおすすめリスト(31)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
長月にすむ- 千波 一 ...自由詩514-9-19
てんとう虫- 千波 一 ...自由詩1314-9-16
音だけでいいから- 千波 一 ...自由詩414-7-25
羽つき- 千波 一 ...自由詩614-2-6
原石- 千波 一 ...自由詩13*06-6-27
ノスタルジア- 千波 一 ...自由詩32*06-6-22
壁画- 千波 一 ...自由詩24*05-11-22
彫刻家の夜- 千波 一 ...自由詩16+*05-11-20
改札口にて- 千波 一 ...自由詩41*05-10-6
未熟- 千波 一 ...自由詩28+*05-9-22
連環- 千波 一 ...自由詩21*05-9-20
九月のサンダル- 千波 一 ...自由詩18*05-9-15
銀河鉄道- 千波 一 ...自由詩31*05-9-14
やさしい雨- 千波 一 ...自由詩20*05-9-13
■ひとこと運動- 千波 一 ...散文(批評 ...41+*05-9-3
小箱- 千波 一 ...自由詩15*05-9-1
逆光の丘- 千波 一 ...自由詩16*05-8-31
献花- 千波 一 ...自由詩43*05-8-29
ガードレールで夢を見た- 千波 一 ...自由詩17*05-8-23
履歴書- 千波 一 ...自由詩19*05-8-8
清流- 千波 一 ...自由詩43*05-8-2
それぞれの明日へ- 千波 一 ...自由詩11*05-7-31
家路- 千波 一 ...自由詩53*05-7-27
答をくれる人- 千波 一 ...自由詩13*05-7-20
手毬唄- 千波 一 ...自由詩17*05-7-15
優しきあなたへ罪状を- 千波 一 ...自由詩20*05-7-13
お空は少し広すぎるので- 千波 一 ...自由詩11*05-7-9
作業灯- 千波 一 ...自由詩10*05-7-5
夏の虫- 千波 一 ...自由詩9*05-7-4
サラマンドラ- 千波 一 ...自由詩11*05-6-28

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